閑話其の十三 土鈴 勝人
閑話の続きです。
主人公のナガレは登場しません。
代わりに下衆いのが登場します。
見る人によっては胸糞の悪くなる描写がありますご注意下さい。
「オラッ! そっちに魔物がいるぞ。さっさと狩ってこい!」
「はい――」
「おっと、その鳥が美味そうだ。弓で射ってこい」
「承知致しました……」
土鈴 勝人は隷属化した奴隷達に次々と命令を下して行き、声を掛けられた雌奴隷達は素直にそれに従っていた。
帝都を出てから隙を見つけ他のクラスメートと別れ、彼は今自由を手にし気ままな奴隷との旅を満喫している。
彼の周りに集まった従順な奴隷は全て獣人だ。彼の能力を考えれば別に普通の人間でも良かったのだが、獣人は身体能力に長けているのが多いため、敢えて彼女たちを狙った。
しかも彼が隷属化した選りすぐりの獣人達は多くは奴隷商人から購入したものではない。
全て自分の能力で隷属化させたものだ。
隷属の血約――それが血の奴隷商人という称号を有する勝人に与えられた特別なスキルであった。
このスキルは自分の血液を隷属化させたい相手の身体に付着させることで強制的に下僕化させる能力であり、何よりも奴隷ハーレムに憧れていた勝人にとっては願ったり叶ったりといった力であった。
だが、勝人は帝都に構えられた城にいる間、この力を試す機会が殆ど与えられなかった。
クラスメートには彼の能力を看破できる者がおり、それによって強制奴隷化の力を持っている事が皆に知られてしまったからだ。
そして、特にこの能力に関して制限してきたのは、女子からも人気が高い明智 正義であった。
『君の能力は確かに凄いけどクラスの調和を乱すような真似は僕が許さないよ。その能力はこっちで許可した時以外は決して使わないこと。いいね?』
上から目線でそんな事を言ってくる正義の事は、勝人は顔には出さなくても心で煩わしいと思っていた。
なまじカリスマ性に溢れているせいか、教師の西島や男女問わずクラスの連中からの信頼も厚く、あの陸海空ですら一目置いていた程である。
だから勝人も従う他なかった。
だが、それでも耐え切れず、一度だけ勝人は正義に隷属の血約を試そうとしたことがある。
ほんの少しでも直接肌に付着させれば効果があるのがこの能力の特徴だ。
そして殊の外あっさりと正義に僅かばかりの血液を付着させる事が出来た。
その時ばかりは勝人も、やった! と思わず声を大にして喜んだものだが。
『……君のやった事はこの一度だけは大目に見てあげるよ。それと勇者の称号を持つ僕には一切の状態異常が効かない。それは君の能力も一緒だよ。そして僕は君が能力を使ったかどうかぐらい直ぐに知る事が出来る。クラスの誰かや帝国の関係者に迂闊にその能力を使ってみろ――消すぞ』
その時垣間見えた彼の殺気は、勇者というよりも悪魔のソレであった。
その場で腰が抜け、暫く震えが止まらなかったのを勝人は今でも覚えている。
それから勝人は少なくともクラスの連中や、正義が近くにいる時は、この能力は使わないと心に誓った。
そしてそれから暫くの時が過ぎ、ようやくある程度の自由が許され、そして正義や陸海空とも別行動となる時が来た。
彼らの目的はこの帝国に存在する古代迷宮、英雄の城塁を攻略することにあった。
来るべき日に備えて、その迷宮内に眠る伝説の武器などを集めて欲しいと皇帝は願った。
特に嘗て勇者や英雄と崇められし者が使用した剣なども隠されているという話は正義の琴線に触れるものだったらしい。
だからこそ正義は、その迷宮の調査隊としてクラスメートの中でも特に選りすぐりのメンバーを揃えてその任務に挑みに行った。
といってもある程度のレベルアップも兼ねてな為、途中色々と寄り道しながら目指すとの事であったが。
ただ、新牧 舞が正義や陸海空と一緒に行くことになったのは意外であり、悔しくもあった。
何せ現役芸能人でスタイルもバツグン、顔だって異世界で美女と称される女達を沢山見てきたが全く負けていない。
寧ろ容姿で言えば群を抜いて舞の方が美しく、実際勇者を歓迎する宴の席でも数多の貴族や騎士に言い寄られていたほどだ。
そんな舞だが、しかし戦闘面に於いては決して優れているという事はなかった。
少しでも早く元の世界に帰りたいと願う舞は、待機組でこそなかったが、自分の手にしているスキルもどういう効果があるのかイマイチわからないといった様子で、何故か鑑定でもその効果は把握しきれなかったのだ。
だからこそ、勝人は、正義たちと舞は別の班になると予想し仄かに期待もした。
彼女であれば例え正義に目をつけられるような事になっても是が非でも奴隷にしたいと思っていたのだ。
だが、その希望は陸が彼女と一緒の班になることを正義に激しく願った為に叶うことはなかった。
陸は、俺がその分頑張る、彼女がいるだけで間違いなく士気は上がる! と譲らなかったのだ。
結局その願いは聞き入れられ、舞は正義達と同じく古代迷宮の攻略組として同道する事となってしまった。
こうなってはいくら勝人でも手の出しようがない。
