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美少年の声は世界を救うようです  作者: 八田D子
御使いの即興曲
95/114

1節目

 数日後、貝紫たちはジュノ要塞の門前に集まっていた。武装した兵やアロンズ永世王までもそこにいた。

「奴らが来た!」

 見張りの衛兵が叫ぶ。貝紫たちの前にオーディナの集団がやってくる。その中にはフランツの姿もあった。

 要塞側から一人の人間が前に出る。彼が永世王の言っていた今後要塞とオーディナ達の外交を担当する外交官の臣下だろう。

「あー、少年……貴方が通訳をしてくれる者かね? この魔物たち……オーディナの方々との」

「はい、どうぞよろしくお願いします~」

 ぺこりとフランツが頭を下げる。これまで魔物として敵対していた存在を目の前にして、彼らと友好的に対応できるか要塞の衛兵たちはまだ半信半疑だった。

「我々は貴方たちオーディナと言う者たちに、南の土地と数種類の作物を貸し付けよう。あくまでこれは貸し与える物であり数年はその成果物から一定量の返済と、独自の貢物を治めてもらう。これはその契約書であり、証明である」

 永世王から賜った契約書を懐から取り出して詳細を読み上げると、オーディナ達にも確認のために契約書を差し出す。フランツがそれを受け取り、オーディナの長らしき老年のオーディナと会話しだす。契約書の内容を彼らに伝えているようだが、果たしてちゃんと伝わるだろうか。彼らの回答をじっと待つ。

「うん、彼らもそれを認めてくれるそうです~それに、友好の証としてこちらからも贈り物があります~」

 そう言ってフランツたちの方からは狩猟して得た動物たちの毛皮や、黒く光る石材が運ばれてきた。

「この石は?」

「黒曜石と呼ばれる物です~こちらではこの石を色んな物に加工して利用しているんですよ~軽く丈夫で、解体ナイフなどに便利です~」

 そう言ってフランツは一本のナイフを取り出して外交官へ手渡す。素人目から見ても上質な物のようで彼もが感心の声を上げる。

「ほう、これは中々……鋼鉄より軽く、磨かれた様にキレイな……今後のお互いの友好の証としていただきましょう」

 すると、オーディナの長が前に出た。突然の行動に外交官だけでなく兵たちからもざわめき立つ。

「ぐ、ごご……」

 何か言いたそうに必死で言葉を紡いでるようだ。その様子を貝紫たちが見守る。

「こんご、よろしく、お願いします」

 オーディナの長が人間の言葉で挨拶をした。フランツが外交官の方へかけより何か耳打ちする。

「ごご……ごうぐ、ぐーつ?」

「はい、ぐーつのぐーの部分でもう半音上げて発音していただければ、オーディナ人たちの感謝の意を伝える言葉になります」

 フランツはオーディナ人たちの言語を外交官に伝えたようだ。人間とは言語の形式が違うので苦労して発音しているようだ。しかし、まだ多少の不安を残しつつも人間とオーディナの間で友好関係が結ばれ、彼らに定住の地が与えられた。

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