第6話 迎撃
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俺、紅丘 師は今、走っていた。
「そんなんじゃ、もう6回は死んでるよ!」
「初心者にスパルタすぎだろ!!」
今日は神女と訓練の日だ。神女曰く、
「弾丸が避けられるって言うのは絶対条件だあから、とりあえず今日は、私の特殊弾に換装した弾から逃げる訓練しようか」
とのことだった。
特殊弾とは、インク爆弾を弾にしたもので、当たると派手な赤色がはじける物だ。こいつのせいで俺の服は真っ赤である。
「目がいいんだからこれくらい避けてよ!」
「無理だってぇぇぇぇ!」
四方八方から放たれる弾丸をすべて避けるなんて無理だ。この訓練場(家の地下にあった)には特にしゃへい物もないので、隠れることができない。よって繰り返しになるが、
「無理ぃぃぃぃ!!」
バシャ!
7発目被弾。
顔が半分くらい赤くなった。
「はい終わり」
「終わり?」
「顔撃たれたら流石に生きてられないでしょ?」
「どこでもいっしょだろ……」
「それに君、カラフル過ぎ」
何か、とてつもなく嫌な気分になったのだった。
・・・
神女の訓練は一カ月続いた。その間、俺は誰かに襲撃されることはなかった。
「そういえばここ一カ月、誰からも襲撃されてないけど、これってどういうことなんだ?」
「さぁ?正直さっぱりよ。私の部下にも調べさせているけど、特に各国の動きに異変はないし……」
「そうか……」
「それより、来るわね……」
神女の口から飛び出した言葉に俺は唖然とする。
「来る?」
「ええ。静かすぎる」
俺はハッとした。確かに、車の音も、誰かの話し声も、聞こえない。物音ひとつない。まるで
「遮断されたみたいだ……」
「……⁉」
神女は俺の一言に、何か思い出したように外に飛び出した。そして、家の壁に手をついた。
『―――五指認証。完了……』
俺の時と同じように神女の手に一瞬で銃が形成される。
「バースト!」
神女が叫ぶと、銃の緑に発光していたラインが黄色に変わる。彼女が引き金を引くと、炸裂弾が発射された。‘‘虚空に向けて‘‘
「やっぱりね」
彼女が打った、空間にひびが入っている。ひびはすぐに修復し、何もない空間に戻った。
「これって……!?」
俺には訳が分からなかった。空間が割れたところを見る機会なんて人生であると思わなかった。
「はめられた!」
「何だこれ?」
「前にやった奴の上位互換みたいなやつよ。‘‘光学迷彩‘‘の」
確か、前の殺し屋にもそんなのがついてたような気がする……。
「この家の周りを電波や音を遮断する光学迷彩の幕で覆われた……たたき割ってもいいけど、多分もう包囲されてると思う」
確かに先ほどの割れ目からただならぬ人の足音が聞こえている。通信機と思われる音も聞こえる。
特に多いのは、銃がすれる音だった。
「まずいわね……とにかく籠城するしかなっさそうね」
「だな」
「やけに落ち着いてるわね?」
「まぁ、神女がいるからだろうな」
彼女は訳が分からないと言わんばかりに首をかしげる。
「何で私?」
「だって、守ってくれるんだろ?」
「え……あ、ああ。もちろん、守ってあげるわよ。でも、ちょっとは手伝ってよね」
そっぽを向いて、話す彼女の耳は真っ赤に染まっていた。俺はこの時、こいつ本当に17歳なんじゃ?と考えた。
・・・
その頃、光学迷彩の幕の外では人と物の移動が活発化していた。その中心に一人の大男がいた。
「標的、以前動きはありません」
部下からの通達を受けて、私は再度、判断を迫られた。
私は、トマス・アルベルト。某国の特殊部隊を率いる司令官だ。現在、私は上層部からの指令で、メイカ・カンメ、およびツカサ・クレナイオカの抹殺が、私の任務だ。私からしたら、高校生の子供二人にこれだけの準備をする必要はないと思うのだが、予算が下りた以上仕方ない。
「そろそろだな……」
私は次の行動に移ろうと、部下たちに指示を飛ばそうとした。その時だった。
彼らの家の周り一帯をかこった光学迷彩の垂れ幕がひび割れた。三層構造になっている垂れ幕の第二層まで貫通。出なければこちらまでひび割れが見えるはずがない。
「総員包囲陣系!迎撃する。構え!」
部下たちはいっせいに銃を構える。私は指揮所を離れ、ハンドガンを手に陣形に加わる。
静寂が恐ろしい。どうして第二層まで貫通できた?あちらには日本の開発した超兵器があるとのうわさがあるが、まさかそれなのか?様々な疑問が駆け巡る。
次の瞬間、発砲音が中から響いた。それは、ささやかにされど確実な事実を我々に残した。
‘‘彼らは、普通の人間ではない‘‘
と。
ガラスが割れるような不快な音を響かせ、人影は姿をあらわす。
「あなたたち、どこの国の人かしら?」
銀髪の少女は鋼のような髪をなびかせ、弾丸のような眼光で睨んで来た。その美しさと、恐ろしさの両立された容姿は、私たちを一層混乱させたのだった。
続く
次回
反撃
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