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New World=New Earth  作者: 日々レイオ
第1章 宇宙捜査隊入隊編
3/3

space.3 訓練兵

話がひと段落した後隼人(はやと)たちは大将室でお茶菓子を食べながら白夜(びゃくや)の話に付き合っていた。

「この前この部屋でさー、餅つきしようとしたら(かがり)に怒られてさー、どう思う?」

「……………怒られて当然かと」

「えー」

「大将ともあろうお方がこの部屋で餅つきなどおやめください」

「いいじゃん! いいじゃん! 俺がこの部屋の主なんだから自由に使ってもいいじゃん!」

白夜が駄々を捏ねていると突然篝が白夜の頭を鷲掴みした。白夜の肩がギクリと動く。

「ダメと言っているでしょ?」

「……………はい……」

(…………目が笑ってねぇ……)

静かに怒られしゅんとしている白夜を横に篝が喋り始めた。

「そういえばまだ自己紹介していませんでしたね。ご存知かと思いますがこちら宇宙捜査隊(うちゅうそうさたい)迎撃隊(げいげきたい)大将(たいしょう)白夜環(びゃくやたまき)様です」

「次は鮪の解体するか!」

「やめてください。そして僕は宇宙捜査隊迎撃隊中将(ちゅうしょう)篝恭輔(かがりきょうすけ)。環様の護衛兼執事もしております」

「迎撃隊ツートップだったのかよ……」

「はい、そうでございます」

「じゃあてめぇらも挨拶しろ」

坂畑隼人(さかはたはやと)……」

明山光汰(みょうやまこうた)です!」

「リア・ウィークです」

「「「よろしくお願いします」」」







「よかったな! 無事訓練兵になれたぞ!」

「そうだな」

「あ! サインもらうの忘れた!」

「そんなもんこれからいつでも貰えるだろ」

「! そうだな!」

「はいはい、楽しいお喋りをしているところ悪いがてめぇらは明日から訓練兵としてこの基地に来い。明日訓練兵の入隊式がある。リア、てめぇは試験まで勉強だ」

「はい」

「明日遅れんなよ」

「はい」

「はい!」

「光汰てめぇ声でけぇからなんとかしろ」

「はい!」

「だからでけぇよ!」








夜も近くなり家に帰ると明かりがついていた。

(…………明かり……)

玄関の戸を開けると慌てて走ってきた父の姿があった。

「………父さん……」

「隼人………遅くなってすまない……母さんのことも聞いている……大変だったな……辛かったな……」

「………………うん……」

隼人を抱きしめ泣く父親に対し隼人は泣いていなかった。いや、泣けなかった。まだ母親の敵がいるかもしれないというのに悠長に泣いている暇はなかったのだ。敵を殺す。それまでは絶対。

「…………父さん……俺、宇宙捜査隊に入った」

「! 危険だ!」

「そこで母さんの敵を討つ」

父親は自身の息子の目に恐怖を覚えた。息子の目は敵を殺すそれしか目に写っていなかったのだ。その圧に圧倒され思わず承諾してしまった。

「……わかった………絶対死ぬなよ……」

「もちろん」









次の日、支給された隊服に腕を通し、龍心(りゅうしん)からもらった地図を頼りに基地へと向かうと訓練兵入隊式という看板があり、式会場への案内が示されていた。

「なんだか緊張してきたな!」

「あぁ、さっさと入隊済ませて兵階級まで上るぞ」

「あぁ!」

扉を開けるとそこには50人は超えている迎撃隊訓練兵たちがいた。

「すごい数だな!」

「そうだな……」

(この中から最低でも二等兵に………)

「ちょっとそこのあんたたち」

声をかけられ振り向くと同い年ぐらいの少女が腕を組みながら仁王立ちしていた。

「……なに……」

「名前は?」

「俺は明山光汰でこっちは坂畑隼人だ!」

「あんたたちが………」

「どうしたんだ?」

わなわなと震える少女を心配して光汰が肩に触れようとすると思いっきり手で払われた。

「あんたたちが特別入隊したってやつね!」

「特別入隊はしてないぞ! しっかり俺達も訓練兵から……」

「訓練兵になるのにも試験がいるのよ! あんたたち試験受けてないんでしょ! ここにいるあんたたち以外は試験を受けて入隊してるのよ! このあたしも! ずるいと思わないの?!」

「それは……」

周りの視線が痛く少しずつ後ろへ下がっていく光汰に対し、隼人は前へ進み少女を見下ろした。

「べつにずるいと思わないな」

「はぁ?! 」

「俺らはその過程を飛ばせるほど優秀だったってことだろ? 何がずるいんだよ」

「いくら優秀でもルールは守るべきよ!」

「じゃあお前もルールは守れよ。入隊式っていう場で突然大声で怒り始めて、お前はわがままお嬢様か」

「なっ?!」

顔を真っ赤にした少女が言いたげに隼人を睨みつける。

「まだ何かあるならこの式が終わってからにしろ」

「……っ……もういいわよ!」

顔を真っ赤にした少女は会場の壁際へと去っていった。しかし周りの訓練兵の視線が集まっていた。

(……少し言いすぎた……)

