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20話 寧々って女の子が独白で説明回してるって話


 わたしは寧々(ねね)。十四歳の中学二年生。母星イカスルメル星から地球に来たの。


 何しに? って聞かれたら即答困るんだけど、愛? って言うの? こう見えてもわたし、一図なんだよ? ってちょっとせかさないでよ、ちゃんと説明するから!


 わたし、小五の時からウーチューバーの《ミショーさま》じゃなかった、織田信長さまの大ファンなんだ! 新着動画はもちろん欠かさず見てるし、握手会だって毎回参加だし、二年前に初めて出た写真集(ライブチケット付き)だって、見事に予約当選しちゃったんだよ! うう! あんときはホントにうれしかったぁ。


 もっともその時はお母さんに相談したら、メチャクチャ怒られて。お小遣いも出して貰えなくって、結局新幹線代が払えず。ライブビューイングで我慢したんだけどさ。それからはずっとお母さんとはケンアク状態。口なんてきいてないし。


 今はねぇ、わたしもウーチューバー目指して日々勉強中。信長さまの動画を見て研究してるんだ。それとさ、信長さまの妹のイチミちゃん、じゃなかったお市ちゃんの応援する会、《こねこノワール》を立ち上げて、地球まで追っかけて来たって言う……。現地で新しい友達もできたんだよ。コミリョク高いでしょ!


 え? お金?


 それは、お市ちゃんの応援をって条件で、SNS通じて声掛けしてくれたオジサンのおかげで。


 え?……は? ……ば、バッカじゃないの?! わたしがそんな、はっ、恥ずかしいコト、するわけがないじゃない! ただ純粋にっ、わたしの想いに共感してくれて! してくれただけだしっ! ホンット、キモイ発想! どっからそんな思考が出てくんの?!


 ……ま、いいわ。


 え? ちなみにその人の名前?

 あなた、警察?

 ま、いーけど。


 アンドウプロダクツの安藤社長って人よ! イカスルメル星の同級生が所属してるアイドル事務所の社長だよ!

 でも言っとくけど、オジサンをチクらないでね。恩人なんだから。それとお母さんにも絶対にナイショでね!


 同級生はダレって?


 もういいでしょ、そんなのは。あなた、わたしの話を聞きに来たんじゃないの?

 え? ちがう?

 インタビュー?

 誰の? あー、その子の宣伝も兼ねて?


 はいはい。なんだ、そーゆーコト。……はぁ。


 その同級生の名前は竹中半兵衛ちゃん。あとその妹たち。

 わたしより少しだけ早くウーチューバーになって、わたしより少しだけ早く地球(こっち)に上陸して、わたしより少しだけ早く信長さまとお近づきになって。


 うーっ。なんなのよっ。くやしいってか、くやしー! うらやましーっ! ちっともうらやましくないんだからーっ! なにがTAKE-NAKAよ、ダッサイ名前! 女子小学生(こども)にウケたって何の自慢にもなんないからっ。


 ……ごめんなさい。安藤社長、ごめんなさい。

 って言うかさ?


 さっきから、ずーっと気になってたんだけど。


 なんで、おサルのあなたが言葉しゃべれるの? 特技? 魔法? ……へー、カガクギジュツ? ……ワカンナイ。


 ちなみに友達はって?

 半兵衛ちゃんのプロモとはカンケー無いでしょ! コジンジョーホーホゴがどうって……!


 はい? はー? この際、説明回にしたいから? よく分かんないけど、分かったわよ。


 まつちゃん。篠原(しのはら)まつちゃん。


 艶っとした透明感のある髪をながーく腰まで伸ばした、すらっとした美形さん。

 騒がしいわたしと違ってとっても落ち着いていて、勉強が大得意。ひとつ屋根の下で暮らしてる前田又左くんがダイスキな小五女子。


 彼女ね、《こねこノワール》のメンバー第一号になってくれたんだよー。もっと明るくなりたいんだって、清須の町なかでわたしに声をかけてきたの。


 そのときわたし、信長さまとお市ちゃんを情宣する用の《のぼり》を背負って、ビラ持ってお店を訪ね歩いてたから、結構目立ってたんだろうね、いろいろ話しこんじゃった。そしてすぐに意気投合。わたしも嬉しかったし。


 だいぶ勇気がいったって思うな。知らない人に声かけるのって。それ以上に「好き」ってキモチを相手に伝えるのって。そんな話をした。


 でも、よりによって又左かぁ。わたしもよく知ってるヤツだけども。

 あの男子のどこがどういいんだろう?


 彼? うーん、ヘンなヤツ……としか言いようがない、正直。


 メッチャ単純にオタクだし、ハデしか印象ないような赤い服ばっか着てるし、いっつも丸い袋みたいなのを背中にくっつけて、ムダに暴れてるし。そういうことをするのが織田家の家来の務めだって公言してるし。

 まぁ、ひいてはお市ちゃんや信長さまのお役に立ってるんなら、それはそれでいいんだけどもさ。


 ただ。

 ひとつだけ強いて言えば、彼、女の子にすごーく優しいんだよね。乱暴者のクセに女の子は守ろうとするって言うか。

 たぶんねぇ。そこが魅力、かな。


 最後に?

 織田信長と市の魅力とピーアール?


 そーねー……。

 不幸探しって言いながら、ホントは幸せになりたい、カワイカッコイイ二人組! かな。


 これからもゼッタイゼッタイ、応援してるからね!


 のぶながさまー! スキーっ!


 あっ、カット? なんで! なんでなのー?!



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