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レベル0で最強の合気道家、いざ、異世界へ参る!  作者: 空地 大乃
第三章 ナガレ冒険者としての活躍編

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閑話 其の五 屑共の蛮行

注意!

こちらの話には本編の主人公ナガレは登場いたしません。

サトルという少年の復讐がメインの話です。

本編とはガラリとかわり暴力的な描写猟奇的な描写が多数含まれます。

女性が酷い目に合うシーンが含まれます。

閑話を読まず本編のみ読み進めても問題ないよう続けていくつもりですので上記が苦手な方は本編の更新までお待ち頂ければと思います。

「お前たちは先に逃げろ! ここは俺が食い止める!」

「で、でも貴方――」

「パパ、嫌だよ! 一緒に逃げよ?」


 犬耳をはやし、栗毛の鮮やかな男が叫び、家族と思われるふたりに逃げるよう促す。


 その手には弓が握られ、森の一点に向けて引き絞られていた。


 同じように犬の耳を生やした美しい女に可愛らしい少女。

 妻と娘、ふたりは父親を心配し中々逃げようとしない。


「大丈夫だ、パパの弓の腕を知っているだろ? この辺りの魔物にも負けないぐらいの腕があるんだ。だから絶対大丈夫。後で必ず追いつく、だから、な?」



 そこまで言って男は決心の篭った目で妻を見た。家族をどんな事をしても守ろうと言う父親の眼であり、妻を愛する漢の眼でもある。


「……貴方、判った、信じてるから――さぁ!」

「え? ママ? 嫌だよそんな! ママーーーー!」


 娘は妻の手に抱かれふたりは森の奥へと消えていく。


(頼むからお前たちだけでも逃げ延びてくれよ――)

 

 心中で懇願しつつも、再び意識を一点に集中させた。

 その時、ガサゴソと藪が揺れ、目の前に飛び出す等身大の影が一つ。


「はっ!」


 息を強く吐き出すと同時に弦から指を放した。 彼はスキル狙い撃ちを保有している。弓使いとしてはBランク冒険者程度の実力は有していた。


 一度指から離れた矢は、決して目標を外すことなく、一直線にその頭に吸い込まれていくが。


――ガンッ!


 無情な響きが耳朶を打つ。確かに矢は当たった。狙ったのは普通なら一発で死ぬような眉間への一撃。


 だが、その黒鉄色の肌。異様な存在感を示す角つきの兜には傷一つ付けること叶わず――


「ふんふん~今のはなんでござるか? まさかこの拙者の武者丸にそのような脆弱な武器で打ち勝てると本気で思っていたでござるか~?」

 

 それは妙な喋り方をした男であった。彼は武者丸と称した鎧武者の影に隠れていた。

 勿論鎧武者なんてものは本来はこの世界に存在しない。

 

 武者の使用している刀も日本刀。これとて異世界では珍しいものだ。

 しかし、それを彼は帝国の鍛冶師に無理を言ってお願いし、作り上げてもらった。

 材料もアダマンタートルの甲羅という一級品の素材をふんだんに使用している。

 

 アダマンタートルから取れる希少金属であるアダマンタイトは鋼鉄を遥かに凌駕する硬度を持つ。

 所詮鏃が鋼程度の男の矢では、どうあがいても貫けるはずがないのだ。


「ふふん、フィギュアの趣味が高じて手に入れた人形使いの称号は、やはり凄いでござるよ。正に理想の武者人形が拙者の思い通りに動くでござる。やはり日本人たるもの、武者鎧とKATANAのセットは外せぬでござるな」


「……くそ! ふざけやがって!」


 越に入りべらべらと講釈を垂れる男に彼は我慢が出来なかった。

 奇妙な姿をし、眼鏡を掛け、黒目に肩まで掛かる程の黒髪。


 長身痩躯のその姿は決して強そうには思えない。だが、実際は彼の弓程度では、いやAランクの冒険者でさえ勝つことが困難であろう能力と称号を持ち合わせている。


 醜悪な見ているだけで不快になる顔と笑い方。こんな男にやられること、ましてや妻や娘が捕まり好き勝手される事など想像するだけ反吐が出る思いである。


「まだ、終わってはいない!」


 語気を強め、手早く矢を番え、鎧武者に向かって撃ち放つ。

 インパクト――弓系の攻撃スキルであるこの技は、矢に衝撃波をまとわせ威力を上げる。

 

 だが、ガツンッ! と先程よりは鈍い音を奏でるも通らない。さっきと何もかわらなかった。傷一つ付かない。

 だが――


 ニヤリと口角を吊り上げた、人形使いの男の首筋にもう一本の矢が迫る。

 ダブルアロー――ほぼ同時に二発の矢を射るスキル。

 そして、そのスキルにインパクトとフックアローを重ねた。

 それが男のとっておき。フックアローは曲線を描く軌道で相手を狙う。

 