「あはは! 君たち最高だね」

突然笑い声がした。その声の主が隼人たちのもとへと近づいてきた。

「さっきの見てたよ。君たちの言う通りこの正式な場で大声は出すものじゃないよね」

(………男………いや女………どっちだ……)

「あぁ、ごめんね。突然声かけて。僕はトラル・ニア。君たちと同じ訓練兵だ。よかったら仲良くしてよ」

「べつにいいけど……」

「もちろんだ!」

「ありがとう。それにしても凄いね、あの西園寺(さいおんじ)家のご令嬢を言い負かすなんて」

「「西園寺家?」」

突然出てきた家系の名に首を傾げる。

「あれ? 知らない? 西園寺家はこの宇宙捜査隊の最高指揮官を代々継いでいる家系だよ。現最高指揮官の娘がさっきの彼女、西園寺カルラだよ」

「なんだと!」

「……まじかよ……」

「西園寺最高指揮官を敵にまわすと二等兵にすら昇格できないかもな」

突然隼人の肩を組み残念そうに忠告してきたのは環だった。

「白夜?!」

「やっほー、隼人ちゃん&洸太ちゃん。まさか西園寺家に挑発まがいのことするなんて……やっぱり最高だ!」

「同感です」

環に賛同したニアは微笑んでいた。

「そうだよね! いやー、楽しそうだなー、俺も訓練兵に戻りたいなー」

「環てめぇ何言ってんだ、おめぇは大将の仕事があるだろ!」

鬼の形相で環の首根っこを掴んだのは龍心だった。どうやら仕事を放り投げた環を探しに来たようだ。

「うげっ……もう追いつかれた……」

「てめぇの行く場所はだいたい予想できんだよ。さっさと戻るぞ」

「えー…………嫌だ! 嫌だ! ………(りゅう)ちゃん………一緒にサボろ?」

龍ちゃんという言葉に龍心が顔を真っ赤にした。

「っ! てめぇ! その呼び方やめろ!」

「あはは! 隙あり!」

龍心の手が緩んだ瞬間に環は逃げ、隼人の後ろに隠れる。

「環! てめぇ! 悪あがきも程々にしろ!」

「龍ちゃん! 俺が諦めが悪いことを知っているだろ!」

「知ってるに決まってんだろ! その呼び方やめろって言ってんだろ!」

「やだねー! 俺はこのまま逃げっ………すみま……うげっ!」

誰かにぶつかり、謝った後その人物を見上げる。そのぶつかった人物は篝だった。篝はにこにこしているが目が笑っていない。

(……白夜………詰んだな……)

「環様、戻りましょうか」

「………………はい………」

環は篝に引きずられながら連行されていった。若干涙目だったのはあえて無視した。

「んじゃ俺も行くわ、てめぇら困ったことあればすぐ言えよ」

「……あざっす」

「はい! ありがとうございます!」

去っていく龍心に頭を下げる。その様子をずっと見ていたニアは手を口で隠し、目を見開き、驚いていた。

「……驚いた……君たち………あの有名人と知り合いなのかい?」

「その……知り合いというか…………」

言葉に詰まる隼人の横から爆音で洸太が応えた。

「恩人だな!」

「恩人………あはは! 君たちほんとうに面白いね!」

席に着いた3人を不思議そうに見る視線、睨みつける視線が混じりあっていた。そして遂に入隊式が始まった。

「訓練兵の諸君、入隊おめでとう。君たち200期生は今日から宇宙捜査隊の一員だ。活躍を期待している。では、早速チーム分けのために君たちの戦闘力を見せてもらう」

思わぬことに訓練兵がざわつき始めた。

「これから活動するにあたり1チーム4人で行動してもらう。1人で行動したいなら下士官(かしかん)に上がる必要がある。覚えておくように。それと君たちのチーム分けは数字で行う。数字が若いほど優秀ということになる。では訓練室へと移動してもらう」

試験監督らしき男に連れられ訓練室へと向かうとそこには宇宙捜査騎士人工機(サーチナイト)が2体置かれていた。初めて見たものはあまりの大きさにでけぇと声をあげていた。

「今から宇宙捜査騎士人工機(サーチナイト)に乗り試合をしてもらう。これは旧型なので壊してもらっても問題はない。ルールは相手の宇宙捜査騎士人工機(サーチナイト)を戦闘不能にするか相手に緊急脱出させるかだ。それを私を含め3人の試験監督が採点をする。試験者以外は観客席で待機するように。では伊藤もも、リリサ・スミスから試験を開始する」








最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。

何やら親しげな龍心と環。実は幼なじみです。

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