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第四三二話 俺達の戦いはきっとこれから

確かに長い気がしてきたのでちょっと加速します。

 第六宮殿は見事ヘラドンナが突破した。その後、第五宮殿ではカイルが名乗りを上げ、試練に挑む。


「我はラモラック――」


 この宮殿に現れた騎士は、自分を聖弓騎士と名乗った。その名の通り得意武器は弓であった。

 ただ、騎士にしては妙な事に鎧もほぼ装備せず、身体の半身などむき出しにしているぐらいだ。


 しかもかなりの色男である。カイルはちょっとだけ悔しかったがラモラックとの弓勝負にもつれ込む。


 ラモラックは手ごわかった。矢速は光の速さに達しているのでは? と思えるほど速く鋭く、しかもカイルの矢を正面から(・・・・)受けてもビクともしない。


(なんでこの人、矢に当っても平然としてるのさ!)


 カイルはそんなことに疑問を持ったりもした。だが、ラモラックの回答は非常にわかりやすかった。


「私は無敵なのです」


 判りやすすぎて頭がくらくらする思いだった。こんなのにどう勝てというのか?

 何せ無敵だからどうしようもない。新技のロス星角弓なども試してみたがやはり駄目だった。


 このままじゃとても勝てそうもない、そう思っていたカイルだが、こんな時こそ落ち着くべきだとなんとかタイミングを見て深呼吸をし、改めて観察をする。


 すると、妙に不自然な点に気がついた。

 このラモラック、異常に背中に対する警戒心が強いのである。


 カイルが上手く背後に回れると思ったときも、かなり大げさな動きで正面に向き直る。

 とにかくカイルとは正面から対峙しようとする。そこでカイルはピンっと来た。


 カイルは渾身の一矢を射る。それはラモラックの頭上を通り過ぎ、大きく逸れたかのように思えたが、実は違っていた。


「こい! オシリス流星弓!」


 カイルが声を上げた瞬間、逸れたはずの矢が流星に変化し、背後からラモラックを強襲した。

 オシリス流星弓は、時間差で、しかも放った後でも指向性をもたせることが出来る。


「み、見事だ、よくぞ我が弱点を――」


 そう、ラモラックの弱点は背中であった。生まれ変わり、不死身となった彼ではあったが、過去に背中に受けた古傷だけはそのままの状態で残ってしまっていたのである。

 

 こうしてカイルもまた見事、第五宮殿の試練を突破した。






◇◆◇


 カイルが試練を終え、一行は第四宮殿までやってきた。そしてピーチが続いての試練に挑み――





「我が名はモードレット。この宮殿の守護者よ」


 第四宮殿に控えていた円卓の騎士は漆黒の髪に漆黒の全身鎧、そして漆黒の剣が印象的な偉丈夫であった。


「私はピーチ、未来の大魔導師よ!」


 ピーチが杖を突きつけ、名乗りを返した。すると、フハハハハハハッ! とまるで魔王でも現れたかのような笑い声を響かせ。


「どうやらこの勝負、既に我が勝利が確定したようだな」

「な、なんですって!」

「いいことを教えてやろう。我は円卓の騎士で唯一、闇の力を操ることが出来る闇の騎士。そして我が闇の力はあらゆる魔法を喰らいつくし糧とする!」

「そ、そんな……それじゃあ私の魔法は……」

「そう、通じぬということだ。残念だったな、己の不運を嘆くが良い、くたばれ!」

「くっ、でも私は絶対に負けない!」


 そして――


「どっせぇええええぇええええぇえええい!」

「な、なにぃいいぃいいいいぃいいい!?」


 モードレットはピーチに杖で殴打され、吹き飛び、更に壁に叩きつけられたところで渾身の追撃を喰らい、倒れた。


「き、貴様、図ったな――魔法使いと思わせて、杖で殴るなど……」

「え? 私、魔法を使ったけど?」

 

 コテンっと可愛らしく首を傾け、何を馬鹿なこと言ってるのかしら? といった顔を見せる。


「そんな魔法、あってたまるか――」

 

