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伝説の最強ドラゴンになりました。  作者: 猪八豚
超絶最強の降臨
4/10

004 おつまみ、モグモグ!

 なんと、目の前に供された飲み物は、世界中の皆が熱愛してやまない、最高に冷えた麦酒だとしか思えない代物だったのだ。


 それも、過去に飲んだ様々な麦酒の何よりも、コクがあってキレがある!


 ゴクリ。


 胃の腑に落ちて全身を巡りはじめる、最高の悦び!


 ゴクリ。ゴクリ。ゴクゴクゴクゴクッ!!!


 これは、ヤバ~い! こんなのを飲んだら、お、お、お~~~っ♡♡♡


「んひ~~!!」

「……んひ~~、でございますか?」


 割と大きなコップの中身を一気に飲み干して、喉を伝って私の中に流れ込んできた麦酒のエネルギーが、全身を素早く駆け巡っていくのを感じる。


 まるで、生まれ変わったような気分だ~~~!!


 目の前にはちょうど良くミントちゃんとかいう真新しいママもいるよ。さあ、皆様お待ちかねの、産まれたままの熟女が再登場!


「ママ~ッ!! おっぱい、おっぱ~~~~い!!!」

「えっ!? ちょっと!? ……ね、ねえ、姫さま……こいつ、頭ヤベェんじゃねえですか……?」


 ミントママが酷いことを言うが、その程度の罵詈雑言は過去いくらでも受けてきたのだ。最早、その程度では何とも感じない。バブブ~! バブブ~~!!


「ふああ……! キンキンでしゅわしゅわ~~! ママ、これいいよ、本当にいい……! 通販で買えるかなあ? 何もかもたまらな~~い!!」


 突然ママを求め出し、明らかに饒舌になった私に、3人の何とも言えない感じの視線が集まっている。


「……お気に召したようで何よりです。こちらに、おかわりもございますが……」

「おっ、悪いね! ごくごくごくごく、ぷはーーーっ!! んーと、そんで、なんだっけ……ああ、これだ。この紙に書いたんだけど、一番は『私を召喚した目的は何ですか?』で、二番は『お姫様と聞きましたが、何故こんな暮らしを?』なんだけどね、ごめんね~私、とにかく全然口が回らないから、皆さんにどう聞いて良いのやらほとほと困り果ててたんだよね~~。書いてみたら書いてみたで、まさか文字が読めない!! だなんてこれっぽっちも思わなかったしさ。で、どうなの? どんな感じなの~~?」


 ここまで読んでくれた皆なら、恐らく気がついている事だろう。私は酒を飲むと、口からペラペラと流暢に喋れるようになるのだ。喋れるようになるというか、ダダ漏れになるのだ。


「モ…… モカ、様…………えっと、その……」


 姫様は、何か……最初の想定とは別のやばいモンスターを呼び出してしまった! という感じの目で私を見つめていた。


「目的はですね、モカ様の強大なお力をお借りし、困難を打破するお手伝いをしていただきたくて……」

「ほおおお~~成程成程、あっ、ロレッツさん、もう一杯頂けます? おっ、有り難い……ごくごくごくごく! ぷふぅ~っ、これ、なんだっけ? マヌガルビーだっけ? この麦酒すごい美味いよ! あ~、何かおつまみがあると嬉しいんだけど」


 この後、ロレッツさんが出してくれたおつまみは、実は目の前の何気に飢えている3名にとっては最後の晩餐用の食料だったらしいのだけど、私はそんな事を全く考慮せずに、おいしくバクバク食べてしまったのだった。




 聖マヌガレット王国と魔王領ゴルバリオスの全面戦争は500年にも及び、勇者の出現によって魔王は消滅、長い戦争は遂に終結した。……と、思われた。


 だが、勇者は戦いの結果、魔王の死で発動する呪いに侵され、両手両足が腐れ落ち、視力を失い、聴力も失い、嗅覚と味覚も失って、憎しみの言葉を吐き捨てながら半狂乱の状態で息絶えてしまった。


 長い戦いの間に、王国の周辺は闇の力に覆われたのだが、魔王が消滅しても消えることは無かった。これでは、戦争が終わったのかどうかすら分からない。


 更には、これまでは魔王に支配され、ある程度は秩序立った連中であった魔物達が自由の身となり、本能の赴くまま好き勝手に跳梁跋扈する地獄と化してしまったという。


 戦争中、王国周辺に複数の巨大な魔術防壁塔を作り、間に結界を張って魔物の侵入を拒んでいた事が幸いし、王国内は問題がないらしい。しかし、兵隊同士を戦わせ続ける大規模な戦争が終わり、人口は増え、様々な物資が足りなくなってきてしまった。


 そこで聖マヌガレット王国は、結界の拡大を計画。


 千名の兵士を配下とした軍を王国の北部、南東、南西の3地域に派遣し、現地の魔物を討伐しつつ、結界術式の基礎となる魔鋲を地脈に打ち込み、後続の建築部隊に引き渡し、建築中は引き続き周辺の魔物を退治。これまでの5つの塔と組み合わせた結界を構築することで、多くの安全な土地が手に入る……予定だった。


「国の領土である結界の外に出ると、魔物の出現数が半端ではありません。とはいえ、歴戦の戦士達が千名もいる軍隊ならば、特に問題は無かったはずなのです……」

「姫殿下、ミントさま、そして私めは、魔鋲打ち込みポイントの目の前にあった洞窟の中にテントを貼り、念の為に簡易結界も貼って、事の推移を見守っておりました」

「まぁ~我々って大切なお飾りっすからね。とりあえず、何事にも用心という訳で。で、明日から確認作業を始めようって事で洞窟の外で野営していた千人が、翌朝、突然姿を消してたんすよ」


 まるで、その場には最初から誰も居なかったかのように。


 その代わりに、驚くほど多くの魔物達が待ち構えているのだという。


「残念な事に閉じ込められてしまい、助けを呼ぶのも難しい状況です」

「そこで思い出したのが、姫さまが隠し持ってた極秘の至宝『祖母式:伝説のスーパー最強ドラゴン召喚魔法陣』っす!」

「何とか召喚に成功し、恐れながらモカ様に御足労頂けた次第でございます」


 ふんふんふん。なるほどなるほどな~~。

 なんか良くわからないままだけど、とにかくピンチだって事は分かったよ~~。

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