1『指輪物語』J・R・R・トールキン
本作の一番に何を書こうかと、とても悩みましたが、やはりこれかなと数日かけて決めました。
『指輪物語』
J・R・R・トールキン
ふとんねこの幻想世界と創作のバイブルです。
本棚にあるものは瀬田貞二、田中明子訳のもの。新版の文庫です。
この作品についてふとんは「推しッ!!」の気持ちを自分のエッセイの色んなところで散々語っているので今更感もありますが、まあ自由に書きます。
世界で愛される壮大なファンタジー。どこまでも果てしない世界観と、その世界に生きる人々の輝かしい生を描いた冒険譚。苦悩と葛藤にまみれ、それでも生きていく理由になる本当に尊いものとは何なのか、気づかされるような物語でもあります。
また、現代の我々に地続きの物語であることを示す設定がふとんの心をガッチリ掴んでいます。
その辺り、ふとんの作品を読んでくださった方々は何となく「わかる」となるのではないでしょうか。
言わなくても分かるくらいに影響をメッッチャ受けています。というかこれを読んで影響を受けないファンタジーの書き手なんているのか。なんて思うふとん。
一等好きなキャラクターは強く麗しき緑葉の君、エルフのレゴラス様。日常、話題に出す時も常に様付けしてしまう癖がついてしまったふとんです。穏やかな方なのに、戦闘中は無双すぎてときめいちゃう。
本エッセイではあまりあらすじなどを書かないつもりでいるので(ネタバレこわい)その辺は悪しからず。とにかく魅力ポイントや、読んで感じたことを書いて参りますよ。
【ファンタジー界の神】
まずはこれでしょうね。
この作品で描かれた幻想世界がのちのファンタジー作品の多くに影響を与えていることは想像に難くありません。これを読んだら(あるいは観たら)、誰しも心に中つ国の景色を刻み込まれるのではないでしょうか。
それほどに壮大で、素晴らしい物語なのです。
・言語
本当にこれがすごいと思ってやまないところの1つ。
言語を作るって何よと思いましたよね。
作中で特に多く触れられるエルフ語。美しくて、エルフにぴったりだと感じるこの言葉。勉強すれば喋れるようになるのがすごい。もう、すごいしか出てこない。
・幻想種族の確立
特にエルフやドワーフなど、トールキン式の幻想種族は現代のファンタジーの中に未だ生き生きと息づいていますよね。
こうした幻想種族のイメージを確立できたのも、それぞれの歴史などを描き、生命としての文化・存在に厚みを持たせたからなんでないかなと思います。だって、いたかもしれないと感じさせられるから心に強く残るんですもん。
あとはホビットですね。これはトールキン先生のオリジナル。ここまで親しみを持てる幻想種族、主人公に相応しすぎます。そういう意味でも素晴らしい。
・世界観
もう言うことなし。本当に好きです。
どこまでも果てしない中つ国。人の世が作られて、幻想世界がこの世の果てへと去っていく時代が来ている様はふとんをぎゅんとしたものです。
人が、工業が、この世界の幻想を理の外へと追い出していくことへの悲しみは、ふとんも『夜を統べる黒鴉』で描きましたがやはり影響はここから。
中つ国のことをもっと知りたいとなったら、『指輪物語』の文庫新版10冊目「追補編」へGO!
資料集であり、年代記や家系図、暦や各種族の言葉について解説があります。
ふとんが一番ときめいたのは「固有名詞便覧」。これだけの世界観を戴く物語ですから、大量にある固有名詞を好き勝手見られるのはたまらなく楽しかったです。
そして『指輪物語』と『ホビットの冒険』を読んで、更にこの世界の成分を摂取したいとなったら『シルマリルの物語』をぜひ。
ほぼ『古事記』みたいなものですから、ふとんも読むのにかなりの時間を要しました。物凄くごっつりしてますよ。でも神話が素晴らしくてたまらないので、神話が読める人はこれも読んでほしい。
【冒険譚そのものより、その中で歩みゆく人の物語】
これもまた、ふとんへの影響の強いところ。
生きていくとはどういうことか、人とはなんであるか、絆とはどういうものか……そうしたことを丁寧に描かれているなと思います。
主人公のフロド。若かりし頃のふとんは「ウザし」と感じてしまいました。
しかし、胸躍る冒険よりもそこに生きる人々を重視するようになってから、その「ウザし」が何故感じるのか分かるようになりました。
彼は等身大の存在。善悪の狭間に揺れ、折れてしまいそうになりながら、負けてしまいそうになりながら、それでも歩みを止めなかったのです。
善悪の狭間に揺れる様は、我々が生きている中で自分自身にも見られること。だからこそ冒険譚の中ではその一種のリアルが苦しく見たくないものに感じられてしまうことがあるのでしょう。
彼に寄り添い続けたサムは彼の善を。彼に囁きかけるスメアゴルは悪を。
3人の旅路にはそういった構図が見えるのでした。
【現代っ子には映画からをオススメ】
しかし、古いガッツリ文学が故の仕方がない残念(というと少し違うけれど)ポイントも。
キャラクターの書き分けがね……
昔の本あるあるではあるのですが……
誰がどんな容姿か、読むだけではよく分らんのです。
更には口調も皆あまり変わらんのです。
なので当時映像媒体の無かった『ホビットの冒険』(今はあるよ、名作だよ)や、未だ映像化されていない(たぶんむり)『シルマリルの物語』を読んだときは苦労しました。皆、耳慣れない片仮名名だし。
そんなわけで、無理して小説から入る必要はないのかなと。
ふとんの初『指輪物語』は映画で、そこから小説へのルートでしたが、小説を読んだときに「キャラの容姿不明ぢゃん……」と思ったので、映画からで良かったかなと思っているところがあります。
あんまり難しいと、面白くても苦労しちゃって楽しみきれないこともあるじゃないですか。
それなら映画でキャラクターの容姿等各特徴を頭に入れてから小説に入ってもいいと思うのです。
どんなコンテンツも入口は自由。それが一番です。
ただ、映画でフロドが少年だなぁと思っていたので、実際はおじいで衝撃を受けるなどの事件はあります。それに映画に描かれていない魅力的なシーンなどもあるので「ここも映画化してちょ」と思い、追加の映画化プリーズ欲求が生まれることも。
ちょっとした仕方ないポイントなので、これがマイナスになったりはしません。
ちょっとやそっとじゃ揺らがない素晴らしい物語なのです。
以上です……というかこのくらいにしないと無限に語ってしまう……
現に『ホビットの冒険』や『シルマリルの物語』にも触れ始めているし。
そういうわけで、ふとんねこのバイブルになっている世界最高峰のファンタジー『指輪物語』のご紹介でした。ファンタジー好きさんはぜひ、映画でも何でもとにかく触れてみてほしいです。
……あっ、今更ですがふとんがオススメしている映画は勿論有名な実写版の方ですよ。
アニメ版がですね、あまり有名じゃないけど1本あるんでした。実はふとん、こちらは目撃はしたものの観たことなくてですね、オススメできるのかどうなのか分からんのです。もし観たことあるって人がいたらぜひどんなか教えてください。
そんなわけで『ふとんの本棚』初回、こんな感じで終わります。
それではまた、次回お会いしましょう。