 こうして第四宮殿も突破したがピーチはどこか釈然としない様子だったという。






◇◆◇


 一方フレムは第三宮殿にて、太陽の騎士ガヴェインと対決。太陽の鎧に太陽の剣と太陽づくしの相手であり。


「私は太陽が昇っている間はすべてのステータスが三倍になる!」


 そう、かれはそんな特異な体質であった。しかも宮殿内は太陽のステージ。つまり常時三倍ということになる。


「三倍? それがどうした! 俺はとっくに七倍を倒している、それに比べれば三倍ぐらい大したことないぜ」


 そう、確かにフレムは先の戦いでイロンシードという七倍で異様に熱い騎士を倒していた。


「七倍? そうか、あの赤い騎士の事か。ならばいいことを教えてやろう。私は通常時(・・・)でも七倍化したあいつを圧倒する事ができる。まぁ、七倍のあいつより三倍は強いことだろう」

「な、なんだって――」


 フレムは衝撃を受けた。


「フフッ、わかるかな? 通常時でさえ七倍の三倍強い私が、このフィールドであれば、更に三倍上乗せされるのだ。だが勘違いするなよ?」


 そう前置きした後に、ガヴェインははっきりと言い放つ。


「私は三倍だから強いのではない。私が強いから三倍でも強いのだ!」


 ガヴェインに後光がさす。だが、それを聞いたフレムは――嬉しそうであった。


「おもしれぇ! なら俺は七倍の三倍強いあんたの三倍の更に上をいってやる!」

「よくぞいった! ならば掛かってくるが良い!」


 こうしてガヴェインとフレムの対決は始まった。だが、現実は非常なものである。

 ガヴェインは太陽の力を操る騎士、操る焔も太陽のソレだ。


 あまりの熱に、フレムは近づくことさえ困難な状況に追い込まれる。


「クッ、このままだと俺の双剣がもたねぇ……」

「私の熱は太陽の熱、当然だな」

「だったら! 俺も炎で勝負してやる!」


 そしてフレムはナガレ仕込みの体温調整で双剣に炎を纏わせ、更にイロンシード戦で見せた炎双剣螺旋龍焔撃まで使用するが――


「ば、馬鹿な俺の炎が!」

「愚かな、私の焔は太陽の焔、それに比べたら貴様の炎など逆に燃料にしかならん――」

「くっ!」

「哀れだな、ならばせめて、この必殺技を持って燃え尽きるがいい! 日輪の力を借りていま――」

「ぐわぁああぁああぁあ!」


 ガヴェインの奥義を受け、フレムは吹っ飛んだ。あまりの事に技名も記憶から吹っ飛んだが、何やらすごく大胆な必殺技だったのは確かだ。


「終わったか――」


 遠い目をして呟くガヴェイン。だが、フレムは見事立ち上がって見せる。


「俺は、まだ、負けてねぇぜ……」

「馬鹿な、ボロボロとなった貴様のどこにそんなパワーが残っているというのだ――」

「へへっ、こんなところで無様に負けていたら、先生に笑われらぁ……」


 例えボロボロになっても、小癪な笑みは変わらない。だが、このままでは勝ち目がないのも事実、だが、そんなフレムの脳裏にナガレの姿と言葉が思い浮かぶ。


――時には、発想の逆転も必要……。


「そうか! 逆転だ!」

「何だと?」

「熱いの反対は、冷たいだ!」

「は? 何を当たり前の事を……」

「うぉおおおおおおおぉおおおお!」


 だが、フレムはそこから当たり前ではなかった。なんと発想を逆転させることで、体温調整で身体を芯まで冷やし、炎ではなくキンキンに冷えた冷気を双剣に纏わせることに成功したのである。


「これが俺の、氷双剣!」

「ば、馬鹿な、一体どうやったというんだ?」

「だから、発想を逆転させたんだ!」

「いや、だからそれでどうやって……」

「だから何度も言ってるだろう! 発想を逆転させれば熱いが冷たいに、つまり炎が氷になるんだよ!」

「いや、だからどうやって――」

「こまけぇことはいいんだよ! さぁいくぞ俺の新必殺技! 氷双凍剣!」

「ぐわぁああぁあああぁあぁあ!」

 

 フレムは氷の双剣をつかい、目にも留まらぬ速さで連撃を叩き込み、その一撃一撃に合わせてガヴェインの肉体は凍りついていき――遂に全身が砕けるようにして吹っ飛んでいった。


