憤りの裏方で
誤字脱字ばかりですみません。
訂正しました。
「寿さんて、頭がおめでたいね~。ここは『君ロック』の世界にとっても似ている世界であると同時に現実世界でもあるんだよ? 青葉高校に由緒ちゃんが居なかった時点で気付けばいいのに。大方、『私はヒロインだから! この世界は私を中心に回っているのよ!!』とか、思っていたんでしょ? ホント、呆れるくらい電波さんな考え方! そして自分の思い通りにことが運ばないのは悪役ヒロインがシナリオ通りに行動しないから。アナタはそんなくだらない理由で由緒ちゃんのだ~いじなオリンピックへの挑戦券を失う所だったんだよ? どうやって責任をとるのかな~。……………クスっ、そんな怖い顔しないでよ。そんなに一ノ宮さんと三ノ宮さんと五十嵐さんにお前のせいで、て怒鳴られたのがショックだった?馬鹿な男達よね~~自分で勝手に勘違いしただけなのに…………まぁ、類は友を呼ぶって言うもんね。アナタ達は何だかんだ言って似たもの同士だっただけの話。彼等のためにアナタは自分の人生を賭けてたんだから彼等よりはヘタレじゃないか。一緒にしちゃってゴメンね? え? 人生を賭けてるってどういう意味? プッ、アハハハハハハヒィヒハハハハハ!!! アナタどこまで頭が悪いの? あー、違うか。ヒロインだって意識が強すぎてそこまで頭が回らなかったんだ!! 自業自得とはいえ楽しすぎる喜劇ね! あっ! アナタにとっては悲劇になるね!!」
笑い転げる私に寿 エリナは顔を真っ赤にさせているけれど、これは笑わずにいられないよ!!
「寿さんが由緒ちゃんに何をやったのかな? 七原理事長が言っていたてしょう? 名誉毀損、器物破損に侮辱罪といったれっきとした、ハ・ン・ザ・イ。七原理事長はもちろんのこと由緒ちゃん自身も警察に届け出をだすわ。そうしたらアナタは立派な犯罪者。今回の件は学校中に知られているから今まで通りの学校生活はきっと出来ないね? アナタの両親だって勤め先やご近所で噂されるだろうし、タチの悪い人は嫌がらせをしてくるよね!! 頑張ってね、ヒロインさん? 『君ロック』とは違うだろうけど、きっと負けないくらいのドラマな人生をおくれるわよ? それじゃあ、さようなら」
「イッヤァアアアアアアアアアアアア!!!!」
寿 エリナの絶叫を聞きながら、私はうずくまる彼女を無視して伯父さん、佐賀くん、由緒ちゃんがいるだろう校門に向かった。
「今更自分がやったことを後悔しても遅いのに、ホント、バカな女………トドメは刺したし、もういっか」
あのバカ女には侮蔑しかない。
佐賀くんから連絡をもらった時は本当に驚いた。
『最上の弓が壊された。あいつはショックを受けて精神状態がヤバい。………この大会は、落とす』
佐賀くんから連絡をもらった直後、私はすぐさま理事長室に向かった。
「どうしたんだね、高瀬君。君が授業をほっぽってこんな所に来るだなんて………」
「伯父さん、いえ、理事長。私の部活の後輩。最上 由緒さんをご存じですか?」
「あぁ、知ってるよ。何しろ日本を代表するかもしれかい将来有望な生徒だ。今は都内の大会に出ているはずだが………彼女に何かあったのかい?」
そして私は佐賀くんからもらった連絡を伯父さんに話した。静かに聞いていた伯父さんは深いため息をついた。
「青葉高校には正式に抗議する」
伯父さんはすぐさま青葉高校に連絡をとろうとした。
トゥルルル トゥルルル…………
電話音が鳴り、伯父さんはすぐさま電話をとった………。電話の相手は早乙女先生だった。
