第九話 フレムは納得がいかない
「ふざけるな! なんでお前なんかに先生がそんなことを言うんだよ!」
エグゼの話を聞きフレムが喚いた。どうやらナガレ以外の相手から教えを請うことが納得できないようである。
「知るかよ。俺だってお前みたいなのに教えるなんて面倒だ」
独特な髪のセットを決めながらエグゼが言った。そのままフレムに目を向け話を続ける。
「ただ、お前を見てナガレが苦労してるんだなってのはわかったぜ」
「はぁ?」
そう断言するエグゼであり、その態度にフレムが不機嫌そうに返した。エグゼに顔を近づけガンを付けている。
「離れろ鬱陶しい」
「そうだぞ貴様! 大体エグゼ様に向かって何だその態度は! 無礼にも程があるのだよ!」
エグゼがフレムを押しのけると話を聞いていたバットが怒りを顕にした。
「黙れよコウモリ野郎」
「あぁん?」
言い返したフレムとバットが睨み合いバチバチと火花を散らす。
「いいか? お優しいエグゼ様がわざわざ弱っちいサル野郎に教えてやるといってるのだよ。あまり調子に乗るなよ」
「そのお優しいエグゼとやらに、金魚のフンみたいについてるお前が弱っちいんだからな。腕前なんて知れてるってもんだろう」
フレムを睨みつけながら釘を差すように言うバットにフレムが言い返した。バットの顔がみるみるうちに赤く染まる。
「よ、弱いだと!」
「弱いだろうが。俺に無様に負けたこともう忘れたのか?」
「グギギッ!」
フレムに挑発されバットが悔しそうに歯ぎしりした。確かに以前フレム相手にバットが戦いを挑み負けたことがある。
「そういえばあの時、お前は俺を先生だと思いこんでたんだったな。そんな間抜けを率いているテメェに何を教われってんだ」
「き、貴様――」
拳を握り言い返そうとするバットをエグゼが手で制した。
「なるほどな。そう言えばそうだったなバット。お前はこいつに一度負けてる」
「う、そ、それは。ちょっと油断して」
「言い訳はいい。負けは負けだからな。だがもう一度やったらどうかな?」
エグゼがフレムに向けて言う。その口調はどことなく挑発じみていた。
「あん? もう一度やろうが俺が勝つに決まってるだろうが」
「そうか。おいバット今からこいつともう一度戦え。負けたらこれからお前の名前はバットじゃなくてバッドにしろよ」
「な! そ、そんなの絶対嫌です! フレム貴様には今度こそ勝つのだよ!」
「いや、それそんなに違いないだろう」
大事のように取り乱すバットを冷めた目で見ているフレム。確かに精々濁点があるかないかの違いでしか無いがバットにとってはバッドになるのはおおごとなのだろう。
「で、お前はどうなんだ? 一度勝ってるからと勝ち逃げ決めるのか?」
「あん? チッ、仕方ねぇな。下手な挑発だが受けてやるよ!」
こうしてエグゼの提案でフレムとバットが再度勝負することになったのだった――