「フフッ、炎より強い太陽の焔も、氷には勝てなかったという事か――」


 最後にそう言い残しガヴェインは散った。


「俺はやりましたよ先生ーーーー!」






◇◆◇


 第二宮殿にて遂にビッチェが動いた。そしてそんな彼女の相手は。


「やぁやぁ! 我こそは湖の騎士ランスロット――しかし、君のような美しい乙女が私の相手とは、おお神よ! 運命とはなんと残酷な事か!」

「……いいからさっさと始める」

「まぁ待ち給え、君は私に恋心を植え付けた、フッ、その罪は重い」

「……は?」

 

 怪訝そうに眉をしかめるビッチェであったが、構わずランスロットは続ける。


「だから、私は君との勝負に私を賭けよう」

「……いらないし」

「勿論私が負けた時は私は麗しの君の物だ。だけど、もし私が勝ったら、君を七七七七番目の妻として迎え入れさせてもらう」

「……お前、馬鹿だろ?」

「何がだい? こんな破格の条件、他にありえないと思うが」

「……私が勝ったらお前を好きにしていいなら受ける」

「おお! 麗しの君よ! なんとわがままで情熱的なのだ、だが、それがいい! 私はね、女性が絡む勝負では特に力が湧いてくるのさ。これまでも女性に関する勝負では負けたことがない」

「……なら、今日敗北を知る」

「フフッ、その自信いいね。ところで、君の名は?」

「……ビッチェ」

「おお! なんと素敵な名前なのか! そして今ここで断言しよう! 私と君の出会いは前世から決まっていたのだと!」

「……決まっていない。それに、私が心も体も許せるのは――一人だけ!」


 こうしてビッチェとランスロットの戦いは始まった。しかし、ランスロットは予想以上に強かった。

  

 流石は円卓の騎士のナンバーツーといったところか。だが、だからこそビッチェはより高みへと達し。


「さぁこれで決まりだ! 今私は七七七七番目の妻を手に入れた、て、何、消えたーーーー!?」

「……それは私の残像だ」

「グフォオオォオオオオォオオ!」


 こうしてランスロットは、遂に女性を賭けた戦いにおいて、初めての敗北を味わうこととなり。


「フッ、どうやら私の負けのようだ。いいだろう、好きにするがよい。そう! 何なら一晩中君の相手となり、耳元で愛をささやき続け!」

「……じゃあ今後お前、女禁止」

「――はい?」

「……女を口説くのも触れるのも話しかけるのも全て禁止」

「え? あ、そっか! そうだね君だけの男になるにはそれぐらい」

「……勿論私に対しても禁止、話しかけるな。騎士として誓いを立てろ、お前、負けたよな?」

「え、え、え? そ、そんなぁあぁあぁあぁあああぁあああ!」


 こうして数多くの女性と浮き名を流し続けてきたランスロットも、観念すべきときがやってきたのであった――






◇◆◇


 遂に最後の宮殿、第一宮殿までやってきた一行。そこで名乗りを上げたのは。


「では、ここは私が参りましょう」

「せ、先生ーーーーーー!」

「これはもう勝ったも同然ね!」

「……何の心配もいらない」


 こうして、ナガレが第一宮殿に挑むこととなったわけだが。





「我はガラハッド――」


 光り輝く鎧を着衣し、天使の羽根を生やした騎士がそこに立っていた。


「お主に一つ問おう。貴様は我と、本当に戦うか? それとも退くか?」

「戦います」


 そんな問いかけをしてきたガラハッドであったが、ナガレは即答であった。


「……本当にそれで良いのか?」

「はい」

 

 清々しいまでの笑顔で答えるナガレ。だが、ガラハッドはため息一つ。


「愚かであるな。貴様はこの試練の意味を真には理解していな――」

「本来なら、退くが正解なのですね」

「……何?」

「この試練は、貴方という騎士の強さを見極め、退くことも時には大事であり、敵わぬとわかっていながら挑むのは蛮勇でしかないと、それを伝えるのが真の目的なのでしょう」

「――貴様、それを判っていながら、私との戦いを望むというのか?」

「はい。私は少々わがままな性分でして。円卓の騎士最強と謳われる者とこうして戦える機会がやってきたのですから。どうしても手合わせしたくなってしまいました」

「……傲慢だな。だが、貴様はすぐに後悔する事となる。一つだけ言っておこう、私は他の円卓の騎士とは格が違う。他の一二人の騎士全てを同時に相手しても、半分の実力も出すことなく圧倒できるのだからな」

