第二二三話 ケモミミ幼女もナガレのアレには逆らえずしゃぶりつく
爪咬み様より素晴らしいレビューを頂きました! 本当にありがとうございます!
そしてこの話ではなんと幼女たちにあんなことを!?
「グゴガァアァアァアアァア!?」
オルトロスは死んだ。食事をナガレに阻まれ、なんとか力で対抗しようとした魔獣オルトロスであったが、顎に力を込めたその瞬間、ギュルルン! と螺旋状に身体が回転し、そのまま地面に倒れて息絶えたのだ。そしてどういうわけかその身体はバターのようにドロドロになってしまっていた。ナガレの合気による螺旋の回転で遠心分離されてしまったからである。そしてこれによって必要な素材はしっかり分離されて纏めて地面に置かれている。
「皆さん大丈夫ですか? 怪我はありませんか!」
「近寄らないで!」
そして、雌雄を決したところで後方で控えていたローザがやってきて少女達に声を掛けた。が、その途端、犬耳の少女が後ろで固まっていた他の少女のもとへ走っていき、目つきを鋭くさせて叫んできた。
助けてもらったというのにこの態度は、些か失礼ではないか? と見る人によっては思うかもしれないし、実際ローザも戸惑っている様子だがナガレにはすぐにその事情が理解できた。
オルトロスの手によって何体かの骸が出来上がってしまっているが、その様子から明らかに真っ当な連中ではないことが明らかであったからだ。
しかも代表して他の少女を庇うようにして立っている彼女以外はひどく怯えた目をしている上、全員が獣人の特徴である耳と尻尾を有していた。
王国では人身売買的な方法で奴隷をやりとりするのは一切禁止されている。しかし彼女たちを見るにどう見てもその禁止されている方法で商売の道具にされそうであったことは明らかだ。
何よりこの怯え方は望んで奴隷になった者の態度ではない。ほぼ間違いなく盗賊などに攫われて強制的に連れてこられたものだろう。
故に、彼女たちはこの世界で言うところの人族に対して明らかな不信感を抱いている。それだけの傷を心に負っているということでもあるだろう。
そんな少女達に、ただ言葉で安心しろや危害は加えないなどと伝えたところで聞く耳は持たないだろう。安易にそんな言葉は繰り返せば繰り返すだけ心を頑なにさせるだけだ。
むしろここは、敢えてそのことには触れず、別な方向に話を持っていったほうが、と、ナガレは思い至り、そして――
「あ――」
ナガレはただ一言、それだけを口にした。だが彼の表情も相まって、思わず何かあったのか? とふたりを睨めつけていた犬耳少女も、え? と目をパチクリさせ口を半開きにさせた。
その瞬間、シュッとナガレが手を振り、むぐぅ!? と犬耳の少女が目を丸くさせる。
「な、ナガレ様、一体何を?」
その様子にローザも疑問の声を上げる。すると――
「はぁ、あ、あっま~~~~い――」
口元に手を持っていき、頬をまん丸く膨らませ、至福の表情で犬耳少女が言った。
キツかった目つきもトロトロであり、完全に意識を甘味に持っていかれている。
「――ハッ!? あ、あなた何をしたですか!」
しかし、一拍置いてその眼を見開き、ビシっとナガレを指差し詰問してきた。だが既に緩みきった頬は中々戻りそうにない。
「キャンディーですよ。大丈夫体に悪い物など入っていませんから」
ニコッと微笑みナガレが説明する。そう、ナガレは一瞬口が開いたその瞬間に少女の口へ甘い飴を放り込んだのである。
「キャンディ? そ、そんなこといって、ふぅん、へ、変な薬とか、う~ん甘いよ~、ひゃいってるんじゃ、ふぅううぅうううん!」
そんなことを言いながらも飴を舐めることをやめられない少女であり、周囲のケモミミ少女たちも警戒心顕だった様相が変化してきていた。
「そ、そんなに美味しいの?」
「よろしければ皆さんもいかがですか?」
すると少女の一人が興味深そうに発した。それを目にし、ナガレが懐から包み紙を取り出し、中身を広げてみせる。
「うわぁ~」
「綺麗……」
「それに、美味しそう」
「ゴクリ――」
広げた紙の中から姿を見せたのは、赤、青、緑と色とりどりの飴玉であった。形も色も綺麗であり、宝石のようでもある。そして凄く美味しそうだ。
