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美少年の声は世界を救うようです  作者: 八田D子
ロッソとゲオルの二重奏
28/114

5節目

 ゲオルは迷うことなく槍を選び取る。大してシノーメは片手用の木剣と盾を選んだ。リーチの差だけで言えば、槍と剣では槍の方に分がある。シノーメの方が不利だ。

両者武器を構えて相対する。

「聖主国では見ない構えだ。我流か?」

 ゲオルの言葉にシノーメは返答をしない。

「諸侯同盟の敵方が似たような構えをしているのを見た事がある。ただの偶然か、それとも……」

 ゲオルは揺さぶりをかけている。動揺を誘ってシノーメの隙を伺っているのだ。分かっているからこそ、シノーメは決して反応しなかった。

周りが固唾を飲んで見守る中、貝紫にロッソが近づいてきた。

「今なら話せるな。ゲオルは神経質でこういう時じゃないと、なかなか近づいて話せないからな」

「だからって何の用だ?」

「お前の所のシノーメって奴も結構強そうだけど、うちのゲオルには絶対勝てないって言ってやろうと思ってな」

「舐めるなよ! シノーメは魔物にも負けない強い騎士だぞ!」

 ロッソの挑発に、貝紫は思わず声を荒げる。

「それならうちのゲオルだって同じさ。それどころか、諸侯同盟の敵兵相手に三日三晩寝ずに戦い続けた猛者なんだぜ? 僕が来る前の話だけどな」

 決闘の開始が告げられる。それでも両者はほとんど動かずににらみ合ったままだ。

「朝も夜も敵がやってきて、周りの仲間が倒れても、この砦を守るために戦い続けた。それが僕の従者だ」

「僕が初めて砦に来た時、本当はもう戦いを続けられる状況じゃなかった。魔物の影響で聖都からの応援や補給が遅れ、残った兵士もどこかしら傷を負って、いつ崩壊してもおかしくない。そんな状況なのに、この世界に来て何も分からない僕を受け入れてくれたんだ」

 ロッソの顔は真剣だった。

「だから僕も傷の手当てや手伝えることは何でもした。時には彼らの気分転換になるかと思って歌ったりね」

 貝紫はロッソが自分と同じだと思った。兵士たちの声が上がる。ゲオルが踏み出して、素早い連続突きをシノーメに繰り出す。

「そしてある日、諸侯同盟の軍が再びやってきた。それもこっちの倍はいたさ」

 沼地の魔物の攻撃すら受け止めたシノーメのでさえ、ゲオルの突きの鋭さは盾だけでは防ぎきれず、剣も使いようやく捌けるものだった。

「それでもゲオルやここの兵士たちは僕を逃がす準備までしてくれた。自分たちは死ぬかもしれないのに」

 シノーメが背後に飛び退いて距離を取る。このままでは防戦一方だ。

「せめて彼らを鼓舞しようと歌ったとき、僕はグラマトンに目覚めた。戦場に向かう彼らの背に画かれた紋章が、神の言葉の一つだったわけ」

 ゲオルが強烈な一突きを繰り出す。シノーメはその一撃を受け流し、一気に距離を詰める。槍の穂先の内側に入れば次の攻撃は間に合わないと思っていた。

「グラマトンが発動した瞬間、諸侯同盟の軍は一瞬で崩壊して、僕は味方の兵士からは御使いと認められ、ゲオルは僕の従者となった」

 シノーメが剣を振りかざす。ロッソの話を聞いていた貝紫も、彼の勝利を確信した。

 だが、ゲオルは槍をぐるりと上に回転させると反対側の石突きでシノーメの剣を弾き飛ばした。

「あっ!」

 シノーメが慌てて防御態勢を取ろうとしたときにはすでに遅く、喉元にゲオルの槍が突き出された。

「だからゲオルも御使いの僕にふさわしい最強の従者なんだ」

 リッジ砦の兵士たちがわっと歓声を上げる。試合形式の野戦はゲオルの勝利だった。た。

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