「……なるほど」

「だが、今更選択肢を変えようとしても無駄であるぞ。今のはお前がどれほど愚かで無謀な戦いを挑んでいるのか判らせるためにあえていったのだ」

「判りました、それでは、始めましょうか」

「武器もなしか? 愚かな! 一瞬で終わらせてやる!」





「グホッ! ば、馬鹿な、私がこんな一瞬で……」

「いえいえ、やはり噂通り相当な強さをお持ちです。次速とまではいきませんでしたが、自力で超光速まで達することの出来る者などそうはいませんからね」

「……」

「それに、一瞬に思えたかもしれませんが、その間に随分と内容の濃い攻防戦を楽しむことが出来ました。大事なのは時間ではなく、その中身です」

「……フッ、どうやら驕り高ぶっていたのは、私の方だったようだな――器が、違いすぎた。さぁ、ゆくがよい、我が王が、この先で待っている……」


 こうして最後の第一宮殿もナガレによって見事突破。


 いよいよ残すは、円卓の騎士を束ねていた王、その人のみとなり――






◇◆◇


「我はキングアーサー。よくぞ試練を突破し、ここまで参られたな」

「こ、これがアーサー王、うぅ、何か緊張のあまり胃が痛くなってきたわ」

『何を弱気な事を。大体、その王に挑むのはメグミ、我であるぞ』

「え!? 私!?」

「エクスカリバーに選ばれたのはメグミさんですから、必然的にそうなりますね」

「頑張ってメグミ!」

「ここまで来たんだからきっと大丈夫よ」

「骨は拾ってやるぜ!」

「……迷宮での練習を思い出す」

「メグミちゃん、僕が応援してるよ!」

「だ、大丈夫です、怪我をしたなら私が回復します!」

「アイカちゃんは私もサポートしますので安心してくださいね!」

「止めるという選択肢はないのねみんな……」


 ここまで来て止めるなど、ありえないだろう。


「さぁ、エクスカリバーを持ちし勇者よ。ここに来て、我と戦うが良い!」

「くっ、こうなったらやけよ! やってやるわ!」


 こうしてキングアーサーとメグミとの一騎打ちが始まった。


――カンカンカンカンカンカンッ!

――カンカンカンカンカンカンッ!


「これは、実力が均衡してるわね――」


 そう、マイの言うとおり、この勝負、一見すると実力が均衡しているように見えたわけだが。


――カンカンカンカンカンカンッ!


「これ、メグミいけそうじゃない!」

「う~ん、でも王というわりにこんなものなのか?」

「ちょ、フレム失礼よ! それは確かに、だけど、きっと本当の力を!」

「いえ、これがキングアーサーの力であることは間違いありません。ですが、だからこそアーサーは円卓の騎士を束ねるほどの実力者とも言えるのです」

「……どういう事?」


 ビッチェが疑問を持つと、ナガレは更に言葉を続ける。


「キングアーサーの能力、パワーオブメモリーは相手の記憶を読み解き、それに合わせて己のパワーを変化させる力です。つまり、相手の強さに合わせてキングアーサーの戦闘力は上下するわけです」

「そ、そういうことなのね。でもナガレくん、それだとこの勝負、決着がつかないんじゃない?」

「いえ、キングアーサーのこのパワーオブメモリーにはもう一つ秘密があります。それは――」


――カンカンカンカンカンカンッ、ドンッ!


 その時、キャッ、という悲鳴を上げメグミが吹き飛ばされた。何とか体勢は整えたが、キングアーサーの押し込む力が激しさを増し、逆にメグミが防戦一方に陥っていく。


「え? どうして同じ力になった筈なのに?」

「それがパワーオブメモリーのもう一つの特徴。あの能力は合わせた相手の力の更に一段上をいくことが出来ます」


 え? と聞いていたほぼ全員が目を丸くさせた。


「ね、ねぇナガレ、それって少なくとも一対一だと絶対に勝てないんじゃないの?」

「確かに普通にやっていては難しいでしょう。ですが、全く方法がないわけではありません」

「え? でもどうやって?」

「……限界を超える」

「え?」

「……メグミが自分の限界を、今ここで超える。それが出来れば――」


 そう、それこそがナガレのいう勝つための方法。

 だが、それはそう簡単に達成できるものでもなく。


「こ、こんなの無理――」

『諦めるでない! メグミよ、己の限界を超えるのだ!』

「そんなの、すぐには無理よ――」

『そんなことはないぞ。現にここに至るまでの試練に挑んだ仲間たちは(一部例外はいたが)全員戦いの中で限界を突破してきたであろう。お主のクラスメートのマイだってそうだ! 皆が出来てお主に出来ない理由などない。自信を持て! 自分を信じるのだ!』

「自分を信じる――」

 

 そうだ、とメグミは自分を振り返る。ビッチェに教えてもらうことで、メグミは弱気な自分を乗り越えたはずではないか。 

 

 それなのに、また逃げるのか?


