11節目
「教皇はその力の軽々しく考えすぎている。その説得のために、私に直接その力を研究させて欲しいのです」
ロッソはローレン卿の提案について考えた。果たしてその言葉は信用できるものだろうか? ローレン卿も元々教皇側の人間だ。何か裏があってその提案を申し込んでいるのかもしれない。
「ロッソ殿、信用していいのでしょうか?」
従士ゲオルグが耳打ちする。確かに信用するにはあまりにも怪しすぎる。だが、ローレン卿を引きこもれば聖教国の内部状況をもっと詳しく知ることができる。ただ、守りに入って提案を蹴るのはロッソの性格上考えられない事だった。
貝紫とも約束した。聖教国の事については自分たちに任せろと。それならば、危険な橋を渡ることになるだろうとしても、役に立つ情報は集めたい。
「いいだろう。ローレン卿と言ったな。あんたを信用するわけじゃないが、提案に乗ってグラフトンの力がどんな物か、一緒に調べてみようじゃないか」
「ありがとうございますロッソ殿」
ローレン卿が微笑んだ。その笑みの裏にどんな思惑があるのかまでは子供であるロッソには分からなかった。だが、貝紫の行いがこの結果をもたらしたのであれば、それは決して悪い事ではないはずだという考えがあった。
そう思っていると、ローレン卿は僅かに顔を近づけてロッソに囁いた。
「しかし気を付けて、教皇は各地に目や耳となる審問官を送っています。ここも決して例外ではないはず」
グラマトンの研究や聖教国についてやり取りするのは極秘に行うべきだという事だろう。ロッソは了承した。
「カイ……僕は僕のやり方でこの国とやり合ってみる。君も諸侯同盟を君のやり方で変えてくれ」
いずれまた会えることを確信しながら、ロッソは空を見上げて貝紫の事を考えた。




