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美少年の声は世界を救うようです  作者: 八田D子
フランツとハーラの交響曲 後編
93/114

8節目

「フランツの奴も来ていたなんて知らなかった。あいつはこんな世界に来てもマイペースな奴だなぁ」

 ジュノ要塞の一室で、貝紫は聖教国にいるロッソと連絡を取り合っていた。まず最初にフランツと出会ったことを伝えると、彼は驚きの声を上げた。

「それだけじゃない。フランツと協力して諸侯同盟とオーディナたちの仲を取り持ったんだけど、そのおかげで永世王も聖教国との和睦を考えてくれるようになったんだ」

「それは本当か! 流石だなカイ、俺の認めた男だけのことはある!」

 ロッソが喜びの声を上げる。

「俺も聖教国でローレン卿の力を借りて、他の枢機卿を仲間に引き入れようとしている所だ。やっぱり女教皇の強引なやり方に不満を持ってる奴は少なくなかった」

 貝紫は気づいていなかったが、オズマから脱出する手助けしてくれた物乞いの老人も枢機卿の一人で、女教皇の彼への対応によって枢機卿たちの間で不信感が高まってきていた。

 これを利用して、女教皇を権力の座から引きずり落とすのが、ロッソの計画らしい。

「最近の女教皇は水盆の間という部屋にこもりがちになってる。何を考えているかは分からなけど、それも枢機卿たちの不満を買っている」

 従者によると部屋の中で誰かと相談している言葉を聞いたらしいが、水盆の間は基本的に歴代の教皇一人しか入れない特別な部屋で、他に入れるのは教皇の許可がいる。しかし、枢機卿を呼んでいるわけでもなく、部屋から出入りするのも女教皇だけで相手が誰かは分からないという。

「ローレン卿の魔法大学の記録によると、あそこは魔法で他人を監視するための部屋で、昔の教皇が魔法大学の力を借りて作らせたらしい。あの女教皇の事だ。もしかしたら俺たちの事をずっと見張っているのかもしれないぜ」

「それなら、次から連絡を取る時は慎重にしないとだな。もう俺が諸侯同盟の所にいるのもバレてるかもしれない」

「だからこそ、慎重に仲間を増やしている所だ。でも、そっちの永世王って人が和睦を考えているなら、そろそろ動くべきかもな」

 ロッソがそう言うと、空間の穴が小さくなっていく。長い時間話し合ったが、そろそろグラマトンの力が切れるようだ。

「待ってろよカイ。今度は俺様の活躍で、聖教国に諸侯同盟との争いを止めさせるようにするからさ!」

「ああ頼りにしてるよロッソ。じゃあな!」

 空間が閉じ切った。状況はいい方向へと進んでいる。これなら戦争が終わるのもそう遠くないと貝紫は感じた。

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