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レベル0で最強の合気道家、いざ、異世界へ参る!  作者: 空地 大乃
第三章 ナガレ冒険者としての活躍編

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閑話 其の七 拷問開始

今回の閑話は一旦これまでです

「……へ?」


「遊びは終わりだ馬鹿。やろうと思えばそんなガラクタいつでも始末できたんだよ」


 ほくそ笑み、強気に言いのける。

 サトルの使役した漆黒の鎧は悪魔の書第七二位デスナイト。

 その刃はオリハルコンですら豆腐のように切り刻むという。

  

 たかがアダマンタイト程度で作られた鎧武者など端から問題にならないのである。


「さて、これでお前の壁はなくなったわけだが、で、どうする?」


 ひっ! と短い悲鳴を上げる。中野のステータスは確認済みだ。人形がなければこの男の戦闘力は皆無である。


 そして秋葉も腕と目をやられ既に戦意は消失している。

 大宮があっさりくたばってしまったのが残念なところではあるが。


「さて、楽しい楽しい復讐の時間の始まりだ。さぁ、どうして欲しい?」


 問うように口にする。勿論選択肢を与えるつもりなどありもしないが。

 だが、手負いの鼠ほど存外しぶといものだ。


 中野は突如疾駆し、かと思えば近くで呆然としているアンを掴み持ち上げる。


「あ~はっは! 詰めが甘いでござる! さぁサトル! その鎧をどっかにやるでござるよ! さもなければこの可愛らしい何の罪もない処女幼女の命が――」

「馬鹿かお前は」


 中野がアンを持ち上げ、勝ち誇ったが如く叫びあげたその瞬間、デビルフライヤーの伸長した翅が中野の股間を直撃した。


「!? っぴぇふぎゅいおえぎゅがひゅぎゅひゃ!」


 中野の手からアンが離れ、その身が地面に崩れる。

 身長差も考えず上に持ち上げたりするものだから、股間の部分が隙だらけであった。

 そんな状態を晒すなど暗に狙ってくれと言っているようなものである。


「あ、あ、あぁああ」


 震える声と震える身体。地面に腰をつけたまま後ずさりする幼女の姿を一瞥するが、サトルは特に興味がないといった様子で復讐相手のふたりに視線を移す。


「さて、とりあえず話を聞くのは一人でいいか」


 そんな事を呟きつつ、秋葉の横まで近づき蹲る小柄な男に蹴りを入れた。

 ぐふぅ! と呻き仰向けに転がる。


「……ゆ、ゆる、じ、で」

「嫌なこった。いでよ……悪魔の書第五六位グリモクローラー」


 サトルが悪魔の書に手を翳しそう唱えると、書物の中から巨大な芋虫のような悪魔が現出した。

 体全体に巨大な瞳がこびり付き、ギョロギョロと周囲を見回している。


「秋葉、お前確か蟲が大好きだったんだな。くくっ、俺は気がきくからな。お前も蟲に蹂躙されるなら本望だろ?」


 近づく蟲の悪魔に、ヒッ! と小さな悲鳴を上げる。

 ズリュズリュ――と耳に残る不快音を奏でながら、グリモクローラーが秋葉の足下ににじり寄った。


 すると、その先端がグワッ! と大きく開き、バクリっと足下から喰らいつく。


「どうだ? 大好きな蟲に捕食されていく気分は?」


「あ、あずい"ア"ずィーーーー!」


 ズリュズリュ――


「そうかそうか気持ちが良いか。ちなみにグリモクローラーはな、捕食する相手を徐々に溶解しながら己の糧にしていく。当然だが、生きたまま少しずつ溶かされていく感覚は想像を絶する痛さだ。しかも頭を食べ終わるまで絶対に気絶なんてさせてもらえない。ギリギリの痛みを最後の一口までしっかり与えてくれるぞ? でも良かっただろ? お前の大好きな蟲の糧になれるのだから、こんな幸せなことはないだろう」


「あぁああァア"ぁあア"ァ"あぁああ! いやだぁああぁ! こんなじにがた、い、や、だぁアァ"ア!」


 贅沢な奴め、と口元を歪めつつ、サトルは今度は中野の下へと向かった。


「ひ、ひぃ! 許してほしいでござる! 後生を! どうか後生をでござる! あ! そうだサトル殿! せ、拙者と組まないでござるか? いやぁちょうどそこのふたりにはほとほと嫌気がさしていたでござるよ。実力もないくせに口だけは偉そうで、その点三年A組の智将とさえ称された拙者でござればサトル殿のぎひぃ!」


 ピーピー雑音が煩わしい、とサトルはデスナイトに手の指を数本切り飛ばさせる。

 すぐにでも殺したい衝動にかられてはいたが、ここで感情に任せて行動しては先が面倒な事になるだろう。


「あぁ指が、拙者の指がーーーー!」

「煩い。喚くな。黙って俺の質問に答えろ」


「ひぐぅ、ひぐぅ、こ、答えたら許してくれるでござるか?」


「内容次第だ。とりあえず知ってる限りで今のクラスの屑共の居場所を教えろ」


 喉元にデスナイトの剣を突きつけ尋問する。実際は正直に答えなくても手はあるのだが、尋問形式で絶望に満ちた顔でも見ておかないとサトルの気がすまないのである。


「クラスのじょ、情報といっても拙者達はある程度帝都で訓練を終えてからは自由行動で実力を向上させるよう言われているでござる。帝都を出てからの皆の情報なんて、ヒッ!」


