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美少年の声は世界を救うようです  作者: 八田D子
ロッソとゲオルの二重奏
27/114

4節目

 スプリジョンでの決闘方法は弓の腕を比べる的当て。そして自身の得意な武器種による野戦、最後はお互い馬に跨っての一騎打ち。この三つの種目で勝敗を競う。どれも騎士として必要な戦闘技能を試すものだ。

「ちょっと待ってくれよ。こっちは馬なんか持ってないぞ」

「我々は一向にかまいませんよ。自分から決闘を申し込んでおきながら、対戦相手に馬を借りる事が恥ずかしくなければ……」

 貝紫は内心酷いと思ったが、ロッソの方は小ばかにしたような笑みを浮かべている。挑発に乗った方が悪いのだと言わんばかりに。

「馬がいないなら仕方ないです主。馬を持ってない此方が悪いのですから」

 当事者であるシノーメがそう言うのだから、貝紫たちは一騎打ちは諦めるとばかり思っていた。

「いないならそのまま出るしかないでしょう。それでよろしいか?」

 このシノーメの言葉には誰もが驚いた。乗馬しての戦闘で馬に乗らず出ると言うのだから当然だ。

「正気かシノーメ!」

「私は正気です。大丈夫、信じて下さい主」

「随分と自信があるようだが、本人がそう言うのならば構わないだろう」

 ゲオルは嫌味ったらしくそう言うと、振り返って他の兵士たちに告げる。

「これより決闘を行う! 準備を頼むぞ!」


***


 決闘の最初の種目が始まった。弓による的当て。決められた本数の矢を的に向かって射ち、中心に近い本数が多い方が勝ちとなる分かりやすいものだ。

「ふん、馬どころか弓すら持ってないとはな……」

「こちらは旅の身でな、どうしても装備に限りがあるのさ」

 シノーメはリッジ砦で使われる弓の感触を確かめる。馬は借りるつもりはないが、弓は借りた物を使った。

「そんな甘い考えでよく護衛騎士が務まるな!」

「私の使命は主を守ること、そのためならこの身と命すら惜しくはない」

 貝紫とロッソ、他の兵士たちが見守る中、最初の矢を二人は射った。流石に初めて使う弓の感覚を掴めてないのか、シノーメの矢は的の外側にギリギリ刺さった。大してゲオルは

中心から少し右にズレた位置。最初の一射目はゲオルに軍配が上がった。

 兵士たちが歓声を上げる。今の一射でいきなり不利になったが、シノーメは何か掴んだように小さくうなずいた。

そして最後の一本まで射終わった結果、引き分けとなった。立った一度射ただけで、弓のコツを掴んだシノーメは二射目、三射目と驚く速さで矢の精度を上げていき、不利な状況から引き分けまでに持ち込むことができた。かつて山賊にまで身を落としていたとは言え、名門騎士としての能力は失われていなかった。

「まずは引き分けか」

 ゲオルが苦々しく言う。有利な状況からそのまま勝つことが出来なかった自分にイラついているようだった。

「次は野戦だな」

 第二の種目はお互いに得意とする武器を使っての試合形式の野戦。稽古に使う様な殺傷能力のない物を使うが、それでも当たれば大けがをする可能性はある。最後の馬上での一騎打ちの事も考えて、相手の出方を見たり、如何に余力を残して戦うか考える必要がある、想像以上に頭を使う競技だ。

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