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124、モモ、眠気を堪える~異世界でのお茶会は女子会みたいなものかな~中編

 乗り込んだ馬車に揺られてガタガタガタ……お子様の身体は軽いからちょっと跳ねちゃうんだよね。お尻が痛いです。そうしてやってきたのはミラのお屋敷だ。馬車の外から扉を開いてもらうと、桃子はよたよた抜け出して地面に降り立った。


「モモ様?」


「うぅ……ちょっとだけお尻が痛い」


「気付かずに申し訳ございません! 私も乗馬に慣れない頃はよく痛めておりましたよ。お尻と太腿の内側の筋肉痛に苦しんだものでございます。……私がおさすりしましょうか?」


「間に合ってるの!」


 ぽっと頬を染めるレリーナさんに、両手でお尻を守ってお断りする。好意は嬉しいけど、さすがにそれは恥ずかしいのを超えるね! レリーナさんはどことなく残念そうな顔をしていた。……なんで? って突っ込んじゃダメだね、きっと。


 お尻を守ってる内に痛みも落ち着いたので、お屋敷から目を守るように小さな手で日差しを作ってみる。


「やっぱり派手だよねぇ」


「貴族にとって、お屋敷の大きさや煌びやかさはその一族が栄えているかどうか計るための重要な象徴です。これほどに目を引くお屋敷もまた珍しいものではありますが」


「バル様のお屋敷もそうなの?」


「いえ、あのお屋敷はバルクライ様の叔父様に当たる方、つまり陛下の弟君が休息のために住まわれていたと、ロンさんに聞いたことがございます。しかし、主が不在となり、長らく陛下の持ち物となっていたとか。そこから、バルクライ様がルーガ騎士団に入隊なさる時に、お祝いの品として贈られたようです」


「そうなんだ?」


 バル様と王様っていうと、お城にご挨拶に行った時のことを思い出す。そっくりな顔で睨み合っていたけど、別に関係が悪いわけじゃないんだよね、たぶん。プレゼントにあんなおっきいお屋敷をぽんっとあげちゃうくらいだもん。でも、王様としての立場と、バル様のお父さんって立場じゃ接し方とかも変えなきゃいけないのかな? それって、ちょっと寂しいことかも。 


 玄関で足を止めると、レリーナさんが桃子の代わりに入口に吊るされていた鐘を鳴らしてくれる。早すぎるほど一瞬で扉が開いた。もしかして待機してたのかなぁ? 生真面目そうな執事さんがすっと頭を下げる。


「ようこそお越し下さいました。モモ様と護衛の方でいらっしゃいますね?」


「はい! この人はメイドと護衛をこなしてくれているレリーナさんです。今日はよろしくお願いします」


「敬語は不要でございますよ。使用人一同、精一杯お世話をさせていただきます。今日はお嬢さまのご招待をお受けして頂きましてありがとうございました。更にはバルクライ様ご本人にもご丁寧なお手紙を頂きましたこと、主人が改めてお礼を申し上げておりました。モモお嬢様よりバルクライ様にお伝えいただければ幸いでございます」


「ダレジャさんからのお手紙のお礼だね? わかったよ、ちゃんと伝える!」


「ありがとうございます。それでは、お部屋にご案内いたしましょう」


 桃子は執事さんの後を追いかけていく。一回来てるけど、あの時はマジマジと見る余裕がなかったもんね。よく見ると調度品も派手だなぁ。二階に続く階段も手すりの丸い玉が金ピカだよ。全体的に白と金と赤っていう煌びやかな色が使われている。廊下は毛足の長い赤い絨毯が延びてるし、ファッションショーも出来そうだね? 


 今日は薄桃色のお子様ドレスを装着してるから本当にやれちゃいそうだ。今日のドレスは両袖はなくて、腰の部分は太い紐でしばられており、リボンの中心に布で作られたお花がついている。肩ほどしかない髪も器用なメイドさんが編んで結いあげてくれたから上に尻尾みたいになってた。メイドさん達のおかげで女子力が上がった気がするね!


 そんなドレスを身に着けてるから、一歩前に進む度に足元がばっさばっさする。暴れん坊に見えて恥ずかしいよ? と、なけなしの女子力が囁いたからお淑やかに見えるように控えめに歩いてみる。レリーナさん、後ろがつかえてるよね、遅くてごめんよ。ちょこちょこ着いていくと、執事さんがとあるお部屋の前で立ち止まる。この間のお部屋とは違うみたい。


「ミラお嬢さま、モモ様がいらっしゃいました」


 一言告げた後に執事さんがすっと後ろに下がった。どうしたんだろ? 桃子とレリーナさんもぶつからない様に一緒に後ずさると、バーンッと扉が内側から開かれた。びっ、びっくりしたぁ!!


「おっそいですわぁぁぁっ!!!」


 おぉぅ! 可愛い声で叫んだのはご立腹のミラだった。今日も真っ赤なドレスを着てるね。薔薇の刺繍が施されたドレスは目に痛いけどとても似合っていた。





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