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16 職場の変貌

 なんか紆余曲折はあったものの、俺達四人は無事ギルドに辿り着いた。


「とりあえず受付行こう。そこで新規の登録申請もできるし」


「おう」


 中に入った俺達はそのまま目的であるグレンの登録を済ませる為に受付へ向かう。

 ……向かっているのだが。


「なんか皆カードみたいなの首に下げてますね」


「ほんとだ。なんすかねアレ」


「俺達がしばらく来てない内に何かあったのか?」


 すれ違う人が皆、それぞれ身分証明書のような物を首から下げていた。

 すれ違う際に僅かにアルファベットが記載されているのが見えたが……マジで何あれ。

 そんな疑問を抱きつつ俺達は受付へ。

 今日もそこに立っていたのは、俺とアリサの初仕事やリーナと出会った創作依頼にグレンの持ってきた仕事と、なんか馴染みがあると言っても過言ではない受付嬢のお姉さん。


「どーも」


「あ、無事退院されたんですね」


 少し安心したように受付嬢さんはそう言う。


「もう仕事を始めても大丈夫なんですか?」


「いや、クルージさんはまだ怪我人なんで駄目です……駄目ですからね?」


「いや、心配しなくてもこんな所で見栄張らねえよ……」


「今日私達が来たのは別に依頼を受けに来たって訳じゃないんすよ」


「そうそう。この前俺達の依頼持ってきたグレン。コイツの冒険者登録済ませたくて」


「あ、グレンさん冒険者になられるんですか? 確か前依頼においでた時鍛冶師やってるって言ってませんでしたっけ?」


「ああ。で、この度王都で開業する事になったから、その資金稼ぎの一環でって感じだな」


「鍛冶師をやる為の資金稼ぎ……ですか」


 どこか懐かしいような悲しいような、少しだけそんな表情を受付嬢さんは浮かべる。


「どうかしたっすか?」


「いや……以前同じ事やってた子が居たなって。偶に一緒にご飯とか食べに行ってた友達だったんですけど」


「以前って今は――」


「クルージ」


 言葉の途中でグレンに止められる。

 ……まあ確かに、あまり踏み込んでいい話ではなさそうだ。

 助かるよ、グレン。


「まあとにかく、冒険者になる為の手続きしに来たって訳だ」


「ボク達は付き添いですね」


「一人じゃ怖くて行けないって駄々こねて大変だったから仕方なくっす」


「俺そんな事一言も言ってねえよなぁ!?」


「「え?」」


「お前ら二人共そっちに乗っかんの!? もしかしてさっきの件怒ってる!?」


「ははは、怒ってねえよ」


 怒ってない怒ってない。今度肝試し行こうな。


「なんだか皆さん仲良くやれてそうでいいですね」


 そう言って笑う受付嬢さんは一拍空けてから言う。


「ではグレンさん。こちらの書類に目を通して頂いて、それからこちらの書類の各項目に記入を。分からない事がありましたらその都度聞いてください」


「分かった……結構やらなきゃいけねえ事一杯あるんだな」

「まあ、危ない仕事なんで。我々が把握しておきたい事も、冒険者になられる方に把握しておいて欲しい事も沢山ありますから」


「なるほどね……」


 そう言うグレンに続くように俺も頷く。

 その辺りの意識がしっかりしている辺り良いよな此処は。

 ちゃんと色々考えてくれる。

 と、そこから特にグレンからの質問が出ない時間が続いたので、その時間を使って受付嬢さんに気になっていた事を聞いてみる事にした。


「すみません、ちょっと気になったんですけど、皆が首から下げてる奴って何なんですかあれ」


「あ、ボクも気になってたんですよ」


「身分証明書……みたいな感じに見えるっすけど」


「そういや俺も気になってたわ。お前ら誰もあんなの付けてねえしな」


 四人全員が同じ疑問を受付嬢さんにぶつけると、思い出したように受付嬢さんは言う。


「あ、すみません……皆さんに伝えなきゃならない事、新規登録の事考えてたら抜けてました」


 そう言って軽く頭を下げた後、受付嬢さんは言う。


「あれはリーナさんが言った通り、身分証明書みたいな物です。自分がギルドに登録している冒険者だって一目で分かるようになります。ギルドの会員証ですね」


「なるほど」


 ……いや、でもちょっと待て。

 今までそんな物はなかった筈で。無くても支障は無かった訳で。

 いや、別にあっても良いんだろうけど、今まで無かった物が突然出てくるのには違和感がすごい。

 うん……なんかあったのだろうか?


「なんかアルファベット刻まれてましたけど、アレはどういう意味なんですか?」


 どうやらアリサも同じ物を見ていたようでそう問いかけると、受付嬢さんは少し言いにくそうに……なんだか不服そうに言う。


「……ランクです」


「ランク?」


「冒険者の皆様の格付けみたいな……そういう、奴です」


 本当に不服そうに。

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