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ただキミを幸せにする為の物語 -SSランクの幸運スキルを持つ俺は、パーティーを追放されたのでSSランクの不幸少女と最強のパーティーを組みます-  作者: 山外大河
四章 冒険者達の休日

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28 魔術師の活動限界

「二人共見ました!? リーナさん凄いですよ!?」


「ああ、すっげえわ今の。あんなもん突然上から落ちてきたらひとたまりもねえな」


「同感だ。というか今直接戦ってたから結構ギリギリだったが、もし完全に不意打ちで使えたら馬鹿みたいに強いな」


「ですねー。仮に避けるスペース無かったら直撃ですよ」


 ……いやほんと、もし不意打ちであんなもん食らったら間違いなくやられるわ。


「どう、凄いでしょウチの弟子!」


 そう言ってルナさんはドヤ顔を浮かべる。

 ……あぁ、これは波長合うわ。

 なるべくしてなった師弟感ある。


 ……まあとにかくだ。


「……ま、これでどうにか四人で仕事やれそうだな」


「だな。俺がAでそこ基準に考えたら多分Bは許容範囲だろ」


「まだボクのテスト終わって無いのに気が早いですよ二人共」


「いや、アリサは余裕でSランクとかSSランク取れるだろ」


「そこは最初からなんの心配もしてねえ」


「そ、そうですか……えへへ。しくじらないように頑張ります!」


 まあアリサはグレンの言う通り何も心配していない。

 不当にFランクとか付けやがった連中に泡ふかせてやりてえとか、そんな事が百パーセント可能な事だと思える位に強いんだから。


「……でもまあ、無事攻撃喰らう事なく此処までこれて良かったよほんと」


「確かにそうですね」


「アイツその辺ビビってたからな」


「これで何事もなく元気に戻ってこれますね」


 精神的なダメージが具体的に分からないが故の恐怖をリーナは感じていた。

 そんな中で無傷でBランクに上がれたのは本当に良かったと思う。

 多分此処で止めてももう大丈夫だし、大丈夫ならもう止めるんじゃないかと思うから。


「とりあえず皆でお疲れさまって出迎えてやろう」


「三人共、リーナちゃんが此処でリタイアする前提で話してるね」


 ルナさんからそんな指摘が入るが、まあその前提で話しても良いと思う。


「いや、まあAに挑戦はしないと思うんですよ。Bで結構キツそうだし、そもそも俺達四人揃って仕事受けるた為にこうしてテスト受けてる訳で。グレンがAランクでそこ基準に考えるとここらでもう十分だと思うんです」


「流石に低すぎるレベルの仕事をやるのはどうかと思うが、Bランクのテストを問題なくクリアできる奴が受ける依頼ってのが正直な話俺達の適正だと思うんですよ。俺もAランクのテストはギリギリだった訳で。安全マージン考えるとBランクのリーナが受けられる仕事の範囲ってのが丁度良い」


「こんな事言うとあまり良い印象受けないかもしれないですけど、ボク達ギリギリ達成できるような依頼受けて一攫千金狙うようなモチベーションで冒険者やってないですから」


「ふーん。つまりエンジョイ勢だ」


「そんな感じです」


「まあ良いと思うよ。お金稼ぐために命懸けるのは馬鹿らしいし。寧ろ知り合い達がそういう考えでいてくれる事にちょっと安心した」


 どこか安堵するようにルナさんは言う。

 ……そんな事を言いながら最強のパーティーとかいう異名が付いている辺り、この人達は本当に凄いんだと思う。

 ルナさんの言葉を借りれば、エンジョイ勢でその高みに到達してるって事なんだから。


 そしてルナさんは言う。


「まあこんな話しといてなんだけど、私も此処までだと思うな。現状リーナちゃんは後衛のサポートポジションなのに頑張ってこのテスト受けてるような感じだし、正直此処が限界だと思う」


 そして何より、とルナさんは決定的な話を言う。


「そもそもリーナちゃん魔術師としての経験浅いから魔力の貯蔵量ってそんなに多くないと思うんだよ。ああいうのは経験積んで増えてくわけだし。まあそれでも過剰に無茶な使い方をしなければ切れないとは思うけどさ……さっきのアレは過剰な使い方だと思うんだ。結構持ってかれるよ魔力を」


「なるほど。じゃあ続けようにも続けられない訳ですね……改めてこのインターバル無しでやってくテストのむ無茶苦茶さが浮き彫りになったな」


 魔術メインの奴が不利過ぎる。

 なんだこの試験。


「だからこれで終わり――」


「じゃあ次、Aランクのテスト始めまーす」


「「「「……ッ!?」」」」


 あまりにも予想外の事をスタッフが言い出したので俺達は皆して思わず声にならない声をあげた。


「え? やるのか? ま、魔力足りないんじゃないかアイツ」


「……これ、もしかして気付いて無いのかもしれねえぞ」


 グレンがそう呟く。


「気付いてない? どういう事ですかグレンさん」


「お前ら、魔力が切れるまで魔術使った事あるか?」


「あ、いや……切れる程燃費悪い魔術使えねえし」


「ボクも最近魔術覚えて、しかもたまにしか使ってないんで」


「そういやグレンはこの前の戦いの時、枯渇するまで魔術使ってたな。そんな分かりにくい事なのか?」


「……切れたってのは分かりやすい。魔術が使えなくなる訳だからな」


 だが、とグレンは言う。


「一度無くなる事を経験しねえと、無くなる直前の感覚ってのは分からねえだろ。目盛りついた容器を視覚で捉えてる訳じゃねえんだ。無くなって初めて、その直前の感覚が枯渇寸前だったって事に気付く」


「なるほど」


 ルナさんが納得したように言う。


「じゃあ今のリーナちゃんは、今の自分に殆ど魔力が残っていないって事に気付いてないんだ。魔術の特訓って言ってもひたすら魔力切れるまで使い続けるみたいな脳筋みたいな特訓した訳じゃないし……一回枯渇するまで使わせるべきだったかも。やっば……」


「……じゃあ完全に詰みじゃないですか。不味いな……」


「いや、でもクルージさん。まだもしかしたらリーナさんが凄い一杯魔力持ってる可能性だってあるわけで」


「……だといいなぁ」


 だとしてもキツい戦いだとは思うけど。


 ……まあこうなった以上俺達に出来る事は一つ。


「とりあえず……応援しよう」


「そ、そうですね……」


「そうだな……それしかねえ」


 ほんと、それしかない。

 ……頑張れリーナ。

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