「疲れているときや心を落ち着かせたい時には甘いものが一番ですよ。よろしければどうぞ」
ゴクリと喉を鳴らす幼きケモミミ少女達。だが、駄目、駄目よ! と代表を務める形になっている犬耳少女が発し。
「こ、これも罠かもしれないのよ! 安心させて、あ、甘いけど、安心させて甘いことを言って、つ、捕まえる気かも!」
「え~? でも一人だけ食べておいてずるいよ~」
「え? で、でも――」
不満を漏らす少女に目を泳がす犬耳少女である。だが、では私も、とナガレが先ず自分自身で一つ食べ、更にローザにも、
「おひとつ如何ですか?」
と薦めた。先ず自分たちが食べることで毒などの類は入っていないと証明してみせたのだ。
「え? あ、はい、では一つ――」
そしてローザもナガレの飴を一つ口に放り込み。
「ふ、ふぁ! あ、甘いです~~幸せ~~」
両頬に手を当て心の底から幸せといった表情を見せるローザ。この顔はどうみても演技ではない。
「これでも信じてはもらえないでしょうか?」
「え? あ、でも――」
「そうですね、では――」
まだ不安そうな彼女に向けてナガレはそう口にすると、今度は近くの樹木の一部を合気で加工し、即席のテーブルを造り上げ、その上に包み紙に乗った飴を置いた。地べたに置くのは流石に失礼だろうと思っての所為だったのだろう。
「私たちは一旦ここを離れますので、飴の処理はおまかせ致します。それでは――」
そしてナガレはローザを促しつつ、踵を返して一旦その場を離れようとしたが。
「ま、待って!」
ナガレの背中に幼気な少女の声が届く。そして優しい表情で振り返るナガレをじっと見つめながら、
「ほ、本当に酷いことしない?」
と尋ねてきた。
ナガレ達から言葉にするのではなく、相手の方からこう聞いてもらえれば、後は自分たちに害意がないことをしっかり伝えれば良い。
「はい、勿論ですよ」
そしてナガレはそのことに関して余計なことをべらべらと語らない。その一言と表情だけで真の気持ちを表現した。
すると少女たちは一旦固まり、ケモミミを揺らしながらゴニョゴニョと相談しあい――そして話は決まったのかそろそろとナガレお手製のテーブルと飴にまで近づき、手が届く距離まで近づいた途端、もう辛抱たまらん! と一斉に手を伸ばし、それぞれの口に飴玉を放り込んでいった。
「あ、あっま~~~~い!」
「こんなの幸せ~」
「はうん、こんな美味しいものが世の中にあるなんて……」
「最高や! これは味の大革命やで~~~~!」
それぞれが思い思いの言葉でナガレの飴を褒め称える。一部またもや関西弁ぽい口調の子がいたりもするが、とにかくナガレの飴は気に入ってもらえたようだ。
しかし、それも当然か。ナガレお手製の飴玉は天然由来の成分がふんだんに取り入れられており、合成着色料、保存料、凝固剤などの食品添加物は一切含まれていない完璧な菓子である。
しかも神薙流に伝わる秘伝の製造法もあいまって、その栄養価の高さはこの世界でも伝説とされるエリクサーと変わらない、いや下手すればそれ以上の効果を望める最高の甘味なのである。
「それにしてもナガレ様、このお菓子は普段から持ち歩いているのですか?」
「はい、実は疲れた時に隠れて舐めておりました」
ふふっ、と悪戯っぽい笑みを浮かべるその表情に思わず顔を赤くするローザである。ちなみにこの飴は元は地球から持ち込んだものであるが、この世界の材料だけでもほぼ再現出来ることは既に調査済みでもある。
「……これは確かに甘い、旨い」
「むぅ、ナガレってば、こんな美味しいものを隠し持っていたなんて~~~~!」
そして――かと思えばいつの間にかナガレの用意したテーブルに群がる女性がふたり増えていた。
尤もナガレは気がついており、そして姿を見せた一行に語りかけ微笑むナガレである。
「どうやらそちらも無事終わったようですね――信じてましたよ」
というわけでナガレの飴も最強! というお話でした(^^ゞ
そしてなんとレベル0で最強の合気道家、いざ、異世界へ参る!の総合評価が3万ポイントを超えました! やった! 凄く嬉しいです! これも偏に皆様の応援のおかげです。本当にいつもありがとうございます!
こうなったら次は目指せ4万ポイント! といいたいところですが後1万はかなり大変な予感(汗)




