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ただキミを幸せにする為の物語 -SSランクの幸運スキルを持つ俺は、パーティーを追放されたのでSSランクの不幸少女と最強のパーティーを組みます-  作者: 山外大河
三章 人間という生き物の本質

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ex 人知を超えた現象

 そして次の瞬間、状況が動いた。


「……」


 正面のヒビの入った結界を消したリーナは無言のまま地面に手をかざす。

 それは今日覚えて来た結界魔術を扱う時のように。

 そしてその動き通り、結界を作りだす。


 ある程度の距離の離れた仮面の連中の周囲から十数本同時に。

 そして勢いよく、そして十数メートル近い高さまで突き上がる結界を、二人の敵は躱そうとするが、内一人。先まで三人で倒しかけて倒し掛けていた相手が躱し切れずに結界に打ち上げられる。

 そしてその相手に追撃するように、何にも当たらず無駄に生えただけに思えた結界から枝分かれするように、横方向に結界が生え出し、男を追撃して勢いよく弾き飛ばす。


(……すげえ)


 元々のリーナも十分に凄いと言える実力の持ち主だった。

 だけど目の前で戦うリーナは文字通り次元が違う。格が違う。

 それ以上の言葉が出てこない。


 そしてそれが出てくる前に、更に事態が動いてそれどころでは無くなる。


(なんだ……これ)


 気が付けば自身の体に黄緑色の光の粒子のような物が纏わりついているのが見えた。

 自分だけでは無い。

 隣りで血の海を作りだしていたクルージにも同じように光の粒子が纏わりつく。

 ……その正体は分からない。分からないが。


(なんだ……痛みが和らぐ)


 敵の攻撃で弾き飛ばされ、地面に勢いよく叩き付けられ、全身に纏わりついていた激痛。

 そうした痛みが少しだけ緩和しているような、そんな気がした。


(……いや、痛みだけじゃねえ)


 地面を転がって掌に出来たばかりの擦り傷が、目に見えて治りかかっていた。

 まるで地面に転がっていたこの僅かな時間で傷が再生したように。

 ……今自分の身に纏わりついている光の粒子が、再生させたように。


(……まさか、逃避した結果か?)


 自分はともかく隣りに倒れるクルージは間違いなく明確に死へと向かっているから。

 その先に起きるであろう状況からの逃避。

 ……その結果。


(人体の再生とか無茶苦茶すぎる……だとすれば、クルージは助かるかもしれない)


 自分の推測が当たっていればそういう事になる。

 でも、流石に脳裏に過る。


(でも、いくらなんでも……無茶苦茶過ぎないか?)


 新しい事を学習する。身体能力を向上させる。魔術の出力、技能を向上させる。

 それらも実際にやられると度肝を抜かれるが、それでも結果的に起こしている現象そのものは魔術などを始めとした人間の技能の範疇にあるものだ。

 クルージやアリサの運気に纏わる事だって、どれだけ優れた技能を持つ魔術師でもあの二人の尺度で見れば誤差でしかないような変化しか齎さないだろうが、それでも運気を操る魔術自体は存在する。

 だけど人体を急速に回復させるなんて事は、人間の範疇を超えているように思えた。


 そんな事が自分達の身に起きている。


 だとすれば、起きている状況そのものが前向きな物でも、困惑の一つや二つ位する。


 そしてそれが分からない内に、目の前のリーナは動き出す。

 残ったもう一人の意識を落とす為に、今まで敵から逃げる時だけに発揮していた高速の移動速度で敵に急接近する。

 自分が思っていたよりも遥かに特異な力を持つ、Sランクの逃避スキルを纏って。

 まるで別人のような動きで。


 そして、リーナが動き出して数秒後の事だった。


「……それに関しては大丈夫だよユーリ。完全に偶然ではあるしイレギュラーな状況ではあるけれど、全員生きている……少々面倒な事にはなっているようだけど」


 背後から誰かと話す男の声が聞こえてきたのは。

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