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ただキミを幸せにする為の物語 -SSランクの幸運スキルを持つ俺は、パーティーを追放されたのでSSランクの不幸少女と最強のパーティーを組みます-  作者: 山外大河
四章 冒険者達の休日

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ex ちょっと二人で話そうよ

「しかしまあ……改めて見てもすんごい外装っすよね」


「前も言いましたけど、中が都ってるので全然問題ないんです」


「そ、そうっすか……」


 アリサとリーナの帰り道。

 互いの家が近所という事もあり流れでアリサの家まで付いてきたリーナだが、やはりそういうリアクションを取ってしまう。


(うん……まあアリサちゃん実際此処で生活している訳だし、先輩とかも普通に出入りして問題なかったっぽいから全然大丈夫なんだろうけど……なんか心配だなぁ、アリサちゃんが)


 本人が大丈夫だと言っても、失礼かもしれないがあまり良い考えは浮かんでこない。

 普段どういう生活を送っているのだろうと、余計かもしれない心配をしてしまう。


「そうだ。折角何で少し上がっていきますか? 簡単なおもてなししかできないですけど」


「あ、じゃあお邪魔するっすよ。この前遊びに行くって言ったっすからね」


 だから正直な話、純粋に友達のお誘いに乗りたい感情とは別に、不安感や好奇心などに背中を押されていた。


(……中、ほんとどうなってるんだろ)


 そんな複雑な感情を抱きながら、アリサに誘われるままにリーナはアリサの家へと足を踏み入れる。






「あ、良かった普通の部屋っすね」


「リーナさん全然信用してなかったんですね……」


「いやぁ……ごめんっす」


 リーナは笑いながらそう言う。


(いや、うん……本当に良かった)


 結構真剣に安堵するリーナに、どこか機嫌良さそうなアリサが聞く。


「とりあえずコーヒーでも淹れますね」


「ありがとうっすアリサちゃん」


「いえいえ」


 言いながらアリサはキッチンへ。

 少し待つとマグカップにコーヒーを淹れて戻ってくる。


「お待たせしました」


「いえいえっす」


 そしてリーナはアリサからマグカップを受け取って、それから尋ねてみる。


「なんかアリサちゃん、機嫌いいっすね」


「そうですか? ……まあそうなんですけど」


 そう言ってアリサは笑う。


「なんかこうやって普通に友達が家に来てくれてるのっていいなーって。そう思ったら少し嬉しくて」


 そう言うアリサは本当に嬉しそうで、だからこそ改めてこれまであったであろう事を自然と考えてしまって、少し胸が苦しくなる。

 自分が友達でいたいと思っている相手が抱えているであろう過去に理不尽さとやるせなさを感じる。

 だけどそれを感じても。感じなくても。これから先にやる事は。

 やりたい事は変わらなくて。


「これからそういう当たり前の事を当たり前にしていくんすよ」


「そう……ですね」


「そうっす」


 ……そうだ。

 これからそういう事を当たり前にしていく。


 目の前の友達も。

 そして自分自身も。

 多分新鮮に感じてはいけない事を、少しずつ当たり前にしていくのだ。


 今の自分達は、それができる立場に立てたのだから。







 それからしばらく二人でゆっくりと雑談を交わした。

 あまり深い過去を振り返っても自分達には殆ど碌な事はないから、大体は今の事を。これからの事を。

 そうした会話の中で、結局アリサが病室に置いてきた忘れ物をいつ取りに行くかという話になって。


「それにしても……あれ、私達が聞いてよかったんすかね?」


「と、とりあえずクルージさんは、ボク達が聞いてた事を知らないと思いますけど……」


 あの一件の話になった。


「いや……えーっと……凄い事、言ってましたね……」


「そうっすね……ハハハ」


 言いながら二人して恥ずかしくなって、少し視線を逸らしあう。

 逸らしあいながらリーナは考える。


(いや、それにしても……ほんとそれにしても。アリサちゃんはもうびっくりする位可愛いから分かるけど……私なんて……いや、でも無茶苦茶可愛いと来たか……)


 そんな風に言われて嬉しくない訳ではない。

 だけど凄く恥ずかしくて……とにかく恥ずかしい。

 思い返すとそんな感情が再び湧き上がってくる。

 多分自宅に一人で居たら、枕抱えて頭を埋めて足をバタバタさせてると思う。

 そしてそんな自分の恥ずかしさを紛らわすように、何か話を進展させなければならないと、そう思って。

 リーナは半ば勢い余って、少し気になっている事を。

 改めて気になりだした事をアリサに問う。


「そういえば……アリサちゃんは先輩の事、どう思ってるんすか?」


 そんな、今まで自分達のどちらも経験してこなかった。

 話せる相手も対象となりそうな相手もいなかった。

 普通ならば当たり前に交わされていてもおかしくないような、恋バナ的な話を。

 


 

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