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5『不思議の国の少女たち』ショーニン・マグワイア


 異世界への入口って色々なところにあるんだなぁ。

 そんな呟きを始まりに今回ご紹介するのは。


 『不思議の国の少女たち』

 ショーニン・マグワイア


 海外のファンタジー作品で、現在2022年2月2日時点でシリーズ3作目まで翻訳刊行されています。

 1作目にあたる『不思議の国の少女たち』はシリーズの中でも特にふとんのお気に入り。


 やはり初めて読んだ時の衝撃が大きかったからですね。とても好きで何度も読み返しています。これを書くために本棚から引っ張り出して開いたんですが、気づいたら全部読んでました。あるある。


 こちらのシリーズはふとんの手元にある『不思議の国の少女たち』の帯に書いてある通り「不思議の国のアリスたちのその後を描く」もので、意図せずして異世界に迷い込み、そしてぴょこんと帰還した子供たちのことを描いた物語になっています。

 書店で見かけた時「新しいなぁ」と思ったふとんでした。大抵の作品は不思議の国のアリス状態の主人公を描くものです。しかしこれは「その後」という。素敵な視点だなあと感じると同時に、きっと残酷だろうなと思いました。


 その「残酷だろうな」という想像は結構正しかったです。

 主人公含む「不思議の国のアリスだった子供たち」はそういう子たちが集まる寄宿舎学校で暮らしているのですが、望んで帰還したわけではない彼らは皆「帰りたい」「あちらこそ自分の世界である」と日々苦しんでいるのです。そして親や周囲と上手くいかなくなり寄宿舎学校へ……という流れに。


 その寄宿舎学校は彼らと同じく「不思議の国のアリスだった子供」が運営している「本来の世界へ帰るための学校」。日々自分の世界のことを話したり、自分の世界に相応しい格好をしたりして暮らしています。本作はその学校に主人公が入学してから起こる殺人事件の解決を目指す物語となっています。


 そんな物語について、好きなところ、感じたところをいつものように書きます。



【それぞれの世界が素敵】


 沢山の「不思議の国のアリスだった子供」が登場するため、その「不思議の国」も多種多様。

 作中で学校の人々はそれを世界の属性に基づき大きく4つに分けています。秩序ある「ロジック」に混沌の「ナンセンス」、「邪悪さ(ウィキッドネス)」、そして「高潔さ(ヴァーチュー)」。

 考えたこともなかった設定だったので驚き、感嘆し、面白く感じました。


 また、生徒たちの口から懐かしげに語られるそれぞれの世界も大変魅力的で、子供たちが彼らなりの適性でそれぞれ相応しい世界へと行ったのがよく分かる上、「自分ならここかな」なんて考えられてしまう、人と世界との相性が見えます。

 ふとんは主人公ナンシーの行った「死者の殿堂」がとても気になります。生ける彫像として死者の王の宮殿を飾る役目。呼吸でも身じろぎせずにピタッと石像の如く固まる技。ちょろちょろしがちな自分にはまず無理だと思うと同時に、モノクロに石榴色の映えるそこはどんなに美しいかしらと夢想するのです。


 そんなふうに、各々の世界が大変魅力的なのが好きなところです。



【翻訳に癖なし】


 これはふとんの主観ですが、翻訳に癖はない方じゃないかと思います。

 たまに翻訳家の文章の癖が強くて読めないやつとかあるけれどこれは大丈夫。


 ただ、日本人には分からない例えがあったりしてそこはちょっと調べ物が必要かも。

 でも調べられないことはどうしようもない。


 ふとんは永遠に「トーストに塗り付けたピーナッツバターなみのオクラホマなまり」が気になり続けるのでした。


 いったいどんな訛り……??



【キャラクターの魅力】


 登場するキャラクターの多くが非常に印象に残り、魅力的です。

 印象に残るのは、基本的にキャラクター情報と共に「行った世界」のことが明かされるからかな。

 「あのハチャメチャな世界に行ったあいつね」と覚えやすい。


 また、容姿の説明がしっかりと描かれているので頭の中に姿を思い浮かべて読み進めやすいというのもあります。行ってきた世界で容姿に影響を受けていることもあり、そういった描写もキャラクターたちの魅力の1つです。それぞれの服装の説明もあるので、本当に絵が描けそうなくらい姿が思い浮かべられるんですよね。


 これはふとん的にとても大切なポイントであるので、好きなところになっています。



 以上です。というかこの辺にしないと長くなってしまいそう。


 本当に魅力あふれるファンタジー作品なので、美しくも残酷な異世界、それを知る子供たちの暮らす寄宿舎学校、そしてそこで起こる凄惨な殺人事件とその結末をどうぞお楽しみください。


 それでは、今回はここまで!


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