第四十八話 節操がない、この天然ジゴロめ!
すっかり夏、外も中も暑い。
本当に暑い、暑い、暑いわぼけええええええええええええ!!!!!
最近の俺の流行アニメは、ノーゲーム・ノーライフです!
俺は今体育祭本部の場所にいる。
この暑さで走ったせいかさっきまで引いていた汗がぬベーっと額に滲んでくる。
「早く見つけてさっきの場所に戻ろう。うん、そうしよう!」
それで、やっと俺は体育祭本部のテントに辿りついた。
さっきほどじゃないけども、ここも影になっていてテントの外よりはマシだぁ。
テントの中では職員も少なく数人しかいない。
まあ、ここより涼しい場所で食べているんだろう。
「お、トール君じゃないか!何々どうしたの?何か探し物?」
おおっと!この人には散々な目に合わせられたからな!!!
少し位お返ししないとねぇ!
「いえ別に?空羅会長には関係ありませんが?」
「そっかぁ?じゃあ私は大人しく弁当でも食べてようかな?」
へ~、空羅会長も弁当なんだ。
青い包みで、黒い弁当箱。
なんか男っぽい弁当だなぁ。
俺の弁当箱に似てるけど、同じ種類なのかな?
「なんか男っぽい弁当箱ですね?」
「まあ、そうだろうね?持ち主は男なんだから」
そう言って空羅会長は弁当箱をパカッと空ける。
中には色とりどりな野菜やらベーコンやらが入っていた。
いや、っていうかこれって
「あの空羅会長?」
「ん?何かな?」
「さっき、これって持ち主が男だって言いましたよね?」
「うん、言ったね」
「これ、俺の弁当箱じゃないすか?」
「そうだね」
「………………」
「どうしたんだい?鳩が豆鉄砲喰らった様な顔をして?」
「返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
俺は空羅会長が持っている弁当箱に手を伸ばす。
しかしそれを予想していた様にヒョイっと避けてしまう。
巨悪の根源がここにぃぃぃぃぃぃぃぃ(怒)
「まあまあ、落ち着きたまえよ」
「これが落ち着いてられますか!?なんなんですかあなたはもぉぉぉぉぉ!!!」
「ふっふっふ、私はこの学校の生徒達の頂点、生徒会長鮫皮空羅会長だ!」
「とりあえず、その弁当は俺のです。返してください!」
すると空羅会長は悪戯な笑顔を向けて
「駄目」
「駄目じゃねえ!!!俺の弁当だって言ってんだろ!!!」
「だから交換条件だ」
「人の、話を、聞けっ(怒)」
この人に何を言っても無駄な事位、分かっている。
しかし俺は叫ばずにはいられなかった。
ってか!俺の弁当だからね!?そこ忘れちゃならん!
「交換も何も、俺のだって言ってるでしょうが!!!」
「いやいや、多分トール君も納得してくれるよ!」
「納得も何も、まずあなたが俺の弁当を食べようとしている事に、納得してないんですが」
「でね~、交換条件ってのがぁ」
「はい無視ですか。分かりました、いいでしょう」
とりあえず聞くだけ聞いてみよう。
こんな無茶苦茶な要求をしてくる人の言い分を聞くなんて、俺はなんて出来た人間なんだ。
「ミネーチと一緒にお弁当を食べる事!」
「…………………はい?」
いやまあ、最初からそのつもりでここに来たので、俺は少しポカーンとしてしまった。
この人ならもっと、意地悪で醜悪な用件を出してくると思ってたのに。
「だーかーら!ミネーチと一緒に弁当を食べてあげて」
「あ、はい。最初からそのつもりで来たんですけど」
するとパアっと顔を輝かせて
「本当!?よかったよかった。うんうん、ミネーチはいい人を選んだよ」
「何の事ですか?」
「いやいや、こっちの話。じゃあ多分、もうそろそろミネーチ来るから、宜しくね?はい、弁当」
そう言い、俺に弁当を渡すと、空羅会長はテントの影から光の外へ歩いていってしまった。
「本当にあの人はよく分からないなぁ」
一体何を考えて生きてるんだろう?
