効かないブレーキ
こんな悪夢を見た。
私は自転車に乗っていた。安全のためにヘルメットを着用している。いつもの通勤である。
仕事帰り。まだ昼間。帰ったら何をしようか。洗濯物は乾いているだろう。
私はそう思いながら自転車をこいでいた。いつもの平穏な日常の中で。
夕食は何にしようか。冷蔵庫にある惣菜で何かを作れる。酎ハイを買いに行くのも有りかもしれない。タバコも切れる前に買って置かなければ。色々と楽しみがある。
お金を貯める。金持ちになりたいから。その中でも、好きな事を楽しみたい。楽しみながら貯金していく。それが私の日常である。その時までは。
目の前に急な下り坂が現れた。通勤路なのに今まで見たことが無い。私が知らないだけだろうか。
近道ができそうだ。しかし、安全のためにブレーキをかけよう。ブレーキをかけつつ少しずつ下っていこう。そう思っていた。
しかし、下りだしてから異変が現れる。ブレーキが効きづらい程度だった。おかしい。そう思っていた。さっきまでは普通に効いていたのに。
ブチっと嫌な音がした。自転車のブレーキ線が切れたのだ。いきなり。目の前で。
下り坂ゆえにスピードが出ている。しかしブレーキは効かない。勢いは止まらない。
下りる前に降りていれば良かった。しかし、後悔を感じるまでには時間がかかってしまっていた。
自転車から飛び降りなければ。じゃないと衝突してしまう。ケガをしたくない。
なのに、身体は動かない。パニックで硬直している。このままじゃ危ない。事故を起こしてしまう。それは嫌だ。何とかして避けなければ。
下り坂の下には、黒塗りの高級車がいた。衝突して事故れば弁償することになる。一体いくら支払えばいいのだろう。借金地獄が目に見えてしまった。
そこで私は目が覚めた。あの悪夢は一体何だったのだろうーー。




