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レベル0で最強の合気道家、いざ、異世界へ参る!  作者: 空地 大乃
第五章 ナガレとサトル編

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第二八八話 蘇る復讐心

第272話から続いているサトルの復讐回です。まだナガレは出てきません。


――こんな事で本当に諦めるのか?


 魂の深淵にまで、その声が響き渡る。サトルの復讐心を煽り、燃やす。


 その声は悪魔の書による呼びかけ、そしてサトルは思い出す、一体自分はどうしてここまでやってきたのかを。


「アケチぃいぃいいいぃいいい!」


 全ての怒りの矛先をアケチへと向けた。サトルにはもうそれしか出来ない、残されていない。

 そして――


「へえ、まだそんな目が出来るんだ? それにしても大したものだね、まるで僕が悪いんだと言わんばかりの目だ」

「そのとおりだ! 全ての元凶はお前だ! お前がいたから、俺の家族は、妹は、俺は! その全て壊された!」

「とんだいいがかりだ。大体、一体僕が何をしたと言うんだい? 全ての原因は君にこそあるんじゃないかな? 僕は君と違って一切手は汚していない。この通り綺麗なものさ。だがサトル、お前はどうだ? その手はすっかり血で染まりきっているだろ? 何の関係もない人間もその家族も虐殺してみせたお前はただのキチガイな殺人鬼だ」

「ああそうだ! 認めてやるよ! もう俺は戻れない! この手は血でベットリだ! マイもその家族も殺した! あの黒騎士も夫も、アイカも殺した! メグミだって……だが、だからって俺の恨みは消えない! 手にかけた報いは俺が死んでからいくらでも受けてやる! だが、それでも、お前が正しいなんて言わせない! 俺にとってお前は、ただのイカれたサイコ野郎だ!」

