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Ring (1)

 好きだった。だから、認めたくなかったんだ。


 本当に好きだった。だから、信じたくなかったんだ。


 今でも嘘だと思ってるし、信じれない。


 それなのに、ね。


 ――認めなきゃ、いけないんでしょう?





 一人の女性が、桜が咲き誇る駅舎の前にて立ち止まっていた。


 年齢は二十歳程か。黒の長髪を風になびかせている。灰色がかった瞳は釣り目に近く、顔立ちは綺麗な部類に入る。服装は茶色いカーディガンの下に薄紫のワンピース。部屋にいたらしく、足はスリッパを履いていた。


 彼女はカーディガンの裾を軽く引っ張り、きょろきょろとあたりを見回していた。顔は何処か不安げで、さみしそうにもとれる。


 すると、そんな彼女へと一人の少女が歩み寄って行った。


 黒髪は肩口までの長さ、深い深い緑色の瞳は少し釣り上っている。年は一三ぐらいか。それなのに成人男性用の駅長服を着ているので、袖口は彼女の小さな白い手を隠してしまっていた。


 帽子を軽く手で直しながら、少女は彼女へと歩み寄っていく。


 顔には不敵な笑みを湛え、少々怯えた瞳を向ける女性の元へ。


「――やぁ」少女は軽く手を上げながら「急に呼び出してしまって悪いね」


「……誰よ?」


 女性が警戒心を緩めずに問いかけると、少女は「……まぁ、そこからだね」とため息を漏らしながら呟き


「ボクの名前は桃天 夜美」袖口から細い指をのぞかせて駅舎を指しながら「此処の管理人をしている奴だよ」


「……管理人って何の?」


「まぁ、完結に言ってしまえば生者と死者を繋ぐ駅の管理人だねぇ? さて、そんな場所にキミを呼び寄せたのには理由がある」


 夜美は何処からか取り出した紙をパラパラとめくり始め


「キミにどうしても逢いたい、という死者が居るんだよ」


「……へ?」


「一度でいいから逢いたい、とずっと願っていたらしくてね。キミともう一度話したい……と切に願い続けている」


 そうそう、名前は――と言いながら少女は妖艶に笑い


「――玖珂クガ イズミ


 その名前を聴いた瞬間、彼女の動きがぴたりと止まる。カーディガンを引き寄せていた手は力を失い、だらんとした。


 目は大きく見開かれ、口は少し震えていた。何かを言おうとしているが、口がカラカラに乾いてしまったらしく何も発せられない。


 そして、少しだけ顔を伏せると――女性はガッ!! と夜美の両肩に自分の両手をやった。長く整えられた爪は少女の小さな肩に食い込むが、少女は気にしていない素振りで


「どうしたんだい?」


 平然とした口調で問いかけた。


 それを聞いた女性は、まるでせきが切れた様にカラカラの口を無理やり動かして言葉を紡ぐ。


 それは、聞いていられない程の悲痛な声だった。


「泉……貴方、さっき泉が死者だって言ったわよね……?」


 女性がそう問いかけると、夜美は平然とした調子で軽蔑じみた視線を向けながら返す。


「あぁ」


「そんな、訳……ないじゃ。ない。泉は死んでないもの。えぇそうよ、泉が死ぬわけないっ!!」


 口が乾ききっているにも関わらず、女性は無理やり口を動かす。悲痛で現実を認めまいとした想いを含んだ叫び声を上げる。


「アイツが死ぬわけない、アイツが死ぬわけない、アイツが死ぬわけない、アイツがっ……!!」


「キミが認めようとしないとしてもね」夜美は肩に食い込んでいる手の指を一本一本丁寧に外しながら「玖珂泉が死去したのは揺るぎない事実だ」


 それを聞いた瞬間。耳に入れた瞬間。女性の顔は更に歪んだ。綺麗な顔立ちは崩され、目も虚ろな光を灯してしまっている。


 女性はぎゅっと夜美の肩を掴みながら「……泉が……死んだ訳……な、い……」とずっと小さく、まるで呪文のように唱え続けている。


 そんな光景が暫く続いた。


 夜美は何かの我慢が切れたのか、少女にしては低い声色にて「……木夏」誰かの名前を呼ぶ。


 刹那。


 一人のメイド姿の女性が現れ、夜美の肩を掴んでいる女性の首筋に手刀を打ち込んだ。


 青髪をポニーテールに結っており、黒い瞳は若干垂れ目の素板いる抜群の女性だ。メイド服を着ており、何故か片手には箒をもっていた。


 その女性が現れたのを見ると夜美は「御苦労様、木夏」と言って気を失った女性を受け止める。


 木夏と呼ばれたメイド服姿の女性は「いえいえー♪」と間延びした言葉を返しながら気を失った女性を背負う。少しだけ視線を送ると


「この方は一体何者なんですかー?」


「……キミは何者か分からないままに攻撃を繰り出したのかい?」


「まぁ、そうなりますねー。私にとって……」木夏はにこっと和やかに笑みながら「夜美様の命令は絶対なので、理由など要りませんからー♪」


 その返答を聞くと、夜美は暫しきょとんとしてからくつくつと笑い始め「……ははっ。らしい。本当にキミらしいよ」


「はいー♪ で、どうするんですかー?」


「決まってるだろう」


 夜美は駅舎へとつま先を向けると、ゆっくりと足を歩ませ始めた。木夏が着いてきているのを確かめると妖艶に笑い、小さな唇を動かして呟く。


「その分からず屋に現実リアルを見せてやるのさ」


……前回のあとがきに番外編書くとか言ったんですけど……ごめんなさい無理でした……!!


その、いざ書いてみたらネタばれすごいなー、ってなりまして……普通に本編書きました……!!


今回は死んでしまったのを認めたくないっていう人がメインですねー


話がグダついててすいません……久しぶりの投稿ですいません……!!


次回は早めに投稿できるよう頑張ります……!!


では、また♪

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