 鎧武者が無理なら、その繰り手を狙えば事足りる。どう考えても眼鏡の男は鎧武者のような防御力を持ち合わせていない。


 だが――シュバッ! と空気を切り裂く音を奏で、首を狙った必殺の一撃は見事鎧武者の刀に両断され落とされた。 

 かと思えば返しの一線で放たれた斬撃波が男の身を切り裂いてしまう。

 

「な!?」


 驚愕、鮮血を撒き散らしながら男は地面に崩れ落ち、そして――耳に届く嘲笑。


「愚かなりーーーー! 策士策に溺れるとは此の事なりよーーーー! そんな浅はかな考え拙者にはお見通しでござるよ!」


 指を突きつけあざ笑う。男の倒れた先の下草はすっかり真っ赤に染め上がっていた。


「くくっ、全く拙者の鎧武者は主を守るよう設定されているでござるよ。何があろうと忠義を誓う事こそが武士の誉れ。それを読みきれなかったお主の負けでござる」


「く、くそ……だが、時間は稼いだ。この間に――」

「それこそバカの考えなりーーーー! お主は頭が弱いでござるねぇ。拙者は三人でお主を追い詰めていたでござるよ? なのに何故拙者しか相手しているのがいないのか……ちょっと考えればわかるでござろう?」


 倒れていた男の目が驚愕に見開かれた。まさ、か、と吐血しながら呟く、すると――


「いあだぁあああああ、ママー! ママー!」

「そんな、やめて、いや! お願いですアンは、娘のアンだけはお願いですからーーーー!」


 響く絶叫。そして男の瞳には絶望。

 

「う~ん、中々に良い響きでござる。これは拙者もすぐに向かわねばいけぬでござるなあ。しかしその前に――」


 眼鏡の男は、なんとか妻と娘を助けようと地面を這う夫であるソレの側に近づき、そして冷えた瞳で言い放つ。


「あんな、あんな美人の嫁に可愛い娘など贅沢でござる! 大体獣人なんてものは女以外認めないでござる! 貴様は全国のオタク達を敵に回したでござる! その罪は万死に値するでござるよ! このリア充め! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ねぇえぇええぇえええぇえええ!」





「おお、秋葉殿に大宮氏、やってるでござるな」


「……中野、ん、はぁ、はぁ」


「いやぁ、ママぁ、ママぁ……」


 中野がふたりの父親を片付け、仲間のふたりのところへ戻った頃には、既に秋葉が行為を終わらせていた。


 その前では地面に仰向けに寝かされた妙齢の獣人女。

 近くにいるこの母親の娘が一〇歳程度である事を考えると、母親の方も二〇代後半程度と考えるべきか。

 ただ見た目にはかなり幼くも思える。


 そんな母親は目に涙を為ながら、どうか娘だけは、娘だけは、と壊れたレコードのように繰り返している。

 中野の記憶では直前までは白いチュニックを着ていたと思われるが、今はビリビリに破れて見る影もない。

 

 一方もう一人の方は中野の予定通り今はまだ無事である。

 着衣の乱れはないが、散々暴れたのか顔には疲れの色が滲んでいた。


 しかし、一〇歳程度の幼女の力で大宮の腕から逃れるのは土台無理な話であろう。

 彼は一般的に言えばデブだ。まん丸くよく実った顔は、脂肪が厚すぎて本人曰く元は二重の瞳が一重になってしまっている程だ。

 だがその分図体もでかく腕も太い。

 おまけに重戦士の称号持ちなので、それに合わせて腕力も強化されている。


「大宮氏随分と息が荒いでござるな大丈夫でござるか?」

「だって、我慢できないよ僕。こ、こんな可愛らしい幼女、はや、はやく」


「それは駄目でござるよ。約束でござろう? もう少し待つでござる。それで秋葉殿のほうは満足したでござるか?」


 中野が彼に尋ねるとコクコクと頷いた。彼は大宮や中野と比べると身長はかなり低い。

 一六〇cmもないであろう。口数が少なく、影で根暗と言われていたこともあるようだが、中野や大宮といったオタク仲間が出来たことで、その事は気にしなくなった。


 何より一人生け贄が出来たせいで、彼らおたく三人にイジメの白羽の矢が立つことが無くなった事も大きいか。


 常に崩さないキノコカット、その前髪を何故か片側だけ隠しているのが彼の特徴だ。

 そして秋葉は顔を上げ昆虫のような冷たい瞳を中野に向けたまま不気味にニヤリと微笑んだ。

 

「秋葉殿はマザコンでもあるでござるからなぁ」

「……違う、年上好きなだけ」

 