「そんなの、嫌だ! 嫌だ嫌だ! 私だってここで限界を超える!」

「むぅ、これは!?」

『来たぞメグミ! 聖剣開放LV2である!』

「はぁああぁあ、聖剣開放ーーーー!」


 そして、LV2の聖剣開放によりメグミの全身が強化され、キングアーサーを圧倒、その上で、LV1の聖剣開放を組み合わせ、キングアーサーの刺突と激しくぶつかり合い――


――カンッカンッカンッカンッ、ガンッ! ドスン!


「なんとこれは!」

「これが、私の限界を超えたパワー! ハァアアァアアァアアア!」

「むうぅうううぅうう、見事であるぞーーーーーーーー!」


 こうして遂にメグミはキングアーサーに勝利したのだった。





「見事な戦いぶりであった! 勇者メグミよ、お主にこの私の鎧と、その聖剣用の鞘を授けよう!」

「え? 鞘はともかく、鎧はここで脱ぐの?」


 キングアーサーに勝利することで、遂にメグミはエクスに合う鞘を手にする事ができた。

 そして同時に、ウィガールという鎧も授けてくれたが、どういうわけかその場で脱ぎ始めた為、今のキングアーサーはパンツ一丁という出で立ちだ。


「は、恥ずかしくないのかしら、王なのに――」

「み、見てる私が恥ずかしいです~~~~」


 アイカが目を両手で覆う。


「さぁ娘! 着るが良い!」

「えぇええ! 今ここでーーーー!」

「め、メグミちゃん、王の御前で、こうまで言われたらやっぱりその場で今の服は脱いで、ね、ね?」

「カイル……」

「……黙れこの変態」

「ギャァアアァアアァアアアア!」


 しっかりお仕置きを受けるカイルだが、どこか嬉しそうでもある。


『メグミよ、安心せい。この鎧は自動装備が可能でな。お主が着たいと望めばわざわざ今の装備を外さなくても着衣可能なのだ』

「え? そうなんだ、でも、匂いとか……」

『除菌に消臭機能付きである』

「でもサイズ感……」

「なぜそこまで嫌がるのだ! アーサーショック!」


 キングアーサーは落ち込んだ。


「ふぅ、サイズなら心配するでない。その鎧はお主の望む姿に変化する鎧でもある。勿論サイズもフリーであるぞ」

「そう、なんだ。それなら――」


 そしてメグミはようやく覚悟を決めてキングアーサーから受け取った鎧を身に着けた。

 メグミの望む姿に変化するということでそれほど見た目は変わり映えしなかったが、多少神々しさが増した気がする。あと臭くなかった


「ふむ、よく似合っておるぞ」

「あ、ありがとうございます。あの、ところで帰りは?」

「安心せい、みるがよい! 帰りはそこの魔法陣にて我と円卓の騎士の力を結集させて、元の場所まで転移させるとしよう」


 そういって指差した方には、巨大な魔法陣が描かれた空間があり、しかもこれまで戦った円卓の騎士が勢揃いしていた。


「さぁ、称えるのだ! 我が試練を乗り越えた勇者たちを!」

「おめでとう!」

「おめでとーーーー!」

「おめでとうぅうう!」

「おめでっとぅ!」

「おめでと……」

「お目出とう!」

「お・め・で・と・う」

「オメデトー」

「お~めでと~」

「OMEDETOU」

「おめでとうでーーーーーす!」

「おめでとうなのだ」

「おめでとうでござる!」


 こうしてキングアーサーと円卓の騎士達に見送られて、遂にナガレ一行は試練の場を後にした。


 だが、戦いはまだ終わってはいない。

 そう、彼らの戦いはまだ、始まったばかりなのだーーーーーー!

これまでご愛読頂きありがとうございました。

神薙 流の次回登場にご期待下さい。


※念のため、別に打ち切りではありません。

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