「…………その話ならすでに高瀬君から聞いている。佐賀君から連絡をもらったそうだ。あぁ、分かっている。すぐに青葉高校には電話するよ」
早乙女先生からの電話を切り、すぐさま青葉高校へと電話をかける伯父さん。その間に私はスマホのネットに繋いで近く、アーチェリーの大会がないか調べていた……………どうやら国内には無いみたいだけどイギリスでそこそこ有名なアマチュアの大会があるみたいだ。
「……えぇ…………で…………な!?………」
よし、今日発てば新しい弓の調整も間に合うだろう。彼女の親御さんと伯父さんに許可をもらえれば…………。
「ふざけないでいただきたい!そんな、ふざけた言い分が通ると本気で…………分かりました。証拠ですね。いいですよ。必ず見つけ出しますから」
ガッチィンと乱暴に受話器を置く伯父さんはとても怒っていた。何でも、いきなり由緒の狂言ではないかと疑われたらしい。
「生徒もふざけているが、どうやら理事長もふざけているらしいな」
怒っている伯父さんにスマホで調べたイギリスの大会のことを告げるとすぐに許可は下りた。由緒ちゃんの親御さんにも事情を説明したらすぐ了承してくれた。
帰ってきた由緒ちゃんを部室から連れ去った私は彼女をイギリス行きの飛行機に乗せるため早乙女先生に車を出してもらうのだった。
彼女がイギリスに行っている間に、由緒ちゃんが被害を受けたという証拠探しが始まったが、その件は意外とすぐに終わった。
「始めまして、高瀬さん。私は篠宮 楓と申します」
中学生ぐらいの、着物姿の撫子系美人が私を訪ねてきた。
「私には兄が1人おりまして、その兄はこちらのアーチェリー部に所属しておられる最上 由緒様に懸想していますの。私。お兄様の為に由緒様のストーカーを行っているのですけど、この前の大会での詳細をカメラに納めたところ。貴女方が欲している現場を撮影してしまいましたの。今、鳴神高校は青葉高校に抗議するため証拠探しをしていると伺いました…………良ければ使ってください」
突然現れて渡された写真は、確かに私達が求めていたものだが…………。
「アナタ、お兄さんのために、由緒ちゃんのストーカーをしているの?」
「はい。本当はこの写真をお兄様に渡そうと思ったのですがお兄様には、私が由緒様のストーカーしていることを内緒にしてますの。ですが、由緒様のためにこの写真を役立てたいと思っていたところ貴女方が証拠探しをしていると小耳にはさみましたねで貴女方ならこれを役立ててくださいますでしょうとこの度、こちらに伺わせてもらいました」
そう言って写真を渡した後、彼女は去っていった。
そして今日。
由緒ちゃんと佐賀くんと共に寿 エリナを確保、青葉高校に連行して、先ほど馬鹿3人衆に責め立てられ生徒会顧問の先生に叱られ、耐えられなくなり逃げ出した彼女を捕まえて冒頭のやり取りに戻る。
「私も『君ロック』の最上 由緒が鳴神高校の、しかもアーチェリー部に入ってきたときは驚いたけど。私はゲーム内の彼女じゃない。現実で頑張っている『今』の由緒ちゃんが大好きなの。だから、くだらない私利私欲でその努力を踏みにじられて嘆く由緒ちゃんはみたくないの。彼女は鳴神高校と日本と私達アーチェリー部の期待の星なんだもの」
私は校門にいる3人のもとに、ゆっくりと歩いていった。
「でも…………由緒ちゃんには篠宮 楓ちゃんのこと言った方が良いのかな?あの子、鳴神高校の生徒会メンバーといい、楓ちゃんといい変な人ばかりな気がするのは気のせいかな?」
まさか彼等以外にも面倒な人達が彼女の近くにいることを、この時の私は知らなかった。
最も、由緒ちゃんの邪魔さえしなければ別にいいんだけどね!