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美少年の声は世界を救うようです  作者: 八田D子
諸侯同盟の前奏曲
67/114

11節目

「ルーシーさんありがとう。おかげでアロンズ王に会う事が出来そうだ」

「ふん、勘違いするな。魔物の件について個人的に調べていたら結果的にそうなっただけだ」

 西に向かう途中、ルーシーが案内人となり貝紫たちを送ることになった。その道中で、貝紫は彼女に感謝を言った。

「それに兄上、貴方の事はまだ完全に許したわけじゃない。だが、貴方は自らの道を見つけた。その意志を今は信じよう」

「ルーシー……」

 物事が完璧に上手くいくとは限らない。だが、シノーメの行動はルーシーの考えを動かすだけの意味はあったようだ。

「己が決めた事なら命に代えても主を守れ。同じ騎士としてそれだけは言っておく」

 この二人にはまだ時間が必要のようだ。それまでに戦をなくしておきたいと貝紫は思った。

「それにしても、魔物も決して凶暴なやつだけじゃないんだな」

「ええ、その魔物がどこから来たか分かりませんが、もしかしたら共存もきっと不可能でないでしょう」

 この世界にはまだ知らないことが多いと知った。グラマトンだけでなく人の考えや魔物についても、それを思い知らされた出来事だった。

「人に力を与えるグラマトン……もしかしたら本当に少年はこの戦争を終わらせることができるかもしれないな」

「勿論さ。俺たちはそのために旅をしているんだから!」

 貝紫が得意げに言う。そんなやり取りをしている間に、侯爵領の外に通じる関所が見えてきた。この先にアロンズ王のいる城塞がある。

「私の案内はここまでだ。門番に話はつけておく。少し待っていろ」

 そう言ってルーシーが先導するとしばらくして門が開いた。同時に彼女も戻ってくる。

「さあ、行くがいい。二人とも達者でな」

 それだけ言うと、ルーシーはもと来た道を戻っていった。

「よかったなシノーメ。妹さんと仲直りできたみたいだ」

「ええ、ありがとうございます主……彼女は私よりも立派な騎士になるでしょう」

 シノーメが目元をこすった。貝紫も主としてシノーメの担いでる重荷を少しでも外せたように感じた。関所を抜け二人はアロンズ王の下へと向かった。

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