好きな色
「貴方は何色が好きなの?」
貴方はそう言って私に問いかける。
「私は、あおが好きです。」
「なぜ、あおなの。」
「あおはいつだって、どんな気分にもならせてくれますし、私の気持ちに寄り添ってくれるから好きです。」
「私は明るい気持ちになりたい時、朝になるのを待ちます。朝になれば、きらきら輝くあお色が、目に入りますから。その色を見たらこれからいい1日がスタートするんだって気分になれます。」
「悲しい時は?」
「悲しい時は、夜が来るのを待ちます。夜は、私の悩みも全て飲み込んでくれそうなほど、底知れない青がそっと私に寄り添ってくれます。その色を見たら落ち着きます。どんな気分になりたい時に見上げても、あお色は、その要望を叶えてくれます。」
「そうなの。」
「はい。あおは、いつでも肯定してくれているような気がして好きです。」
「それは、良い事ね。」
「はい。」
「じゃあ、貴方は、私の色も好きなの?」
貴方の声は少し震えていた。
「ええ、もちろん大好きです。」
私がそう言い切ると、貴方は、きらきら輝く青い目を大きく見開いたあと、そっぽを向く。それから、私を置いて、歩き出した。後ろから見た貴方の耳は、赤く染まっていた。
そんな貴方に逃げられないように早足で追いかける。
「置いていかないでくださいよ。」
そんな貴方を追いかけながら、心の中で、貴方に告げる。
いつか、時が来たら、まっすぐ想いを伝えます。
その時は、どうか諦めて、私のことを受け入れて。
その時が来るまでは、みんなの青でいていいから。そんなあなたも大好きだから。でもその時が来たら、私だけの美しい青になって。
どうか、お願いだよ、愛しい人。




