表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/372

87、モモ、恥ずかしがる~神様に託された警告は嵐の気配を運ぶ~前編

 恥ずかしい。あーっ、恥ずかしい! 恥ずかしいったらないよぅ!! カイから貰った濡れタオルで両目を冷やしながら、桃子は内心羞恥心に転げまわりたくなっていた。シリアスした後に我に返ると、無性に恥ずかしくなる。姿は変わってもこれだけは変わらないんだよねぇ。


「どうですか? 落ち着きましたか?」


「……うん。キルマまで来てもらったのに待たせてごめんね。時間を取っちゃったけどお仕事は大丈夫?」


「団長は仕事が早いので、このくらいなんの問題にもなりませんよ」


「そっか。もう目も痛くなくなったし、お話しの続きをしよう」


 桃子は濡れタオルを取って、上向いていた頭を正面に戻す。客室に居るのは桃子を挟んでキルマとレリーナが両隣に座り、正面にバルクライとカイが座っていた。


バルクライは最初自分の膝に桃子を乗せようとしたのだが、最後に会うことになったキルマが自分こそが隣に座りたいと主張したのだ。視線で戦いの末、バルクライが意外とすんなりと折れた。私と一緒に座っても、お得なことないよ?


 濡れタオルをローテーブルに置いて、桃子は自分が見た夢について話すことにした。


「レリーナさんが言ってくれたように、怖い夢を見てね、男の人にこっちにおいでって手招きされたの。その時、軍神様が助けに来てくれたから、その人は逃げたみたい。それから、軍神様に悪しきものが人の世界に干渉しているから、このことをバル様に伝えるようにって言われたの」


「悪しきもの……」


「それにね、軍神様には心当たりがあるみたいだったの。私の名前も知ってたし、もしかしたら悪い存在が関わってるのかな? だから、何かあった時は呼べば応えてくれるって言ったのかも」


「そんなことまで? 危ない臭いがするな。団長、国内で何か異変が起きていないか調べた方がいいかもしれませんよ」


「私もカイと同じ意見です。先ほど害獣に対する索敵に選抜部隊を決めたことですし、早めに行った方がいいでしょうね。討伐時になにかが起これば、やっかいなことになりかねません」


「オレが噂や事件を当たりましょうか?」


「……今回は部隊を動かす。代わりに、カイには騎士団に詰めてもらう。軍神ガデスがモモに警告を託したのは、自分が加護を与えた者が狙われる可能性があると判断したからだろう。神は大多数の者に対しての興味を持たない。それは大多数の人間の生き死にも関心がないということだ」


 一度だけ会った美の女神の麗しい姿を思い出す。かの美神は気まぐれで無慈悲なもの──自分達の存在をそう表現した。その言葉は正しいものなのだろう。けれど、モモは自分だけの身を守れとは言わなかった軍神様の言葉には、良心がある気がした。無慈悲かもしれないけれど、冷酷ではないと思う。勝手な想像かもしれないけど。


「怖い夢を見たというが、それは神殿の事件のことか?」


「違うよ。あれは元の世界での…………」


 それ以上は、声に出せなかった。どうしても、喉の奥で言葉が止まる。実際に起こったことだと続けられない。


「……すまない。嫌なことを聞いてしまったな。モモ、もう話さなくていい。ゆっくり息をしろ」


 無意識に呼吸を止めていたみたい。慌てて空気を求める。意識して呼吸を二度繰り返すと、さざ波が立っていた心が落ち着いていく。でも、なんかおかしい気がする。


「少し良いですか? ……モモは今、自分の中に違和感を感じてはいませんか?」


「なんでわかったの!?」


 キルマがまるで心を読んだような発言をする。桃子は驚いて大きく頷いた。そう! そうなんだよ。傍目にもやっぱり変に見えてるの?


「やはりそうでしたか」


「どういうことだ、キルマ?」


「ここからは私の推察になりますが、モモが今感じている気持ちは、自分の感情ではないのでは? 落ち着いて良く考えてみてください。私達が知っているモモは神殿から自力で逃げ出すような心が強い子です。そんな彼女が過去を思い出したからと言って、ここまで動揺するでしょうか?」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