「知らないならこのまま膾切りになってもらうだけだ」


「ま、待つでござる! そうだ思い出したでござる! 教師の西島 勇と女生徒の百島 穂乃果(ももじま ほのか)は確か一緒に村で子供たちに勉強を教えているとかそんな活動をしていたはずでござる!」


 勉強だと? とサトルが訝しげな目で中野に問い返す。


「そうでござる! 西島の称号は戦闘向きでは無かったでござる! 鑑定に近い能力は持っていたでござるがとても魔物を狩って実力を上げるどころではないという事で、そういった活動に精を出しているという話でござる」


 随分と立派なもんだな、とサトルは眉を顰めた。

 しかし彼は知っている、西島が何の利益もなくただでボランティア活動に勤しむような男ではないことを。

 そして百島が一緒にいるのは、あの教師と影で付き合っているからに他ならないだろ。


「場所は?」


「こ、ここから北西に一二〇kmほど進んだ小さな村に今は身を置いていると聞いているでござる。それに西島は一応教師故、生徒の情報は逐一報告を受けている筈でござる。西島を洗えば、きっと他の情報もわか、あ、あ、ぁ」


 悪魔の書第一五七位であるブレインジャッカーを使役し、中野の頭に貼り付けた。一応情報が正しいかを精査するためである。

 まるで出来の悪いエイリアンのような見た目のソレは爪を頭蓋に引っ掛け、相手の記憶を探ることが可能だ。


(どうやら言っている情報に嘘はないか。これ以外もこれといった情報は知らないみたいだしな)


 一人納得しブレインジャッカーを戻す。

 すると中野はわけがわからないといった様子できょろきょろと辺りを見回した後、再びサトルに顔を向けにや~と媚びるような笑みを零した。


「こ、これで拙者の事は許してくれるでござるか?」


「うん? あぁそうだな。そういえば今思い出したんだが、お前WEB小説で有名だったリアル異世界ごっこの作者、ヒロインが処女じゃないという理由で派手に暴れて活動休止においやっていたよな?」


 へ? と目をパチクリさせる中野。

 しかし――


「俺あの作品好きだったんだ。それなのにテメェのせいで続きが読めなくて本当ムカつく。だからやっぱ死刑な」


「は? はぁ!? なんでござるかそれは! そ、そんな理不尽な話ないでござる! たかがWEBの小説如きでそんな」


「いでよ、悪魔の書六十九位メズダーク(馬頭悪魔)


 サトルが唱えると、悪魔の書が光り出し、中から三メートルを優に超える馬頭の悪魔が姿を見せた。


「な、なんでござるか! これは一体なんでござるか!」


「お前さ、そんなに処女処女言うなら、自分の処女を先ず捧げろよ」


 サトルがそう告げると、メズダークが中野に近づき、そのズボンも下着も一緒に引き裂いた。


「ひぃ! そ、そんなの無理で御座る! 無理で御座る! 大体拙者は責めせんも――」

「ヒヒィイイィイイィイイィイン!」

「あ、アァア"ア"ァ"ア"ア"ァ"ア"ア"ァ"ア"ア"ァ"ア"ア"ァ"ぐふぇぶぉぉおおぉ!」


「……あぁそういえば馬としようとして腸が破れて死んだ奴とかいたんだったな……」


 背中から突き破られ惨めな死骸と化したそれを眺めながら、サトルは呟き。


「まぁ、どっちにしろキモいんだよ、処女厨とか蟲好き根暗とか幼女好きとか三人纏めて地獄に落ちろ!」


 そう吐き捨てるように言って、残りは段々と溶かされて頭まで飲み込まれていく秋葉の姿を視界に収めた後、悪魔たちを全て本の中に戻した。


「さて、と……」


 独りごち、そしてサトルは一人取り残された幼女に目を向けた。

 すると、彼女はビクンっ! と身を震わせ、ごめんなさい、ごめんなさい、と謝罪の言葉を意味もなく繰り返していく。


(……ま、普通はそりゃそうか)


 心の中でそう呟き、サトルは少女に特に声を掛けることもなく、新しいターゲット目掛け歩み出す。


『これで初めての復讐は成功であるか。しかし随分と派手にやったものだな』


「…………」


 悪魔の書の問いかけにサトルは沈黙で答える。


『それにしても、あの幼女はあのままで良かったのであるか?』


「……俺の知っている物語では、復讐を決めた主人公が、あぁやって助けた女を仲間にしたりしていた」


 ほうほう、と興味ありげに悪魔の書が口にする。


「そして、女と行動をともにする内に、復讐心が薄れ、結局虐めていた連中を許したりしていたんだがな……俺からしてみれば、そんなのは糞だ! 俺に仲間なんて余計な物はいらない。俺の心にあるのは煮えたぎるような復讐心だけなんだからな!」


 心に誓うように怨嗟の言葉を述べるサトル。

 彼の復讐劇はまだまだ始まったばかりである――

次の更新から本編再開です

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