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ただキミを幸せにする為の物語 -SSランクの幸運スキルを持つ俺は、パーティーを追放されたのでSSランクの不幸少女と最強のパーティーを組みます-  作者: 山外大河
三章 人間という生き物の本質

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71 出発

「っしゃあ! 私の勝ちっす!」


 勝敗は決した。

 リーナは楽しそうに嬉しそうにガッツポーズを取り、対するグレンは完全に硬直している。表情から伝わる絶望感が半端ない。


「だ、大丈夫かグレン」


「……そうか、俺コイツの事先輩って呼ばないといけないのか」


「……よく分からねえけどそれは別によくねえか?」


「そうっすよグレンさん」


 発端になるような発言をし始めたリーナがそんな事を言い出す。


「いや、まあノリでこんな事やったっすけど、別に先に冒険者になったからって年上にマウント取るような無茶苦茶な事はしないし、今の話軽く流してくれりゃいいっすよ」


 ……えぇ、じゃあ今の時間なんだったんだ?


「そ、そうか……悪いな。じゃあ今の話は無しって事で良いんだな?」


「いいっすよ。後輩は後輩らしく先輩の話信用するっすよ」


「待ってこれどっちだ!? 結局先輩面してんじゃねえか!」


 まあリーナの事だし、マジでその場のノリで。本人が言う通りマウントを取るつもりなんてないんだろうけど。

 だけどその答えは察しても言わない。なんか面白いし。


「凄く賑やかになりましたね、クルージさん」


「だな。こういう感じ、なんかいいよな」


「そうですね」

 アリサがそう言って頷く。

 やっぱりさ、賑やかなのはいいんだ。

 一人でずっとやって来たのを経験した後だと。ろくでもない視線を向けられ続けた後だと、尚更こうした賑やかさを本当に良いものだと認識できる。

 本当に……なんか俺が思う理想系のような、そんなパーティーになってきたと思うよ。



 朝食を済ませた後、軽い身支度を終えた俺達はグレンの家を出た。

 これから事の発端となっているとされる神樹の森へと向かう。

 村から神樹の森までは若干の距離があり、それは徒歩でもいけなくもない距離ではあるのだが、もしこの一件が人為的に起こされた物だとすれば犯人を捕らえて運ばなければならない事と、後はグレンが馬車を用意する際に村の連中には言わなかったらしいけど、移動による俺への負担を軽減する為らしい。

 正直に言って、本当に助かる。

 一晩ゆっくりして、だけどそれで怪我が目に見えて回復に向かうのかと言われればそうではなくて。

 冒険者や兵士のように普段から鍛えているような人間は、そうでない人間よりも身体能力は高いし、それに比例するように自然治癒も強くなるけれど、強くなるといってもたかが知れていて、この先同じだけの怪我を負った普通の人より入院期間が短くて済む程度だろうから。

 だからまあ……本当に助かる。


 そして出発する際、十数人程の村の連中が見送りに来てくれた。

 といっても態々足を運んだ理由に俺は存在していないのだろうけど。

 アリサやリーナにむけられているであろう視線とは違い、俺には冷めきった視線しか向けられない。

 ……いや、その言い方には弊害があるか。

 向けられてる、一つだけ。まともな視線。

 ユウだけがまともな視線を向けてくれて、そして周囲の大人に気付かれないように小さく手を振ってくれている。

 それがあるから。せめてそれだけはあってくれたから。


「頑張りましょう、クルージさん」


「……ああ、そうだな」


 俺はその為にこれから頑張ってこようと思うよ。

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