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ex 価値のある人間である為に

 雨が降りしきる午前の王都。

 その頃墓場で起きている事など何も知らないリーナは、紙袋を手に自分の住むアパートの一室へと戻って来た。


「傘持ってって良かった。危ない危ない」


 手にした紙袋が濡れなかった事にホッとしたリーナは、一旦テーブルの上に買ってきた紙袋を置いてから、キッチンへと向かう。

 そしてしばらくして、紅茶を入れてテーブルの前へと戻って来たリーナは紙袋を開封。

 買ってきたのは魔術教本である。

 一応一般的な書店で流通している物の中では上級者向けとされるものだ。


「……うわぁ、これ絶対難しい奴だ」


 その教本の中をパラパラとめくっていくと、やはりというか当然ではあるが、初心者向けのものとは遥かに習得難易度が違っていた。内容そのものもさることながら、書かれている文章そのものが小難しいものになっている。


(……これ明日までに何個覚えられるかなぁ)


 最もそれらは通常一日で習得できるものではないのだが、少なくともリーナはそれを複数個習得していくつもりだった。

 少なくとも、そうしようと思えるだけの熱意はそこにあった。


 新しい何かを覚える事は、きっと自分の価値を高めてくれるから。

 そして……仲間になった。友達になった人達の役に立ちたいから。


(……友達、か)


 改めて昨日、自分が勝手に思っている訳ではなく、正式に友達になれた二人の事を脳裏に浮かべ……顔がほころぶ。


 嬉しかった。友達ができた事が。


 少し前に色々あって冒険者になる為に王都にやってきた。

 それから出来た初めての友達。


 そして……生まれて初めてできた友達。


(それにアリサちゃん……パーティーに寧ろ来て欲しいって。私が居たら楽しそうって。先輩も受け入れてくれたし)


 そうやって昨日の事を思いだして笑みを浮かべ……そしてやがて、どこか皮肉めいた笑みを浮かべてポツリと呟いた。


「……生きてる意味の無い無価値な私でも、必要としてくれる人はいるじゃん……お母さんの嘘付き」


 そしてそれから、気を取り直して魔術教本に目を通していく。

 仲間に。友達に。自分を必要としてくれる人達の為になれるように。


 ようやく見付けた居場所を守る為に。

リーナの口調が違うのは、ご自宅一人仕様という事で。


さて、これにて二章終了です。

次回から第三章突入。二章はほぼ王都の中にいてファンタジー感薄かったので、三章はもうちょっとファンタジーします。


此処までの話を面白いと思って頂けたら広告下の☆☆☆☆☆から応援していただけると嬉しいです。

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