2節目
ジュノ要塞に着いた貝紫たちは早速そこの統治者への謁見を申し出た。そこの統治者の名はシャール王と言う名で、彼が恐らくアロンズ永世王の弟と思われた。
「部下から聞いたが、汝らは周辺国で魔物退治をしているそうだな」
シャール王は細身で魔物から人々を守る王にしては少々不安に感じた。最も、本人が直接戦うわけではなく指揮官として任されてるのだから、本人が強そうかどうかは別にあまり関係ないのだろう。
「たった二人、そしてまだ子供ではないか。それでどうやって魔物を倒すのか?」
「私にはグラマトンと呼ばれる不思議な力が使えるのです。その力で人々を救うべく諸国を渡り歩いております」
「グラマトン、すると汝は予言に言われる御使いではないのか?」
周囲にいる衛兵がざわつく。こんな北方の辺境の地でもやはり予言は伝わってるようだ。おかげで、あまり素性について聞かれることが少なくて助かった。別の世界から来た迷い子と言ったところで、そっちの方だと大した信用は得られないだろう。
「最近はイリンカでもゼンカー侯爵の命を受けて助力いたしました」
「ほう、ゼンカー侯爵に……ならばきっと優秀であろうな。是非我にもその力を貸して欲しいものだ」
ここでもゼンカー侯爵の名前が通じた。やはり諸侯同盟では家名や勲功が信用に繋がるのだと思った。
「わざわざこの地に来たという事は、汝も知っているだろうが特に魔物の被害が酷い。あいつらはまるで軍隊のように集団でこの地を荒らして回っている。御使いが使えるグラマトンの力で、奴らを全て追い払ってくれぬか?」
「勿論です! 我々に任せて下さい」
恐らく普通であれば無理難題を言っているのであろうが、貝紫にはグラマトンの力に絶対的な自信を持っていた。その力の全て発揮して魔物退治が出来るはずと貝紫は意気込んで返事をした。謁見を終えた後、城の外でシノーメが言った。
「あんな約束していいんですか? こちらには全く情報がないのに……」
「グラマトンの力があれば楽勝だって! それに、森の聖獣みたいな奴らでもちゃんと問題解決できれば倒す必要はないはずだし、今度もちゃんと出来るはずさ!」
それに加えて、貝紫は何か妙案があるらしかった。
「いい事思いついたんだ。今度の魔物退治を終えたらすぐにアロンズ王も信用してくれるようなのをね!」
秘密の事らしくそれ以上は貝紫は言わなかったが、どんな時でも主についていくと決めたシノーメも詮索しなかった。そして二人は、魔物の群れが潜むハナカルタの奥地へと向かった。