 あぁそうでござったな、と笑ってみせる。


「中野の方こそ終わったの? そうでないと約束はぁ~」


「ふふん、あの程度の獣人の風上にも置けない屑、さくっとやってやったでござる。これが証拠でござるよ」


 言って中野がゴロンと武者丸に持たせていた頭を放り投げさせた。

 ゴロゴロと転がった随分と歪なそれは、彼が愛してやまなかった妻の顔の横で止まり、横を向いた彼女と目と目が合う。


「い、いや、パパーーーー! パパーーーー!」


 その瞬間、堰を切ったように太い腕に拘束された娘が暴れだしボロボロと涙を零しながら叫びあげた。

 

「もう、あばれないでよ~」


 そんな幼女をより強く締め上げる大宮。

 そして――


「あ、あ、あぁああ、ああぁぁあぁあ! 貴方! 貴方ーー! いやぁああああぁああぁあ!」


 絶叫する妻の口から出た叫びに、うるさいでござる、と中野が顔を顰めた。


「……でなし、人でなし! 人でなし! 人でなし! 悪魔よ! 貴方達は悪魔よ! こんな事して! 私の! 私の愛した人に、こんな、こんなぁああぁああぁあああ!」


「うるさいでござる!」


 その瞬間、武者丸の拳が女の顔面を捉えた。ぐしゃっという骨の軋む音。

 飛び散る鮮血。そして――


「生意気でござる! 生意気でござる! 大体あんな獣人の風上にも置けない雄の犬耳なんかに喜んで股を開いていたビッチが偉そうでござる! 非処女は死すべし! 処女以外の女なんてそもそも生きてる価値がないでござる! やかましいだけの非処女犬耳ビッチなんかにもう用はないでござる! とっとと死ね! 死ね! 死ね!」


 中野の声に合わせるように武者丸の拳が何度も何度も何度も何度も女の顔面に振り下ろされていった。

 その身はぴくぴくと暫く痙攣を続けていたが、その動きもやみ、中野が、ふ~、と息をついた頃には、あれだけ綺麗だった女の顔は見る影もなく、肉塊へと変わり果ててしまっていた。


「い、いや、いやぁああぁああ! ママーーーー! ママーーーー!」


「……勿体無い」

「あぁ、秋葉氏すまんでござるよ。でもやることは既にやったでござろう? 非処女のメス犬ビッチなんて一度やれば十分でござろう。使い捨てがお似合いでござるよ」

「中野君、こっちにきて更に処女厨ぶりが酷くなったよね」

「……元から酷い。WEB小説でも……」

「ヒロインが処女じゃないとわかったら発狂してコメント欄に乗り込んで、作者が潰れるまで書き込みを続けていたもんね……」

「そんなの当然でござるよ! リアルでも非処女というだけで万死に値すると言うのに創作小説という無限の可能性を秘めた媒体で、わざわざ非処女ヒロインを出す意味がわからないでござる! 死すべしでござる!」


 大宮の腕の中でなきじゃくる幼女をよそに、そんな話に花を咲かせる三人。


 だが、その矛先が残ったアンという名の幼女に向けられるの時間はかからなかった。


「いや、いやぁああぁああぁあああ!」


「ほらほらおとなしくするでござるよ」


「……僕も幼女の処女奪いたかったな」

「何をいうでござる! そっちの処女は拙者が奪うという約束でござるよ!」

「……大宮は後ろで我慢する」


「ぶ~仕方ないなぁ……」


 そんな事を言いながら、幼気な獣人の服を剥いていく三人。

 大宮に関しては興奮のあまり全身鎧の下半身だけを脱ぎ去り、巨大な尻を露わにしていた。


「重戦士の着衣に脱衣のスキルはこういう時便利でござるな」

 

 そういいつつもカチャカチャとベルトに手をかけ始める中野。既に頭のなかは目の前の処女を奪うことで一杯なのだろう。


 だが――その時であった。


「……え?」


 大宮が疑問の声を発す。そして直後。


「ぎ、ぎひいいィイいぃイィいいいぃい!」


 悶絶、かと思えば大宮が己の尻を押さえながら前のめりに倒れた。


「尻がぁああああ、僕の尻が割れてぇええぇえ!」

「お、落ち着くでござる! 尻は最初から割れて」

「違うぅうぅうう、あぁああぁあ痛い痛い痛いぃいいいいい!」


「……これ凄い抉れて出血も凄い――」


 秋葉がうつ伏せに倒れた大宮の尻を見ながら呟くように言った。

 確かに、彼の臀部は正常な状態より更に深く抉れるように割れてしまっており、ドバドバと大量の血潮が外に噴き出てしまっている。


「な、なんでござる! これは一体何が!」


 中野が狼狽した声を発した。すると、ガサゴソと藪の揺れる音。

 そしてぬっと中から姿を見せたのは、黒い全身鎧を纏った騎士。


 その後ろからもう一人彼らの前に姿を晒す。


「よう、変態ども。久しぶりだな――」


 鎧騎士の横に立つその姿を目にし、中野が黒目を震えさせながら呟いた。


「……サ、サトル――」

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