それって本当?
テレビ「お小遣いの多いこどもは聡明な傾向にあることが分かりました!」
夕方の食卓に、ざわざわとテレビの音が響いている。
少年は箸をくわえたまま、テレビをじっと見つめていた。
「それではまた来週!」という締め文句が流れると、少年の硬直が解除される。
少年「だってよ、おとん。うちも小遣い増やしてやー。」
少年はくわえていた箸をテレビに向けて、父親にそう話しかける。
いかにも亭主関白な父親は、
味噌汁をずずっとかきこんだ後、満足気に爪楊枝を右手に取る。
父親「ほんまにそうなら、ちっとは考えたってもええなー。」
少年「ほんまや、ほんま!頭ようなるで!!」
父親はガハハハッと重厚な笑い声を響かせる。
父親「ま、財布のひもをにぎっちょるのは母ちゃんや」
父親「母ちゃんに頼むこっちゃな!」
母親は食卓を片付けていた。
恰好こそずぼらだが、所作からは上品さを漂わせている。
二人の視線に気づいていたのか、片付けながら答えを返す。
母親「せやね~。」
母親「あんたが聡明な息子やったら考えてやってもよかね~。」
少年「なんやそれ~。」
みなの笑い声が食卓を包んだ。
――――――
母親「(別に冗談のつもりでいったわけじゃないんだけどねー。)」
食器を洗いながら、心の中で独り言をつぶやく。
母親「(まだまだ、そこまで考えがまわる年齢でもないか。)」
母親「(鶏が先か、卵が先か。誰に言われるでもなく、いつか気付けるようになってほしいものね...)」
母親はそのまま教育方針について考える。
教育への関心が、その後どう影響したかは分からない――




