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美少年の声は世界を救うようです  作者: 八田D子
御使いの即興曲
99/114

5節目

 馬を駆けだして数日、それでも初めて着いた時よりも早く、貝紫たちはロッソたちのいるリッジ砦まで来ていた。

「カイ殿たちがお見えだ。門を開けろ!」

 既にロッソには伝えていたため、門番はこちらの存在に気づくとすぐに門を開けてくれた。空いた門の隙間からロッソとゲオルが飛び出すように現れた。

「カイ、やっと来たか! もう待ちくたびれてたぞ!」

 ジュノ要塞を出る前にロッソへ連絡を取ったが、その時既にロッソたちも例の真たる御使いを名乗る者たちと輝くドラゴンたちの存在を知っていた。貝紫たちが聞いた予言の事を言いながら、リッジ砦の上空を飛んで来たようだ。

「久しぶりロッソ~君もこの世界に来ていたと聞いていたけど、まさか会えるとは思わなかったよ~」

「お前は相変わらずだなフランツ。それにオーディナ? っていう魔物とも仲良くしてたなんて信じられないよ」

 グラマトンを使える御使いが3人揃った。集まった理由は当然真たる御使いを名乗る者たちの事だ。

「中で詳しい話をしよう。女教皇との事とも無関係じゃないからな」

 そう言ってロッソに案内されてリッジ砦の門をくぐった。貝紫が最後に見た時よりも人も装備もぐっと増えていた。要塞の広間に向かうと、そこにはローレン卿が地図を大テーブルに強いて準備をしていた。

「ローレン卿は聖教国の枢機卿で、魔法大学の最高顧問も務めている。女教皇や聖教国について彼女から情報を教えてもらっていたんだ」

「あの真たる御使いを名乗る者、どうやら女教皇と水盆の間を通じて聖教国の方針を決めていた可能性があるのです」

 聖教国が戦争を続ける原因の一つに、あの存在が関わっていると聞いて貝紫たちは驚いた。

「女教皇はあの御使いを名乗る者に予言の成就の暁に、己と一部の人間の命の保証を約束されていたようです。だから、聖教国が不利な状況でも、平気で戦争を続けていたのです」

 世界が滅び、御使いが楽園を創る予言。つまり、元々女教皇は自分たちだけは助かることは分かっていたのだ。これでは予言どころかマッチポンプと言った方がいいかもしれない。

「自分たちだけ安全だと分かっていて戦争を続けるなんて……!」

「だけど、カイやフランツたちの働きで諸侯同盟の戦いを続ける気が変わった事で、女教皇は予言の通りに出来ないと判断されて切り捨てられたようだ。俺たちが直談判しに向かった時にはショックで意気消沈してたぜ」

 真たる御使いが予言を成そうとする理由は何なのか。そして何者なのか、それはまだ分からなかった。

「真たる御使いと名乗る者はドラゴンに乗って霊峰サントロンに向かったまま、行方は知れません。なので恐らくサントロンにまだ居残っていると思います」

「これは俺たちを待ち構えているんだと思うんだが、二人はどう思う?」

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