お母様には療養を、お父様には罠を
(まずはお母様の身の安全を確保しなきゃ……、その為にはこの家を出た方が良いわ)
幸い我が家には何ヶ所か別荘がある、そこで療養して貰った方がお母様にとっては良い事だろう。
それに私自身お母様と一緒にいたい、というのもある。
「お母様、一緒に別荘に行きませんか?」
「え?急にどうしたの」
「このままこの家にいてもお母様の体調は良くなりません。いっその事環境を変えてリフレッシュした方が良いと思うんです」
「そうね……、それもいいかもしれないわね」
という訳で私とお母様は療養の為、別荘に向かう事にした。
お父様には執事が伝言してもらう事にした、なんせ滅多に家に帰ってこないからね。
そして私は『ある仕掛け』を家にする事にした。
「これで良し、と」
私は別荘に出かける前夜にこっそりと家の中を歩き回り赤い宝石みたいな物を忍ばせていた。
この宝石、ただの宝石ではなく魔力を込めれば盗聴やら映像を撮る事ができる。
私の予想だと多分お父様は愛人を連れ込む、と思う。
その決定的な証拠をとってやろうと思ったのだ。
まさか実の娘がそんな事を考えている、とは思うまい。
更にメイドや執事、使用人達には私達がいない間に起こった事を記録する様に伝えた。
念には念を入れておかないとね。
準備は整い私とお母様は別荘へと出発した。