19『テスカトリポカ』佐藤究
麻薬はぜってぇやらないと心に誓える本。
お久しぶりです、本日の紹介はこちら。
『テスカトリポカ』
佐藤究
直木賞をとった作品なのでご存知の方も多いはず。
ふとんはネット上で作品名を聞くようになってから気になっていて、六月に文庫版が発売されたので購入し、すぐに読んだものの本棚エッセイを書く気力が無かったのでそのままにしておりました。
元々ヘビー級だとは分かっていましたが凄かった……文庫版ね、704ページあるの……
さてさて、本棚エッセイの書き方を忘れているので過去の内容を読み返しつつ書きます。
【馴染みのないジャンルとリアリティ】
ハードボイルド小説、ノワール小説というジャンルのことは知っていたふとんですが実は『テスカトリポカ』で初体験でありました。
そもそもハードボイルド小説やノワール小説の定義を知らなかったので調べるところからでしたね。それで色々調べた結果、本作品はノワール小説よりもハードボイルド小説寄りかな、という印象です。
すんごい犯罪。なんか、こう、普段読むミステリーやサスペンスとは一線を画す犯罪っぷりでありました。レベルが違う。シンプルに怖い。
そして恐ろしいことに、その犯罪っぷりのリアリティが凄まじくてですね……その凄惨な現場を近くで目撃している気持ちになります。
一般社会に生きる我々では知ることができない世界だけれど、何か一歩境界を踏み違えるとすぐ転げ落ちてしまうであろう近くにある世界。まさに影、そういう裏社会の息遣いを感じました。
本当に心底、麻薬はやるまいと思いましたし、絶対麻薬カルテルには関わるまい(普通に生きていたら関わらないけれど)と心に誓いました。あんな風に死にたくない。
本当に怖かった。上記の通り、普通に生きていたら関わらないはずの世界ですが、作中のとある人物は一般人であったはずなのに一歩、境界線を踏み越えてしまってその影の中に取り込まれるんですよ。こういうことが、自分の身に起きないという確証はあるのだろうか、と不安に感じるふとん。
よいこで生きます……麻薬も借金もしません、危ない場所にも近づきません……
【アステカ神話について】
こちらも凄かった。
神話が好きな身ですが、日本神話やギリシア神話、エジプト神話などのメジャーどころと違ってあまり深くは知らないアステカ神話。その信仰について色々と窺うことが出来ました。ナワトル語、何か雰囲気があってかっこいいね。
物語の終盤、その神話、信仰が、物語内の出来事に凄まじい勢いでリンクし繋がっていくシーンがあるのですが、その自然さが本当に驚嘆に値するものでして……主人公と一緒にうわーって目を見開いたふとんでありました。
また、チャクモールは知っている人も多いかと思いますが、死の笛なんかはふとんこの作品で初めて知りました。YouTubeで実際の音を聞くことができました、大変便利な時代。本当に悲鳴みたい、とても楽しい。そういう文化を垣間見ることができて良かったです。
【大満足のボリューム】
何せ文庫版で704ページですからね……
それだけじゃないですよ、この本、情報量が多いので読むのに時間がかかります。しかし、その大量の情報はすんなりこちらの頭に入ってくるという超絶技巧。
休日に読書を開始したのに、割と速読派のふとんが読破に三日かかったんです……めっちゃ夢中で読んでるのに、ごはん休憩とかでふっとページ数を見ると100ページしか進んでなかったりして……こんなの久々で感激でした。満足です。
ふとんは書籍にカロリーの概念を見ているのですが、その感覚で例えるとこれはもう1000㎉超えでしたね。さっくり100~200㎉の漫画やライト文芸ばかり読んでいたから久しぶりに超ヘビーでした。ハイカロリーな書籍をお探しの方、こちら大変おススメです。
【だというのに読みやすい】
そう、上でも少し書きましたが本当に読みやすかった……
ジャンルが「ハードボイルド・ノワール・犯罪小説」且つ、世界観にどっしり根を張ったものが「馴染みの薄いアステカ神話・文化」というこの内容に加え、読み慣れないナワトル語由来の言葉、カタカナルビが沢山登場するという状態で、この小説は読みやすいのです。
恐ろしい技量だと思いませんか……??
この衝撃はぜひ読んでみて味わっていただきたいです。
……さて、このくらいでしょうか。
なにぶん久々で、本棚エッセイのオススメ書き具合が曖昧。読み返してみると楽しくて紹介されている作品を読み返したくなって思い出しどころじゃなくなるし……
何はともあれ本当に「凄まじい作品」と評するのがぴったりの小説でした。
まだまだ異常に暑いですが、秋は読書の季節。読むものをお探しの方、こちらいかがでしょう?
それでは、本日の本棚ご紹介はここまで。
また次回の作品紹介でお会いしましょう!




