目蓋
私はいつでも自分を探している
本当の私はなんなのか
もしかしたら私は存在していないのかもしれない
毎日浮いたように息をして、
死んだように生きて、
まるで、生きているかのように浮いている。
そんな私の人生を誰が望み、誰がそばにいてくれるのだろう
自分とは何か、ずっとわからないまま、行く先も足元も何も見えない暗闇を歩いてた。
あのときの私は、生きる意味が分からなかった。
死ぬ勇気はもっとなかった。
自分がいなければ、と、毎日ありもしないことばかり考えて、いつも胃の中は靄がかかっていた。
毎日、いつでも吐きそうだった。
誰だって、誰かの大切な人。
こんな言葉を誰かに言われた。
その時から私は誰かを探し続けている。
私の生まれてきた意味を考えるたび、足の先からピリピリ嫌な感覚が走る。
考えないほうがいい。答えを知ったら君は、きっと死んでしまう。そういわれているようだった。
所詮、他人は他人。相手の目の奥のことまでわかろうと思っても、どうせ分かり切れないんだ。
だから、私の心の奥深くの想いなんて、誰にだって届くはずがない。
君は聞くよと言ってくれるけど、この身体の霧を出そうとする、ただそれだけで疲れてしまうんだ。
私はずっと、そういう生き方しかできなかった。
私は、夜になると、この生きづらさの理由を考える。答えはいつも出ない。強いて言うなら、私は社会不適合者。生きることが向いていない人間。
つまり、存在価値のないやつだ。
私のような人間が複数集まったところで世界は何も良くならない。考えても行き着く先はいつもこればっかりだ。
親からの愛を知らず、誰からの情を受け取られなくなり世界を俯瞰している私はなんて惨めなんだ。
なんだか、無重力で必死に立とうと頑張る情けない奴のようだ。このままじゃ私はいつかきっと潰れてしまう。
そんなことを思いながら私は今日も布団に潜りこみ、誰にも気づかれない涙を流し、いつのまにか眠りに落ち、いつも通りの何も変わらない朝を迎えるんだ。
ああ、明日朝起きたらあのこみたいになってないかな
昨日布団の中で意識の間で考えた大量の言の葉の中でたったこれしか覚えていないのだ。
どんなに幸せでもどんな悪でも目覚めたら忘れてしまう、そんな夢のような、そんな私の人生だ
君の涙も気持ちも、私の思いも涙も、全部庭の錆びた蛇口みたいに、簡単に支配できればいいのに。
私は今日も、あの子みたいに笑えたら、
私が君のその睫毛の向こうにいけたら、
君のその、柔らかい唇に触れられたら、
私はどんなにしあわせで、
どんなに自分の惨めさを思い知るのだろう
そんなことを考えて、
私はきょうもただ朝を待つ。
いつかも、来るかもわからない
ただ渇望するだけで、無為なものを願って
この短編を書くにあたって、自分の中でふわふわしている、現るのが難しいものを少しずつすくって、繋ぎ合わせて、なんとか形にして見ました。
一見すると、よくわからない表面のデコボコした後味の悪い本が好きなので、結論が1つじゃない人によって捉え方の違うものになっていればいいと思います。