しかし俺は、女がわからないのか?
それとも空羅会長が分からないのか?
「う~ん、どっちもか?」
俺が女心について考えてると
「うわっ!」
という声がした。
顔を上げるとそこには顔を真っ赤にしてさらにアタフタする可愛らしいピンクの弁当箱を持った鮫皮先生の姿があった。
え、なに、可愛いこの人!
「な、なんで鈴木が!?ていうか空羅はどこだ!?」
「ああ、空羅会長ならさっきどっかに行きましたけど?」
「そ、そうか!じゃあ私も行くな!」
鮫皮先生がそのまま行ってしまいそうだったので、俺は咄嗟に鮫皮先生の腕を掴んだ。
しかし無理に掴んだせいか鮫皮先生は、バランスを崩しこけそうになる。
「危ない!」
それを俺は鮫皮先生を自分の胸の方へ抱き寄せる事で回避した。
何とか鮫皮先生は地面のお世話になる事はなかった。
「すいません大丈夫でしたか!?何処か怪我は!?」
「あ、ああ。大丈夫、だけど////」
俺は、胸の方に抱き寄せた鮫皮先生の顔を見ると、太陽の光よりも真っ赤になっていた。
ていうか咄嗟とはいえこの体制はやばくないか!?
は、だから怒って真っ赤になっているのか!?
「い、いい加減離せ////」
「あ!す、すいません!」
なんかちょっと気まずいな。
と、俺と鮫皮先生は目線をお互い外しながら、三分位経った時
「こ、こほん。それで、どうした?私に何か用か?」
いつもの調子を戻したらしい鮫皮先生が、俺に聞いてきた。
しかしまだ顔は赤いままだ。
まだ怒ってるんだろうか?
この状況で用件を伝えなければならないなんて、大丈夫だろうか?
「いや、実は撫達と弁当食べるんですけど、良かったら鮫皮先生もどうですか?と、誘いに来た次第で…………」
「しかし、……………それだと私は邪魔にならないか?」
少し寂しそうに俯く鮫皮先生は、自分が関係してはいけない、そう言っている様だった。
だから俺は明るく
「邪魔になるわけないじゃないですか。何より俺が来てほしいんですよ。撫が重箱持ってきて一人じゃ食べ切れないんで!鮫皮先生に来てもらうととっても助かるんです。それに何より鮫皮先生に元気になって欲しいから………」
「えっ?」
鮫皮先生が自分の頬を誘って不思議そうな顔をする。
「鮫皮先生今日の体育祭で途中から元気なかったので」
「そう、か」
鮫皮先生はクシャっと苦笑いを俺に見せてきた。
「そんな顔をしていたのか私は、恥ずかしいな、生徒に不甲斐ない所を見せてしまった……………」
「そんなこと」
「まあ、私を気にすることはない。大丈夫だ」
大丈夫だったらそんな諦めた様な顔はしないと思うけどなぁ。
「とりあえず、一緒にお弁当食べません?」
「ああ、そうさせてもらうよ」
とりあえず俺と鮫皮先生はテントからでて、撫達が待つベンチへと向かった。
その道中、
「なあ、鈴木」
「はい?」
「私は…………いい教師か?」
「……………それは勉強とかの教え方が上手いとかそういう?」
「いや、んん、全体的にだ」
いきなり何を言うんだろう、と思ったが、俺は思った事を口にする事にした。
「少なくとも俺の中ではいい先生です」
「そうか、私もいい教師でいたいと思っている。しかし、実際私は全然いい教師などではない」
「そんな…………」
「こんな私が本当に教師など勤めてていいのだろうか。最近そんな事ばかり考えるようになってな」
鮫皮先生はそこで自嘲気味にフフッと笑う。
それがとても、昔の自分に似ていた。
あの、なんでもかんでも諦めていた自分に。
「先生」