残念ではあったがそこは素直に諦めた。
そして何故か組まされそうになった二年A組のキモオタ三人組と上手いこと別れ、舞を手に入れられなかった腹いせにほうぼうで情報を集め、奴隷から逃れた獣人がひっそりと暮らすという集落を見つけ襲撃した。
その際、勝人自身には戦う力が無いため、途中で隷属化させた魔物に命じ襲わせた。
魔物も隷属の対象になるのは帝都周辺での合同訓練の際に確認済み(これに関しては正義もスキルの使用を認めた)であった。
その時の生き残りは今も護衛用として連れ歩いている。
隷属化させたオーガブロスやボフゴブリン、レッドワンダーなどはどれも中々強力で、集落への襲撃はこの魔物のレベルの高さ故とも言えるだろう。
勿論襲撃した後は男は皆殺し。子供も幼女趣味はないので魔物の餌にし、女に関しても流石にあまり多く連れ歩いても燃費が悪いという理由で、選択肢に入らなかった連中は、ある程度楽しんだ後、魔物にも命じて犯させ、飽きたら思いつく限りの拷問を試し処分した。
この帝国では、獣人はその辺の雑草より命の価値は低いため、殺したところで罪にはならない。
今彼が連れ歩いている獣人は、その集落でも特に綺麗どころ、そして腕が立つものも合わせて選んだ形だ。
ある程度戦闘力にも拘ったのは、魔物は力は強いが頭が悪いのが欠点だからである。
なので戦える力を持った獣人も連れて行った方が何かと便利だと判断した。
特に弓使いなどは狩りにも役に立つし、ナイフの腕に長けた娘は狩った獲物を捌かせるのに良い。
尤も、獣人で雌ばかり選んでいるのは、やはりハーレムを満喫したいという目的が大きいわけだが――
「魔物どもはしっかり周辺を見張っておけよ。お前は俺に飯を食わせろ」
勝人は奴隷の魔物には警戒を怠らないよう命じ、奴隷の獣人には食事の世話をさせる。
魔物は食事は適当に摂れと命じておけば、そのへんで勝手に野ウサギなどを捕まえて食うので管理が楽でいい。
獣人は流石にそうもいかないので、勝人が食べ終わり余らせたものを食べさせている。
尤もそれとて、主人に食べさせる為のスプーンの使用など認めず、犬みたいに食す事を命じそれをみて愉悦に浸っているわけだが。
勝人は、全くこのスキルは便利だな、と改めて思う。奴隷商人の扱う隷属の首輪などはいうことを効かなければ首輪が締まるなどして無理やり命令をきかせる形だが、この隷属の血約は強制的にその行動をさせる。
反抗される恐れは全く無く、だからこそ、彼女たちの暮らしていた集落にあれだけ酷いことをしておきながらも、この娘達は勝人のどんな命令でも不平を言うこともなく従順に尽くすのだ。
「ほら、水は口移しで飲ませろ。丁重に舌も使って、俺を愉しませろよ」
「……ん、むぅ、んっ」
(――前にサトルの馬鹿に奴隷ゲームと称して色々やらせたけど、やっぱ奴隷なら女だよな……)
勝人は奴隷との行為を楽しみながら、そんな事を思い出していた。
勝人もサトルの虐めに関わってた生徒の一人だ。
彼はある日、A組の陸海空に奴隷ゲームなんて面白そうじゃないですか? と提案した。
そしてその提案はあっさりと承認され、その日から暫くはサトルはクラス中から奴隷扱いされ過ごし続けた。
あの時のサトルの惨めな姿を思い出すと、今でも勝人は笑いが込み上がりそうになる。
残念なのはサトルが普通に死刑で終わったことか。
それと、密かに中々の上玉だったという屑奴隷の妹をやるときに参加出来なかったことか。
どうせならバラす前に妹の方を先ず奴隷として全員で愉しめばよかったのにとそのことだけが悔やまれる。
どうせ屑で生きていても仕方のないサトルの妹だ。
あの屑の妹という時点で何をされたって文句は言えないのだ。
実際、陸海空だってなんの罪にも問われていない。
その代わりにあの馬鹿が死刑になっただけだ。
あんなゴミが死んだところで誰も悲しみはしないだろう。ゴミを産んだクズ親だって自殺した。
実際はそう見せかけて殺されたという噂もあるが、別にダニ一家が死んだところで地球から生ごみが減るだけで寧ろ世界にとってはいいことだろう。
ならばせめて妹は全員で飽きるまで楽しんで、飽きてからバラせば良かったのだ。
そういう意味ではあの三人は判っていないな、と勝人は呆れる思いでもあった。
そしてそんな妄想を抱くと妙にムラムラともしてくる。
「おい、お前。出来るだけ抵抗しろ。だけど本気でやるなよ俺を傷つけず、それでいて俺が興奮する程度に抵抗して泣き叫べ」
勝人は奴隷獣人にそう命じると、すかさず地面に向けて殴り倒し、衣服を無理やり脱がしに掛かる。
「イヤァ! やめて! やめて~~~~! 誰か~~~~!」
「うるせぇ! こんなところで叫んだって誰もきやしねぇよ!」
そして頬を数発殴る。こんなことに勝人は酷く興奮した。
男の主張が具にカチンコチンになっていく。
勝人は息を荒くさせ、そしてその手がズボンに伸び下ろしかけたその時――
「全くテメェはいい趣味してやがるな」
そんな聞き覚えのある声が彼の耳に届いた――




