別荘に到着しました!
実家を出発して半日、私とお母様は無事に別荘へと到着した。
「これはこれは奥様にお嬢様!」
「久しぶりね、ジュアン」
この別荘の管理をしているジュアンはかつては我が家の執事長をしていた人だ。
現在は息子さんに譲りこの別荘の管理人をしてくれている。
「お嬢様も暫く見ないうちに成長されて……、爺は嬉しゅうございます」
「大袈裟よ、ジュアン」
私は苦笑いしつつ荷物を持って別荘に入った。
「うーん、やっぱり空気が美味しいわ」
窓から見る風景は見渡す限りのパノラマ、余計な建物は一切ない。
あるのは遠くにある山々と青い空白い雲、そして田園だ。
(そういえば、この地域も開発対象になっちゃって変わっちゃったのよね……)
私が王妃だった時に国王が国の近代化を急激的に進めて都市開発が行われた。
この地域も開発地域となりこの風景は消えてしまったのだ。
あの時は国の為とは言え寂しかった記憶がある。
と、ドアをノックしてジュアンが入ってきた。
「お嬢様、お食事の準備が出来ました」
「わかったわ、すぐ行くから」
私は部屋を出て食卓へと向かった。
「本日は川魚のムニエルをご用意致しました」
「わぁ〜、美味しそう……」
「ジュアンの手料理を食べるなんて久しぶりね」
お母様も嬉しそうだ。
私は早速一口食べる。
「美味しいっ!」
「何よりでございます」
「もしかして腕をあげたかしら?」
「いえいえ、なんせ暇な一人暮らしなので毎日作っていたら自然とこうなりまして……」
謙遜してるけどジュアンの料理の腕はプロよりも上だと思っている。
それ以外にもジュアンは凄いんだけどね。