表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊王転変  作者: 笹野
33/45

第三十一章 キリーク宮殿3

とても・・・グロいです。

「死ねーー!」


ソフィアがナーノを床に横たわらせその身を起こした瞬間、斜め後ろから剣が振り下ろされた。

それは的確にソフィアの首を捉え一瞬にして首と胴を切断した。

剣を振り下ろしたフェルーンは得意満面、この不埒者に轍を下した我腕前を褒め称えた。

だが。

ソフィアの上半身がゆっくりと起き上がった。

落ちたはずの首がついている。床には血が飛び散っているというのに・・・

フェルーンの顔は・・・常に顔に張り付いている柔和な微笑みは、その時はじめて恐怖に歪んだ。

「うあああぁぁぁぁ化け物!」

持っていた剣をソフィアの心臓めがけ突き刺した。

カツーーーン

甲高い金属音があたりに響きフェルーンの手から剣が飛んだ。

床をすべり玉座の前の段に当たるとそれはくるりと方向を変えまたフェルーンの足元にころがり・・・彼の足元にあったソフィアの手に吸い込まれるように収まった。

ソフィアがくくく・・・と笑う。


何故死なない?!こいつは精霊?いやこんな事はありえない!!ソフィアなのに・・・!こいつはソフィアなのに・・・!!


得物を持たぬフェルーンが「近衛兵!」と言い放ちながらあたりを見回し、ようやくそこに誰も居ないことに気がついた。

そう。そこに人は居なかった。

ソフィアとナーノとフェルーン以外は石像となり果てて空ろな表情で立っていた。

謁見の間は不気味な静寂が支配し、フェルーンの荒い息だけがやけに耳障りに響く。

フェルーンはいくつか石像を倒しながら窓際に逃げた。こうなれば窓を蹴破ってやる!

ソフィアはフェルーンの怯える様を凝視しながらゆっくりと追いつめて行く。

陽の光がその顔にあたり、フェルーンはそれがソフィアであってソフィアではない事に気がついた。

「おまえ・・・誰だ?」

「アルフィード。」

「だ・・・だれなんだ?」

「我弟をよくも弄ってくれたな。」

「え?おとうと?なにを」

アルフィードは剣を頭上に掲げフェルーンに向かい一気に下へと切り下ろした。

華麗に金糸と銀糸で飾られた礼装の前がバックリと割れ、胸に赤い線が走り腰のバンドがすぱりと切れてだらしなく下腹がさらけだされた。

フェルーンは思わず顔を押さえた。その両手の指から血があふれて落ち、そのまま後ろに後ずさり窓に当たった。

すると窓は簡単に割れてフェルーンは数段下の中庭への道に転げ落ちた。


アルフィードが窓枠にもたれてその行方を見てみれば、フェルーンは道なりに入り口の方へと走って行く。

と、突然雷にでも撃たれたかのように身を縮め、今度は宮殿の奥へと走り出した。しかし途中でまた踊るように飛び上がると転げるようにアルフィードが立つ窓の下に来て何かわめいた。

剣で切られた傷の痛みだけではない。

そこから全身を猛烈な痛みが苛む。

助けを請う目をしながらアルフィードを見つめるがすでに鉄槌は下された。

フェルーンは罪を全身に纏いながらその場にうずくまり、いつ果てるともない罰に身を震わせている。

アルフィードが静かに目を伏せ窓際から離れると、中庭の木がさわさわと音をたて始めいきなりズドンという大音響と共に銀色の巨大な斧がフェルーンの身体の上に振り落とされた。


庭に突き刺さったままの巨大なユリカゴの破片がついに倒れたのだ。



投稿しようとした文があまりにも陰惨な内容でしたので修正してみました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