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非現実の現実で僕らは戦う  作者: 沖野 深津
第二章 レベリング
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第十五話

すいません。ちょっと短いです

「あ、お帰りリカちゃん」


集団へと戻ると、相変わらず女性陣がワイワイと騒がしくしていた。

「一体隊長と何話してたの?」

そのうちの一人が、オレを見下ろしながらそう問いてきた。そしてその質問の答えが皆気になるのだろう、その場にいた女子全員が目を向けてくる。

それにオレはうーんと小さく唸る。恐らく個別に声をかけてきたということは、マージフォーネが配布されたことはあまり公言しないほうが良いのではないだろうか。


「特に何もなかったですよ。演習の際の旅人の動きを確認したくらい?」

「変なことされなかった? 気持ち悪く触られたりとか」

「あ、いや別にそんなことは……」

どんなロリコンだよそりゃ……と内心思ったオレだったが、口にすることはなかった。しかし、腐っても上司である隊長相手に随分と遠慮のない女子たちである。もしかしたらライオットの適当さが、彼女たちの親近感を誘った結果なのかもしれない。


オレの返答から大した話題が得られないと悟ったのだろう。彼女たちは即違う話題を投入し、再び盛り上がり始めた。繰り返されるマシンガントークに、改めてオレは人形のように笑みとも困惑とも取れそうな微妙な表情を浮かべながら付いていく。


一体、どこまで行くんだろ? そういえば行先を聞いてないな。


正確には、本日の出発前にバイスから全体に向けて告知があった。ただ、どこそこの森だのなんたら平原など言われても全くピンとこなかったわけである。


野宿もするっていう話だから、、まだ結構歩くのかな。こりゃかなーり体力勝負な演習になりそうだなぁ。さすが体育会系な騎士団の訓練だ。……持つかな、オレの体力――




「ねえ、リカちゃんはどう思う?」




オレが会話に入れないと悟って物思いにふけっていると、急に話題が振られた。しかも聞いていなかった手前何も答えられない質問だ。


「ぅぇへ?! ど、どうって?」


急なパスにオレはテンパる。思った以上に変な声が出てしまった。しかし質問してきた少女は気付いた様子もなく、親切にも繰り返し問いを口にしてくれた。

「うちの男性陣だったら、誰が一番カッコいいかって話。リカちゃんはどのお兄さんがカッコいいと思う?」


「あぁ……」

非常に『らしい』質問だと思ったオレは、冷静さを取り戻すことができた。しかしその質問はこの場ではなかなか業が深い。


……ほら見ろ、野郎どもがこぞって耳傾けてるじゃん。こういう話は当人がいない場でやってあげてくれ。


ちらりと前を歩いている男性騎士に目をやると、そわそわとなにやら落ち着かない様子だった。なんならチラチラと視線を寄越してくる少年もいる。皆女性陣が誰を評価しているのか気になって仕方がないのだろう。オレは聞いていなかったが、これまでの話の中に話題が上がったのではないかと思われるイケメンの少年が、すでに周りからド突かれている。「お前少し顔がいいからって調子に乗りやがって!」「悔しけりゃ顔の面を整えてくるんだな!」とかなんとか。


出来たら苦労しないんだよ、イケメンの君。

イケメンには、オレたちみたいなフツメンの苦労なんてわかんないだろうさ。

あとお前『顔』と『面』って意味かぶってるから……。


「そ、そうですねぇ……」

それはそれとして。オレはそう言いつつあたりを見回す。個人的には、イケイケ系のイケメンには投票したくない。非常に私的な理由だが、オレと正反対な奴がモテるのは癪に障るから。

……非常にみみっちい自己満足である。


正直知らないやつばっかりだから、判断基準が顔だけなんだよなぁ。でもそうなると、自然目が行くのはイケイケ系……。くっそ、なんだこのクソゲー。


オレは少しの間うーんと悩みながら視線を動かす。男性陣が少しそわそわするのがわかった。

やがてオレはふぅっと小さく息を吐くと。



「……ごめんなさい。私まだよくわからないです」



思考を放棄した。


「あらら。そんな真剣に考えなくてもよかったんだけど。まあ、リカちゃんはまだ全然知らない人たちばっかりだもんね」

ということでオレは男性陣の心を変に騒ぎ立てることなく、事なきを得た。

その後少女たちはさらに話を発展させて大盛り上がりだった。それを横で聞いていたオレは、ただただ言葉を発さずに苦笑い。その代わり心の中で男性陣を代表して叫んだ。


……頼みますから、息子の大きさとか推し量るのはやめていただけませんか!? 小さそうとか早そうとか、放っておいてやれよ!? いや放っておいてください――


女子は怖い。悲しくもオレは学んでしまった。


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