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美少年の声は世界を救うようです  作者: 八田D子
御使いの即興曲
96/114

2節目

 その後は、オーディナ達は与えられた土地に定住の準備を始め、要塞側では外交官がフランツからオーディナの言語を教わっていた。

「オーディナの言語は大まかに喉を鳴らして音を濁らせて出す発音、喉と息で鳴らす発音、息を吐くだけの発音と3つだけで分けています。それを単語で3拍子毎に発音して~……」

「ううむ……」

 フランツはハーラを連れて要塞に残り、外交官に彼らの言語の基礎を教えていた。同じような唸り声を発音の違いだけで判断するのは素人には全く分からないだろう。フランツが聖歌隊で歌について知識があった事、そして元から持つ絶対音感の素質があってようやく聴き分ける事が出来たのだ。一朝一夕で理解できるものではない。

「挨拶する時はウガ、相手が自分より年上や偉い人の時はウ・カ~」

「ウガ、ウ・カー」

 フランツが教え、ハーラが実際に発音を聞かせているが、正直な所貝紫にも聴き分けるのは至難の業だった。

「う……ウガー?」

「違う違う! 偉い人にはウ・カだよ~!」

 それでも二人は根気よく教えているが、外交官にとってはたまった物ではないだろう。貝紫は心から外交官に同情した。交渉役と言うのはもしかしたら戦う力以上に難儀な仕事なのかもしれない。

 フランツはしばらく要塞に残ってオーディナの言葉を、貝紫たちは逆にオーディナの人たちに諸侯同盟の人々の言葉や風習などの文化を教え合い過ごした。言葉の通じないオーディナの人々に物を教えるのはとても困難だったが、細かい情報はグラマトンの力を使って辛抱強く教えていた。

 そうして数日過ごしたある夜、前触れもなくそれは起きた。真夜中に貝紫は目を覚ました。要塞の一室で寝ていると、突然大きな地震が起きた。

「主、大丈夫ですか!?」

「何が起きたんだ?」

 一瞬大きく地面が揺れた後、ゴゴゴと大きな地鳴りが続いた。窓を覗くと聖教国のある方角、北西に見える山から月の光を遮る程の大きな噴煙が上がっているのが見えた。

「あれは霊峰サントロン……まさか噴火したのか?」

 シノーメが呟く。聖都オズマのさらに北。創造主が最初に降りた地であり、聖域とされる大きな山の名前だ。前に聞いたときは知らなかったが火山だったことは知らなかった。

「あれはなんだ? 星が近づいてくる!」

 最初は月だと思った。だが、方向的には噴火の煙でちょうど隠れた位置にあるはずだ。だとするとあの光は一体何なのだろうか?

「あの光、動いてるのか? こっちに近づいてくる!」

 闇夜の中で輝く光の塊が近づくにつれて徐々にその姿を現してゆく。その正体が分かったとき、貝紫は驚きの声を上げた。

「竜だ! あの光り輝いているのは空飛ぶ竜なんだ!」

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