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第7話 反撃

いつも読んでいただきありがとうございます!

 俺―――紅丘 師は、光学迷彩の垂れ幕をくぐって、呆然とした。相手の中年男性(フル装備)を含め、すべての兵士が呆然と立ち尽くしていた。あれは……どういう感情何だろう?


「女?」


流ちょうな日本語が中年男性の口から発せられてた。


「あなた、どこの国の人かしら?」


神女が問うと、中年男性は部下たちに武器を下させ、答えた。


「私は、アフリカ連合の者だ。特殊部隊として、こちらに来ている」

「要件は?」


神女は眼光を緩めない。その鋭さはいつにも増して、際立っている。


「君たちの暗殺だ」

「あっさり答えるのね……?」

「もはや意味などないからな」


神女は戸惑っている。正確には戸惑っているように見えるだが、いつもと違って様子がおかしいのは事実だ。「こういう場合ってどうするんだ?」と率直に聞いてみたが応答がない。


どうしたものか、と俺が唖然として突っ立っていると、やっと神女は口を開いた。


「観念したんだったら、引いてくれないかしら?」

「それはできん。せめて血液サンプルでも持って帰らなければ、本国に殺される」

「そう言われて出す血なんてないわよ!」


これは……神女さん本気で怒ってる……。確かに人通りは少ないとはいえ家の前にこれだけの時間拘束されれば起こるかもだけど、今それどころじゃないような……?それともあれか?もどかしくていろいろめんどくさくなったのだろうか?


「ああ!もう!殺すなら殺すで、さっさと襲って来なさいよ!」


あ、合ってたんだ。そう俺が口に出そうになった時、隊長(と、思われるおっさん)の目の色が変わった。


「ではそうさせていただこう」


突如として、‘‘地面から‘‘人っぽいものが湧き出て来た


「何だこいつら⁉」


先ほどよりも濃い包囲網を敷かれてしまった。


「クローン兵……!あなたたち!なんて外道な……!」


神女が怒りをあらわにする。臨戦態勢に入った。

クローン兵。確か昔の戦争で使用された、人間のDNAをもとに、その人間を量産し、意思や尊厳を奪って完全な兵器にしてしまうという、‘‘悪魔の技術‘‘と呼ばれる禁忌の一つに数えられている。

しかし、これらの‘‘悪魔の技術‘‘と呼ばれた技術は既に破棄され、国際法で使用を固く禁じられているはずだ。


「おっと、そのような物騒なものではないよこれは。これはね、バイオソルジャーだよ。ナノマシンで構成された人間そっくりのね」


隊長は冷たく言い放つ。


「ではお望み通り、襲い掛からせていただくよ……!」


隊長は手を小さく振り下ろす。「かかれ」という小さな号令を認識した、彼の部下と、バイオソルジャーが襲い掛かって来る。熟練された舞台らしく、とにかく動きが早い。


でも!訓練の成果、ここで見せる!


俺はバイオソルジャーの一人と対峙した。ナイフの剣先ではなく、相手の重心を見るようにして……。神女に教わったことをフル活用しながら、彼が持っているナイフをよける。無表情で迫って来るので怖いことこの上ないが、何とか対処できている。


『もし相手が隙を作ったら、懐に飛び込んで、みぞおちに一発。平手で押すようにして、叩くこむのよ。指は少し曲げてもいいわ。全体重を一気の乗せるの。躊躇しちゃダメ。あなたの動体視力なら出来るはずよ』


ここだ!


俺は一気に間合いを攻め相手の懐に飛び込む。このとき相手の重心は後ろに傾く。それを利用して、叩き込む!


「ぅおりゃ!!」


ダン!という衝撃音共に、バイオソルジャーが吹っ飛んだ。


「よっしゃ!」


俺は前よりは強くなれたらしい。


「浮かれすぎ!」


直後後ろから神女の声。ふと振り返ると、神女のナイフが刺さっているバイオソルジャーがこちらに倒れこんで来た。


「うわ!ごめん神女!」

「謝る前に動きなさいバカ!」


次々とバイオソルジャーが襲い掛かって来る。

物量に押される……!


―――五指認証完了。ショックモードで起動します……


「この音って……!」


俺はとっさに右手を見る。どうやら、家周辺の床にも反応するようで、俺の手にはMTG302が……。


―――NXmark3 トミッション起動しました。オート照準開始


なんか違う。形が普通の銃になったし、手首まであったプロテクターっぽい奴がない。何より発光しているラインがストレートではなく、斜め線三本になっていて……なんかこれこれでかっこいい!

目の前にはおなじみの神経直通ディスプレイがある。それもなんか見た目が違う。もっと見やすくなっている。オート照準が敵を追い続けている。


「おおぉ……」


俺は感嘆していると、後ろから、3体同時にバイオソルジャーが襲い掛かって来る。


次の瞬間我ながら目を疑った。考えるより先に体が動いた。

やばいっと思った時にはすでに彼らを消し飛ばしていた。ショックモードとは衝撃波を飛ばすモードだったらしい。ナノマシンの状態にまで粉々になった。ゆくゆくは俺、こんなの人に向けるのか?自分が怖くなった。


「馬鹿!うし……」


神女が後ろ!と叫ぶ前に俺は何となくこう返した。


「うん。見えてる」


いちいち後ろを取って来るバイオソルジャーにそろそろ腹が立つ中、俺はあいつらに衝撃波をお見舞いしてやった。無様に吹き飛んでいく。それから、バイオソルジャーたちは神女から離れ、一斉に俺の方へ来た。どうやら、神女よりこっちをつぶすの優先だと思ったらしい。その数12体。しかしなぜだろう?


すごくゆっくりだな。


一体ずつ丁寧に衝撃波をくらわせる。数秒で奴らを吹き飛ばした。しかし、先ほどから吹き飛ばしてもまた地面から湧き出て来る。ナノマシンだから仕方ないのかもしれないが気持ち悪い!!


「もっと一掃できるような奴って……これか?」


バーストモードと書かれたモードを選択した。説明には、効果は対象の消滅、とある。


―――バーストモードに切り替えます。オート照準継続。警告。エネルギーパックの残量が少ないです。


エネルギーパック?どうやら、通常の銃のマガジンが刺さっている部分にエネルギーパックが刺さっているらしい。確かにグリップ側面にある。謎のゲージがどんどん減っている。ショックモードの使い過ぎだろう。


―――バーストモード残り残数、6発


警告音声が俺にだけ聞こえる。


6発か。とにかく相手を引き付けよう。


というか神女も動くの遅すぎ……あれ?これ、俺以外の皆が遅く見える⁉




・・・




 そのころ、神女視点だと、


「何よその速さ……⁉」


私は驚いた。12体ほどバイオソルジャーじゃ彼に群がっていく。どうやら、私よりも危険度が高いと考えたのだろう。その刹那、私の中にあった、NXシリーズが配備される予定とは聞いていたけど、なぜこのタイミングで?という疑問は彼によって打ち砕かれた。


あれは多分。人の限界を超えてる。


12体のバイオソルジャーを一体ずつ、彼は吹き飛ばした。神速とはこういうことを言うんだろう。


彼はその後も目にもとまらぬ速さで動き続ける。


いや、違う……突き動かされているように……み、える……?


彼が唱える


「バースト、スリーヘッド」


静かなる轟音が住宅街に響き渡る


紅丘 師……彼は一体……なにもの?


銀髪がんなびいて口に入っても気づかないほど、私は唖然としたのだった。



続く


次回

第8話 NX【覚醒】


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