表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結御礼】新説信長公記! ― シスコンお兄ちゃんが大好きなんだけど、モテすぎだしハラスメントな信長さまだから、織田家滅亡のお手伝いをするね! ―  作者: 香坂くら
第四章 兄妹乖離(歴史物じゃねぇの?)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/125

49話 番外 雑賀の荘 その五


「ふう。やれやれだな。ま、マンガだから主人公が最後に勝つのは分かってたが、まぁまぁハラハラさせる展開ではあったな、うん」

「素直に面白かったと言えんのか、オマエは」


 言ったら負けの気がするんでな。ゼッタイに言わない。


「さぁさぁ、とっとと続きをめくってくれ」

「難儀な性格じゃのう」


 ――大会が終わった数日後、明智光秀(みっちゃん)は、雑賀ノ荘を発ち、朝倉家に帰る事にした。出迎えには鈴木重秀と土橋守重師匠、それに牧少年が顔をそろえていた。


 鈴木重秀が光秀(みっちゃん)に声を掛ける。


「ここで鉄砲について色々学んだと思うが、学びに終わりはない。更に精進なされよ」


 続いて師匠も、


「われわれ傭兵稼業も生業としている。金によって敵味方が変わる。つまり、アンタの敵になる場合もあるってコトだな。その時には、その短筒で真っ先にオレを撃ちに来な。ハハハ、まぁ返り討ちにしてやるがな。……オマエは実に有能な狙撃手だった」

「師匠の言葉、身に沁みます。ありがとうございます」


 しばしの間。

 言いにくそうにしていたみっちゃんが、意を決して口を開いた。


「受け入れ難い申し出ですが。……牧君をわたしに預けては頂けないでしょうか?」

「え?!」


 これは重秀と師匠が同時に反応した。二人は顔を見合わせた。

 

 師匠が少し考えたふうに黙り込み、やがて微笑んだ。


「牧よ。お前はどうなんだ?」

「……ついて行きたい。光秀さんについて行きたい、です」


 師匠は、牧少年の頭にポンと手を置くと、重秀に目で会釈した。軽くうなづく重秀。

 背中を押された少年は、みっちゃんのそばに走り寄った。


「これ。持って行きな」


 牧少年に種子島長筒を渡す。


「大した価値は無いでしょうが、わたしからの気持ちです」


 みっちゃんは抜いた短刀で、腰まで伸びた髪を、首のあたりでばっさり断ち切った。それを重秀に渡す。


「十分だよ、これで。これからも入門したい者がいれば連れてこい。出来りゃあアンタみたいな美人がいいがな」

「ありがとうございます」


 最後、みっちゃんの満面の笑顔で雑賀ノ荘の話は終わった。

 めでたし、めでたしだ。よく描き上げやがった。


「この情熱、仕事でも応用すべしだよ、みっちゃん!」

「おうさな」


 ところで、二つ疑問がある。


「帰蝶よ。質問なんだが、この雑賀の二人、意外にあっさり牧少年を渡したな? 貴重な人材だったんじゃねーの?」

「牧少年の将来性を見越したんじゃろうて。このまま雑賀で傭兵になっちまうよりはとな。可能性に掛けたんじゃと思うぞ?」

「それじゃあ、みっちゃんはなんで急に牧少年を引き取りたいって言い出したんだ? そりゃ鉄砲の腕を見込んだのは分かるが、ひとり増えりゃ養いも必要だろう? 朝倉の居候の身分で大変じゃねーの?」


 帰蝶のヤツ、ニタニタ顔でボクに絡みつき。


「わかっとろーが。光秀が牧を引き取る気にナゼなったか。それはカンタン明快! 光秀は真性陽性の《ショタ》だからじゃよ!」

「あーっ。《ショタ》ね。……なるほど」


 ボクはそのことを念頭に置きながら、もう一度、第一巻のはじめから読み返してみた。

 ふーん。なるほど!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