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9.11 偽造の惨事

作者: 大久保雄一
掲載日:2007/01/31

2001年9月11日、ニューヨークから200キロ離れたボルチモアのある街

に住むボブは、ベッドから起きてテレビを点けた。すると画面に、世界貿易セン

タービルに飛行機が衝突した映像が映し出されていた。ボブが、「えっ」と驚い

てテレビ画面に食い入るように見ていると、もう一方の世界貿易センタービルに

飛行機が衝突して行った。それを見て、建築設計士のボブはある懸念を覚えた。

ボブはすぐに、彼の勤める建築設計事務所「A・NEHA」に電話をかけた。

「もしもし」

「あっ、ボブさん。何ですか、朝っぱらから」

電話に出たのは、事務所の後輩、マイクだった。

「マイク、昨日は徹夜だったのか」

「ええ、今日、フィラデルフィアのクライアントのプレゼンがあるので、その資

料を作るのに朝の4時まで、仕事してました。だから、もう少し寝ていたのに、

何ですか、ボブさん」

「テレビつけてみな」

「テレビ?」

「ボスの部屋にあるだろう」

ボブがそういうと、受話器の置く音がして、しばらく無音が続いた。

「ああ、ニューヨークでテロがあったみたいですね、でもそれが何か」

と、マイクは半分興奮したような声で言った。

「事務所のパソコンに、世界貿易センタービルの設計図面があるだろう、それを

至急、こっちに送ってくれないか」

「世界貿易センタービルの設計図面、そんなものありましたっけ」

「いや、正しくは、世界貿易センタービルと同じ建築法の設計図面だ、俺のドキ

ュメントフォルダーにある。ファイル名はNWCR2225」

「わかりました」

そうしてボブは、電話を切った。

だが、5分も経たないうちに、マイクから

「だめです、インターネットが接続できません」

という電話があった。

それで、ボブはいつもなら時差出勤で、もう1時間遅く出勤するのだが、すぐに

自宅から徒歩で20分ほどの事務所に走って行った。

その間も、ボブの心の中の懸念は深まるばかりだった。

ボブが事務所に着くと、事務所にはマイク一人しかいなかった。

ボブがマイクに尋ねると

「今日は、ボスはニューヨークで、キャサリンとトムはロスに出張ですから」

という答えが返ってきた。それで、ボブは事務所に電話をかけた時、そう早い時

間でもないのにマイクが不機嫌だったのか理解できた。

ボブは、自分のパソコンに向かい、NWCR2225のファイルを開きその中の

数字を拾い、あるプログラムにその数値を打ち込んだ。

マイクがその画面をそばから覗き込み

「何しているんですか」

と尋ねた。だが、ボブは黙ったまま、キーを打ち続けていた。

そして、いきなりボブは立ち上がり

「なんてことだ」

と天井を見上げた。そばにいたマイクは驚いて

「どうしたんですか、ボブさん、今日は朝から変ですよ」

とボブになだめるように言った。

「いや、俺は、世界貿易センタービルの今の強度を計算しただけだ。そうしたら、

強度はマイナスの数値が出た。それも、かなり小さな数字だ。その数値結果が正

しいとすると、世界貿易センタービルはまもなく崩壊する」

それを聞いてマイクは、さらに驚いた表情になった。

「崩壊するって、中にいた人たちはまだ避難の最中だし、それにニューヨークの

消防士が中に入って救出活動をしているって、ニュースで言ってましたよ」

「じゃあ、このことをニューヨークの消防署か役所に早く知らせねば」

ボブはそう言って、受話器を持った。すると、マイクは首を横に振り

「連絡はできません。僕もニューヨークにいるボスのことが気になって、さっき

から何度も電話しているんですけど、電話も携帯もつながらないんです」

と、弱弱しい声で答えた。ボブはしばらく呆然としていたが、居たたまれない気

持ちになって、マイクの自家用車を借りてニューヨークに向かった。

そして、それから数時間後、大渋滞の道路上、ボブは車のカーラジオからのニュ

ースで、世界貿易センタービルの崩壊を知ることとなったのである。


世界貿易センタービルが崩壊した数分後、ロスアンゼルスのとある調査機関のオ

フィス。その幹部の一室で、初老の幹部と女性職員がこんな会話をしていた。


幹部「うちでは、世界貿易センタービルの崩壊は予想できなかったのか」

職員「いえ、テロリストの飛行機が衝突して数分後、うちのデータベースから世

界貿易センタービルに関するあらゆるデータを取り出し、解析して、30分後に

は世界貿易センタービルの48時間以内の崩壊は予測できていました」

幹部「では、どうして報告しなかった」

職員「ことが重要なので、直接ワシントンに報告しました。しかし、5分後、ど

こにも公表するなという指示がワシントンからあったので、ボスにも報告しませ

んでした。もっとも、今のところ、そういう決定がどの段階で行われたかはわか

りませんが」

幹部「政治的には、惨事は大きい方がいいと言うことか、千人、二千人の人命な

どどうでもいいと…」

職員「何ですか」

幹部「いやいや、無意味な独り言だ」

                                              完


あくまでも、フィクションです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして。拝読させて頂きました。このタッチの作風は好きです。が、あまりに独りよがりで内容も練れてないので嘘っぽさが出て、リアル感がありません。文章作法をふまえて、きっちり書かれれば、珍しい…
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