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7『紅霞後宮物語』雪村花菜


 出版社の何かなのか、印刷所の何かなのか……

 文庫本のサイズが買っている途中で数ミリ変わると微妙な心地になるよね。

 そんな気持ちから始まって、今回ご紹介するのはこちら。


 『紅霞後宮物語』

 雪村花菜


 カクヨムだったかなろうだったかで連載していたのが書籍化して、今は「零幕」という本編の前日譚にあたる物語がカクヨムで連載しているらしい作品です。その「零幕」も書籍化されていますよ。


 中華風の世界で繰り広げられる、一味違う後宮物語に、戦争も陰謀もありの大満足な作品。

 これこれこういうことがあって、後の世でこうなっています、的な描写もあって素敵。

 魅力的な登場人物たちと、声に出して読みたい文章の数々。出会いと別れの物語でもある。

 本当に盛り沢山の要素を見事にまとめ、描き上げた作品です。


 それではいつも通り参りましょう。



【魅力的なキャラクター】


 物語も素晴らしいんですが、それを彩る登場人物たちが物凄く鮮やかで見事なので、物語が更に魅力的になるんだろうと感じています。


 特に主人公の小玉は好ましすぎる人です。憧れるし、もし実在したら上司になってほしい。

 彼女は物語の開幕時点ですでに色々悟ってきている33歳。そのため様々な状況に臨機応変に対応できるし、基本的には理性的で落ち着いている人です。自分のことが大体分かってきていて、どっしりしている感じ。

 そのため「若くて未熟でキャピキャピしている主人公が苦手」という方にとてもオススメ。


 主人公はある程度大人じゃないと、あんまり年齢に応じた人としてのリアリティを追求したときに『ハリー・ポッター』みたいになりますから……読んでいてしんどい主人公いますよね……


 そして小玉の周囲の人々も皆魅力的。彼女の人柄がこうだから、素敵な人が集まっているんだろうなと感じられます。

 ふとんの好きなキャラクターは小玉に付き従う青年清喜。彼が本当に面白くてですね……声に出して読みたい台詞を連発するし、行動は不思議ムーブメンツなときがあるし(彼なりのしっかりした理由はある)、本当に愉快。


 悪役は印象深く、策を巡らせるもの、単純に悪意マシマシなもの、違う思想を持つものなど様々。


 帝国の歴史を主人公の視点で見聞きし、主人公の手で織り上げていくような物語なので、数多の敵と争うことになりますし、陰謀が日常の裏に潜んでいるし、うひゃーって感じ。人と人との繋がりで生まれる物語で話が進む、最高の人物活劇なんですよね。



【人間を描く】


 ふとんの大好きポイントであることはもうご存じでしょう。


 前述の通り、様々な人物の思いや思惑が絡み合って出来上がっている作品なので、そこに描かれている登場人物たちの「人間らしさ」がとても大事であると思います。


 この作品に登場するキャラクターたちは皆リアルな「人間」で、得意なことがあれば苦手なこともあるし、取り返しのつかないような失敗もする。彼らは皆、輝かしいばかりではない「人生」という道を歩んでいます。


 憧れて、会ってみたいと思うのも、現実にいそうだからです。


 後世では輝かしい成功の道を歩み、数多の功績を残した軍人皇后として描かれることになる主人公の小玉も、悩み、別れに涙し、失敗し、そして得た成功を喜びながら、人として葛藤して成長しながら生きています。我々が知る歴史上の人物たちもこうだったのかな、なんて思いながら読むのです。


 こういう立場の人としては大正解なのに1人の人としては駄目、とか、こうして人は人に出会って変わっていくよね、とか、我々が日常で出会う「人間」が見事に描かれていると思います。



【声に出して読みたい文章の数々】


 そして最後はこれ。

 新刊が出るたびに必ず1つは声に出して読みたい文章に出会います。


 実際声に出して読んだ結果、ふとんふぁみりーの中で普通に使われるようになった言葉も……

 それくらい面白くて心に残る文章が沢山あります。


 作者様の脳味噌の中が知りたい。



 以上です。

 今回ご紹介しているのは『紅霞後宮物語』の本編ですが、主人公の若かりし頃を描く――つまり主人公がいかにしてあのような人物になったのか、そしていかにして周りの人々と出会ったのかを描く――前日譚『紅霞後宮物語 零幕』もオススメですよ。


 もうそろそろ新刊が出るので楽しみです。


 それでは、今回はここまで!


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