7節目
フランツに連れられた先には言っていた通り魔物の集団が存在していた。そこら中から敵意の視線を感じるが、こちらが顔を向けると、何事もないかのように顔をそらす。襲われた時には見なかったが、貝紫たちより小さな子供のような魔物もいた。恐らく動物等の狩りをしながら各地を転々としながら集団生活しているのだろう。
「本当に魔物ばかりですね……しかも、本当に我々人間とそう変わらない生活をしています」
「何時から彼らと一緒に?」
「ん~結構前から。カイたちと一緒にバスに乗ってたら急に地震みたいに揺れて~気づいたらこの世界で全身縛られてたんだよね~」
貝紫たちと同じタイミングでこのスプリジョンの世界に来たようだが、いきなりピンチの状態で始まったらしい。貝紫も魔物のワーグに襲われたことを思い出した。
「最初はどうなるか分からなかったんだけど~そのまま檻に入れられてしばらくそのまま生活していたんだ~」
その間に彼らの会話を聴いて、言葉の聴き分けが出来るようになったという。それで自分から適当に近づいた魔物たちに何度か話しかけてみたら、折から出して貰えて仲間のように扱われるようになったという。もし、分らなかったらどうなっていたのか、あまり考えたくはなかった。
「彼らの会話って歌みたいで面白いんだよね~ラップとかみたいにリズムよく返答してるというか~」
絶対音感を持っていたために、魔物の声から音程を聴き分ける事が出来たのだろう。それにしても異世界に来てもさほど動じてない辺り、ただ者ではないとシノーメは思った。
「彼らと会話できるなんてこっちからしたら驚き以外の言葉が見つからないよ。他の人間と会おうと思ったりしなかったのか?」
「要塞にいる人たちには何度か試したよ~でも、近づいただけで矢を射ってきたり武器を構えてくるから全然できなくて~こっちも言いたいことがあったのに~」
まさか向こうも魔物と会話できるとは思わなかったのだろう。それこそフランツの様に絶対音感でも持ってなければ、彼らの声を聴き分けることなど出来そうにない。
「言いたいことって?」
「ここの人たちは狩猟で生計立ててるみたいなんだよね~畑とか作るには場所がないみたいだし~だから高地を下りたいのに、砦を開けて欲しいんだよね~」
魔物がハナカルタの地から下りてくるのは略奪のためだと聞いたが、こっちにも事情があるようだ。もしかしたら今回の依頼も平和的に解決することができるかもしれないと貝紫は思った。
「それなら、俺たちが力を貸せるかもしれない。ジュノ要塞の人たちにこの事を伝えて、魔物たちと友好的な関係を持てば万事解決だ!」
「それならぜひ頼むよ~本当は僕一人で交渉しに行こうとしてたんだけど、ハーラが離れてくれないんだよね~」
弓を持った魔物はどうやらハーラという名前らしい。こうして気が付いたらどうやら女性であることに気が付いた。何故フランツから離れないのかは分からないが、彼のボディガードのような役目をしてくれているようだ。
「カイ達が助けてくれるって、ここのリーダーっぽい人に頼んでみるよ~ありがとう~!」