「ははっ、それを君がいうかい? 僕なんかよりずっとキチガイじみてる君が? 今の顔を鏡で見せてやりたいよ」

「黙れ! こんなクソみたいなやり取りはもう終わりだ! そうだ、終わらせてやる! そしてこの俺がお前に、地獄を見せる! 行くぞお前たち!」

「へえ――僕の【演説】から逃れちゃったか。ま、僕もそろそろかなと思っていたし丁度いいかな――いいよ、この僕が、お前の遊戯の相手をしてやるよ」

「このクソ野郎がーーーーーー!」


 その瞬間、止まっていた時が刻み出したかのように、悪魔が一斉に動き出す。


 ベルゼブの生み出した蝿と、アルケニスの吐き出した毒液がアケチに降り注ぐ――だが。


「無駄だよ、そもそも僕には病も毒も効かないからね」

「――ッ!?」


 毒液をその剣で切り飛ばし、肉薄したアケチの一閃がアルケニスの人と蜘蛛の部分を両断した。更に刃に光を纏わせ伸ばし、頭上に見えたベルゼブも一撃で切り捨てる。


「ば、馬鹿な! 我の剣が、全力の剣が、腕一本でいなされているとは!」

「悪いけど、速さが全然足りてないよ、ああ、それと――」


 アシュラムの横を通り過ぎた瞬間、骨の関節の一つ一つに銀閃が刻まれ、アシュラムの身体がバラバラになって地面にばら撒かれる。


「君、カルシウムが足りてないよね?」


 余裕の表情を見せるアケチに向けて、視界を覆い尽くさんばかりの炎が迫る。バベルの生み出した地獄の炎。万を超える灼弾がアケチを捉え、爆発の連鎖が空間を支配する。


「むぅ、やったか?」

「ざ~んねん、やってないね」


 アスモダイが唸りながら声を上げるが、燃え盛る炎の中から飛び出した影がバベルに向けて開いた方の掌を向け、放たれた光の帯がバベルの身体を炎ごと消し去った。


「グウウゥウオォオオォオオオ!」


 アスタロスが吠える。いつの間にか距離を詰めていた巨人の、その巨大な拳が空中漂うアケチに向けて降り注ぐ。


「悪いけど、僕に二度同じ手は通用しないよ」


 しかし、不意をついたと思われた一撃は、アケチの飛行によってあっさりと躱され、幾千、幾万もの斬撃が容赦なく巨人の身を切り裂いた。


 獅子化したシシオでさえ、皮一枚程度しか傷つけることが叶わなかったその身が、あっさりと細切れにされ地面に崩れ落ちる。


「うぉおおぉおぉおお!」


 着地したアケチに気勢を上げながら、サトルが突っ込んだ。そしてアゾットソードでもって斬り殺しに掛かる。


「驚いたね、駄目じゃないか王が自ら前に出るなんて」


 だが、その一撃もあっさりと受け止められ、かと思えば鎧も剣も翼さえも一瞬にしてバラバラの残骸になりはて、その余波でサトルが吹っ飛んだ。


「くっ!」

「勇猛と無謀は違うよサトルくん」


 地面をゴロゴロと転がるサトルであったが、すぐさまヘラドンナの手によって発生した植物のクッションが衝撃を逃し、サトルのバランスを保つ。


 へぇ、と彼女の対応の早さに感心したように声をもらすアケチを睨めつけ、サトルはにやりと口角を吊り上げた。


「いや、これでいいのさ」

「うん?」

『キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ』


 疑問の声を上げるアケチであったが、突如笑い声を上げる黒猫のような悪魔がその右肩に現出した。


「……ふ~ん、キャスパリーグか。なるほどねぇ、ちょっとは考えているようじゃない」

「――ッ!? デスクリムゾン! 俺を守れ!」


 だが、すぐさまアケチに看破されたことでサトルは比較的近くにいた悪魔に命じる。骨の車輪を有すこの悪魔は機動性も高い。


 サトルとて、もしかしたらすぐに正体に気づかれるかもしれないという思いはあった。


 そしてそれに気がついたならば解除の方法にも辿り着くかもしれない。


「うん、大丈夫だよそんな心配しなくても。この程度は――」

『ギャッ!』


 だが、サトルの心配は全く別な意味で的中する事となる。なぜなら、アケチはその剣をもってあっさりとキャスパリーグを切り裂いてしまったからだ。


「そ、そんな、キャスパリーグに攻撃は効かない筈なのに――」

「悪いけど、僕に倒せない相手なんていないんだよ」

「くっ! デスクリムゾンやれ!」


 サトルがカバーにやってきていたその悪魔に再び命令。上半身の骨部分が何かをブツブツと呟き――すると奇妙な文言がアケチの纏わりつき始める。


 呪詛だ、デスクリムゾンの上半身から発せられた呪詛がアケチを呪い、そのステータスを大幅に減少させる。


 その上で、下半分の髑髏の口が開き、骨で出来た砲身から極大の瘴気砲が発射される。


 禍々しい色をした瘴気が濁流となり、アケチの全身を飲み込んだ。この瘴気に触れたものはどんなものでも瞬時に腐り果てる。射線上に存在した床も煙を上げ一瞬にして黒く変色しズブズブになってしまった。


 それほどの威力を持った一撃であったのだが――瘴気砲が放たれた直後、デスクリムゾンの周囲に幾つもの光の小刃を生まれ、悪魔の身をズタズタに切り裂いた。


「どうかな、僕のパーフェクト(完璧な)ジャッジメント(裁き)は? やっぱり悪魔には光だよねぇ」


 何事もなかったように語るアケチ。瘴気の濁流が通り過ぎた後には、光の大盾を構え全くダメージを受けていないアケチの姿。


 その様子に愕然となるサトル。


『……まさか、ここまで差があるとはな』

「馬鹿な! ありえない!」


 悪魔の書の念を聞き届けながら、サトルが叫ぶ。


「俺はお前のステータスを視ている! だが、そのステータスで序列第四位までの悪魔がここまで圧倒されるなんてありえない! いくら装備の恩恵があるといっても……くそ! なんでだ!」


 そして、憤る。アケチのレベルは確かに高い。五桁台のレベルというだけで驚異的だ。


 だが、それでもやはりありえない。いくらすごいと言っても、通常時ではシシオの変身時の攻撃力には遠く及ばない筈。


 光操作などのスキルがあるにしても、いくらなんでも強すぎる。


「うん? ああ、そうかそうか、そういえば君はまだ、隠蔽した僕の力しかみてないんだったね?」

「……何? 馬鹿なことを言うな! 俺はお前の隠蔽を看破し、その全てを覗き見た!」

「あははっ、それは君の勘違いさ。僕は完璧な隠蔽の上に普通の隠蔽を重ねていたに過ぎないから、君が見ていたのはまだ僕の本当の力じゃない」

「……完璧な、隠蔽だ、と?」

「そう。でも折角だ、今度は隠蔽も外して本当の僕のステータスを見せてあげるよ。さあ、解いたよ」


 にこやかな表情で信じられない事を述べるアケチ。だが、喉を鳴らしつつ、改めてサトルはアケチのステータスをイビルアイを通して確認する。



ステータス(完璧)

名前:マサヨシ アケチ

年齢:17歳

性別:♂

称号:完璧な勇者

レベル:125800

生命力:10600000/10600000

魔力 :10252000/10252000

攻撃力:10125000

防御力:10050500

敏捷力:12850000

魔導力:10000000

魔抗力:10000000


アビリティ

魔法行使(魔導第一門まで可)・魔力変換(効果・極大)・光の恩恵・英雄の素質・祝福・福音・聖なる加護


スキル

光操作・絶対なる束縛・啓龕・光の慧眼・詠唱破棄・術式記録



「――なっ……」

「どう? 絶望した?」


ここからどう覆すか……

次の更新は日付の変わる0時頃です。そして活動報告の予定通り明日は午後からどんどん更新していきます。

明日の最終更新までお付き合い頂けると嬉しく思いますm(_ _)m

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