「なんだ?…………うわっ!」
俺は、鮫皮先生のその顔に我慢できず、腕を掴み走り出した。
そして水が太陽に反面してキラキラ光っているプールの横を曲がる、
「あれ、徹戻ってき………鮫皮先生?」
「徹様?どうし、きゃっ!」
「鮫皮、先生?」
俺は三人の声を耳に入らず。
ただ、あの光景の前で足を止めた。
「ハア、ハア、一体どうし……………あっ」
鮫皮先生は、いきなり走り出したことで予想以上に体力を使ったのか、息を切らしていた。
しかし顔を上げ、その光景を見た瞬間、鮫皮先生は固まった。
聞こえてるかは分からない、けど俺は鮫皮先生に言いたい事を言う。
「教師を務めるべきか、そうじゃないか?別にいいじゃないですかどっちでも。ただ今、自分がしたいことをする。人生は長くて、何が起きるか分からない。昔の俺みたいに」
「…………………」
「でも俺は、鮫皮先生が自分のクラスの担任で良かったと思っています。そして、それを思っているのはきっと、俺だけじゃないです」
「そうか……………そうだな!私は少し勘違いしてたようだ。私は教師になりたかったからここにいる。それでいいんだな」
「はい!それに、俺はそんな悲しそうな顔をしている鮫皮先生より笑顔の鮫皮先生の方が好きですから!」
「////!!!この、天然ジゴロめ(ボソッ)」
鮫皮先生は顔を真っ赤にし、思いっきり視線を俺から地面に移した。
しかもその時何か言った気がしたが、なんて言ったのかまでは分からない。
あれ、もしかして俺、なんか余計なこと言ったかな?
鮫皮先生の顔は、鮫皮先生自身の髪が邪魔になって見えない。
「徹君?」
「徹様?」
「あ」
すっかり忘れてた。
後ろには口元をヒクヒクさせてる乙女と、濁っごり笑ってる撫、そしてその乙女の後ろで訳がわからないという顔をしている三人がいた。
「どういう事か説明してもらうわよ」
「どういう事か説明してもらいます」
ガシっと乙女に首を掴まれる
痛い痛い、首はやめて下さいませんか。
「うん、いや、あのね」
それにどう説明すればいいんだ。
今、国語力がない自分を俺は恨んだ。
とりあえず、脳内会議の人間達を集めてると、後ろでスッと鮫皮先生が顔を上げた。
それに気付いた俺達は鮫皮先生を見ていた。
振り返った鮫皮先生は
「徹、ありがとう。自信がついたよ////」
この幻想的な光景にとっても合った。
美しい笑顔が見れた。
それに俺達一同がポカーンとしていると
真っ先に再起した乙女が
「ハアァァァァァ、全くこの天然が、どこまでレベル上げるのよ」
「ですね」
「???」
俺は何のことを言ってるか全く分からなかった。
何?テレパシー?女だけに繋がるテレパシーなの?
「もう、しょうがないわね」
そう言うと乙女は俺の首を掴んでいた手を離した。
おおー怖い、首をへし折られるかと思った…………。
「とりあえず早く弁当食べましょ」
「はい、私ももっと徹様お弁当を食べて欲しいですから!」
「(コク、コク)」
その後、俺達は弁当を皆で食べた。
しかし、その後鮫皮先生が乙女と撫に
「私も、お前達には負けないからな」
と言っていたが、何かあるんだろうか?
その後、俺は再び乙女と撫に、理不尽にも尋問される事になるのだが、それはまた別の話。
ちょっと、最後投げやりです。
もっと多く載せたかったですが、面倒くさいの理由からこうなりました。
最後何を書いたのか、正直覚えてないです。
今回は出来るだけシリアスめでいってみました!
楽しい体育祭にスンマセン。




