ダブルウエディングへ
1000文字の軽いTSモノです。
誰に言っても、信じてもらえ無いだろうけど
ボク、薬袋 奏多は、朝起きたら、女の子になっていた。
どうして女体化したか理由も分からず、両親に連れられ病院で検査を受けるも
返ってきた、お医者さんの言葉は、「分かりません」との事だった。
兎に角、病院での治療は不可能と言われてしまい、家に帰ることに……
急に女の子になったことで、此れからどうしたら……と苛まされながら、二階の自分の部屋に入るが、窓が外から叩かれる。きっと幼馴染の柚子だ。
柚子とは、生まれた日も病室も一緒で、ずーと側に居るため、下手な家族より仲が良い。
その柚子は、隣の家に住んでいて、手を伸ばせば届く位近い距離にある為、窓を開けて話をしたり、漫画やDVDの貸し借りを良くしていた。
「ねえ、奏多。病院から帰ったんでしょ。どうだったの?」
柚子が、心配そうに聞いてくるけど、今は、ボクのこんな姿を見せたくないため、寝た振りをして無視していたら、突然窓が開けられた。
「ちょ! 何勝手に入ってきてんのさ」
「だって、窓の鍵が開いてたし」
「ちゃんと玄関から来ないと、おばさんに怒られるよ」
「大丈夫よ! お母さんは、さっきスーパーのタイムセールに出掛けたから、暫く帰らないわ」
まったく、いくら近いからって、落ちたらどうすんだよ……ここ、二階だぞ。
ボクはベッドの上で、姿を見られないように、布団を被っていたが、柚子にあっさり剥がされた。この馬鹿力め。
「あら、可愛い」
「笑いたかったら笑いなよ……」
「あはははは」
「本当に笑いやがって、チキショー」
涙目になってるボクを、優しく包み込むように抱き締めてると
「やだー、妹が出来ちゃったみたい!」
「おい! ボクのが5分早く産まれて、歳上なんだけど」
「5分位、なによ。それに、女の子歴は私のが上だし。此れからは、おねーちゃん……いや、御姉様って呼びなさい」
コノヤロウ……調子に乗って……
「でもさ、ボク……もう柚子と結婚出来なくなっちゃったね……」
今更こんな話と、笑い飛ばされるかもしれないが、小さい頃に、柚子と将来の結婚を約束しあったのだ。
「はぁ? 何言ってんの? こんな可愛い妹分、他に嫁がせる分けないでしょ」
「だって、ボク女の子に……」
「私が、貰ってあげるから、心配しないの!」
その柚子の一言で、ボクの戸籍変更処置は行わず、見た目女の子同士の許嫁として、波瀾万丈の学校生活が始まるのだった。
3年後の卒業後のダブルウエディングを目指して……
御愛読ありがとうございました。