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俺は死んだのか……
死んでも意識があるものだろうか?
幽霊って奴になったのか?
足の感覚、手の感覚もあるな……
まさか生きてるのか?
「ここは森?神社に居たはずだったが吹き飛ばされたのか……それにしては怪我一つ無いが」
そこは鬱蒼とした森だった。
木々の隙間から見える空はさっきまで見た茜色ではなく澄んだ青が見える。
「朝?寝てたのか俺は?それにしても暑いな……」
携帯を探して時計を見ると。
「あれ?さっきと時間が変わってない……電波もない、さっきの雷で壊れたのか?」
とりあえず現状がわからない状況では埒が明かないので森を進むことにした。
「裏山に山菜取りに行ったときに、こういう道もない遭難したような状況は下るんじゃなくて登れって昔婆ちゃんに言われていたな」
『覚えときなさい、もし遭難したら落ち着いて下るのではなく上に登り見晴の良い所を探し下山ルートを探しなさい、慌てて下手に下ると道が崖で無くなってたりとかするからね、あと川沿いを降りれば人里にでるというがあれも嘘ではないが危険だよ、急峻な日本の山の沢にはかならずといってよいほど滝があるからね、あと増水とかで身が危険になることもあるからね』
「しかし、ここはほんとに日本なのか?見知ったような植物もあるが……この植物なんか見たことないが…うお!」
遺産行使>祖母のメガネ
何か声の様なモノが聞こえて俺の目の前に婆ちゃんのメガネが現れた。
「なんだこれは」
恐る恐るメガネを手に取るが変わったところは見られないが、
そのメガネを除き込むと先ほどの植物に名前が表記されている。
~ドクダミ種 風草 ~
成分、構成物質等ほぼドクダミ草と同じ
「なんだこれ……一体どうなってるんだ」
その後、幾つかの植物で確認したが同じ様に名前が表記された。
「ありえない、俺は夢でも見ているのか?……一体何が起こってるんだ」
驚きはしたがこのままここに居る訳にも行かないので森を進むと開けた場所に出て愕然とした。
「ここは一体……」
そこには見たことも無い景色が広がっていた、
少なくとも俺がいた町では無い、目の前には森が広がっておりその先に町は無くあるのは遠く先に大きなドーム型の建物が1つあった。
「ここはどこだ」
何も考えられず立ちすくみ呆然とその景色を眺める事しか出来なかった、
ただ呆然とどれくらい時間が経ったのかわからないくらい……
グ~~
「こんなときにも腹は減るんだな、とりあえずあのドームを目指すしかないか」
携帯の地図も使えないのが、太陽はあったので位置関係を確認しながら進む方向を決めながら進んで行った。
それから半日程歩いただろうかようやく街道のような道が遠くに見えてきた。
「ちょっと高い崖だがなんとかなるだろう」
崖に近づこうとするとそこに何か赤いモノが見えた。
よく見るとそれは人の様だ。
「おい!大丈夫か」
慌てて駆け寄るとそこには一人の女の子が居て腕を汚したらしく血を流していた。
「意識はあるか」
「ううう」
どうやら意識はある様だったので一安心したが取りあえず傷の手当てをしないと、
そっと女の子を寝かせ、傷口をハンカチで縛り止血した後で水を汲みに行くことにした。
「ええと、とりあえず傷口を止血は出来たけどこういう時は……」
『また怪我したんかいもうしょうがない子だね、ちょっとまってなさいね確か庭にユキノシタがあったから……ほら、これがユキノシタ小さい丸い葉っぱで湿った所に生えてね、
かすり傷にはこれの汁をつけるといんだよ、捻挫にはこの汁を染み込ました布を当てると冷やしてくれるんよ』
「ユキノシタか……湿ったところか~川の近くに無いかな、そうだ!あのメガネで」
俺は先ほど突如現れた婆ちゃんのメガネをかけて川の近くの岩場などの湿った場所をさがしていると……
「あった!」
~ユキシタ種ユキシタモドキ~
成分、構成ともユキノシタとほぼ同じだが成分濃度が高い。
「これを使えば少しは良くなるかな」