表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/22

10『銃・病原菌・鉄』ジャレド・ダイアモンド


 なんと、ふとんの本棚10話到達ですよ!!

 自分の需要だけで書くもののなんと心地よいことか!!


 そんなわけで今回はちょっと特別回。

 ノンフィクションで、学術的なご本のご紹介。


 『銃・病原菌・鉄』

 ジャレド・ダイアモンド


 実はふとんのファンタジーにめっちゃ影響を与えている。

 色々と人種のお話がされる現代で読んでおいて損はないと思う作品であると同時に、一種のリアリティを有するファンタジーを書きたいという人にオススメのもの。というかふとんが語りたいのはそっち(後者)。ふとんは政治的・思想的なお話は全力で避けてるんで。だって読者に変な先入観を与えて物語の受け取り方を歪めてほしくないもの。


 そんなわけで、今回は魅力と言うより(勿論魅力的で勉強になる本ですよ!)どの辺がふとんに影響を与えたのか書こうと思います。


 如何せん読み直すのが大変なものなので、読んで数年経っても未だに思い出せる印象深いところを掻い摘んで。


 本作は、現代社会のあらゆる格差を生んだ歴史上の様々な発明等の出来事について、人種は関係なく、単なる植生や気候、土地の形等の地理的要因によるもので、それがたまたま今の社会と歴史を生んだというお話なのですが……


 その中で、ふとんのファンタジー観に大きすぎる衝撃を与えたのが「鉄」でした。


 本作のタイトルを見れば一目瞭然ですが、銃と病原菌と鉄が人間社会の発展や変革を生みました。それは正直大きすぎるもので、ふとんの考えとしては、自然と共に生きる生き物には過ぎたるもの、そういうものであったと思います。

 だから今の人間は自然の敵のような状態になってしまっているのだろうと考えてしまいます。人間はそれらを生み出して使うことを決めた時、自然を食らい潰して生きる道を選んだのでしょう。


 その始まりになるのが「鉄」です。


 鉄、鉄器を作るには、それまでの青銅器の炉とは比べ物にならないほど高熱の炉が必要でした。

 そのためにはより多くの木を切り倒し、より多くの燃料を得る必要があります。

 人間は森をどんどん切り開いていきました。森林の自己回復が間に合わない勢いで、望むままに木を切って燃やしていったのです。


 そして得た鉄は他の征服に、更なる開拓に……確かに文明の大きな発展をもたらしました。多分人類史で、一番大きく、一番の致命的な発展だったのだと思います。


 これが、ふとんのファンタジー観を揺らしました。


 鉄の誕生が、幻想世界を人間から遠ざけてしまったのだと感じたのです。


 この衝撃は『夜を統べる黒鴉』によく表れています。あの作品は、この世界の「あったかもしれないかつての幻想」ですから。


 自然を食い潰して生きる道の選択、それすなわち幻想生物を殺す道の選択。

 幻想生物は自然と我々人間の想像力から生まれました。幻想生物は自然であり、本来は人間と一定の距離を保ちながら交流してきた存在です。人間は畏敬の念を持ち、彼らに接してきたはずでした。

 しかし我々は「鉄」を生み出してしまいました。それは人間の力、人間の強欲さの象徴となりました。


 だから鉄の誕生から始まった科学文明の、その技術の飽和しきった今の世界に、幻想生物はいないのです。


 我々が殺し尽くして、残ったものたちもこの世界の理の外へ行ってしまってもう戻らないのです。


 ふとんはそれを悲しいと思いながら筆を執ります。あったかもしれないかつての幻想を夢想して。



 以上が、ふとんねこが『銃・病原菌・鉄』から得た学び、ファンタジー観の衝撃でした。

 この他にも人類の発展、言語の誕生、移動など、ファンタジーを書く上で得るものは大きい作品です。

 なのでファンタジー書きさんには是非読んでみてほしいと思います。


 それでは、今回はここまで。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これは他で注目されていた本でした 製鉄技術の発展は装飾のみならず 武器や火器ど銃を含め大砲本体や弾など 様々な利用価値が高いものです 伝染病はまた、武器にもなり得ますし 意図せずに自他を滅ぼ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